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亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第1章……人獣転生……全ての始まりへ
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大地の薫り月夜の風

読んでいただけたら幸いです。(〃^ー^〃)

 ソウマは、初めてコウヤの家を訪れてから毎日のように足を運ぶようになっていた。

 ミカもそんなソウマを優しく迎え、最近は晩御飯を3人分用意させる事が当たり前の光景へとかわっていた、テーブルに向かい合うコウヤとソウマはまるで親子のように笑い、明るく3人で食べる夕食を愉快な物に変えていた。


 コウヤもソウマの事を師匠ではなく、ソウマと呼ぶようになり、この日も食後の稽古が始まる。


 少し変化があったのは最近になり、ソウマが稽古に参加するようになった事であった。


 そんなソウマは確りとした構えを取り隙の無い、そんな姿にミカは驚かされる。


 〔合気道〕と〔護身術〕を使うミカに対してソウマは同じく合気道を使う、ミカとソウマが違うのは性別もあるが、それ以前に身に付けている武術の量であり、全てが上段者のように洗練されたオリジナルの構えになっていたのだ。


 ソウマは他にも〔空手〕〔柔道〕〔剣道〕と様々な聞き慣れないコウヤの知らない武術を知っていた。


 コウヤはソウマの昔話を不意に思い出していた。


 ソウマは「俺の父は、島人でな〔ケイサツカン〕と言う、この世界の騎士団に似た組織にいたらしいんだ。その為あらゆる武術を叩き込まれたんだよ」とコウヤに笑って聞かせた事があった。



 稽古が終わった道場で男二人があぐらをかいて座っている姿にミカが笑っていた。


「はい、二人ともお茶よ」

 そう言いミカが持ってきてくれた、紅茶をコウヤとソウマは受け取った。


「ミカさん、ありがとうございます、いやぁ美味い、ミカさんの入れる御茶は大陸1いや、世界1美味い!」


「ふふふ、いつもソウマさんがそう言ってくれると御世辞でも嬉しいですわ」


 最近の母さんは何故か変に優しい、それでいて口調が違う、ソウマに理由を聞いてもニヤニヤしているだけで答えてくれない……体外魔力でその顔を見るのは少しモヤモヤする、そう感じるコウヤは知らぬ間にミカとソウマに不思議な感情を抱いていた。


 ミカがお茶を片付け、台所に戻ったのを確認すると、コウヤはソウマにある悩みを相談した。


「ソウマ、最近の修行についてなんだけど、その夜じゃないとダメなのかな?」


 そう切り出したコウヤの顔を見て、ソウマが不思議そうに再度コウヤの顔をまじまじと見つめる。


「どうした? 今の修行になんか問題があるのか、やはりコウヤでも難しいのか?」


 今コウヤが行っている修行は、寝てる間も体外魔力を集め続けると言う高難易度の魔力コントロールであった。


「その……森だけじゃなくて、村や人の姿も一緒に入って来るんです……」


 うしろめたそうに語るコウヤ。


「それがどうした、体外魔力を集めるんだし、普通にそうなるだろう、何を今更」


 コウヤはソウマに理由を話した。


 コウヤが体外魔力を集めながら寝る事は思ったより簡単だった。

 しかし、問題はその集まる場所と方向にあった。


 コウヤは寝ている間、無意識なので何処までも体外魔力を伸ばしてしまう、魔力と共に景色や光景までコウヤの意識に流れ込んでくる事が問題だと、ソウマに語った。


ーー昨晩


 コウヤは体外魔力を集めるよう意識を集中しながら眠りにつく、寝てる間に魔力と景色はコウヤの夢へと流れ込んでくる。


 そして、コウヤが目にした光景は、スヤスヤと眠るロナの姿だったのである。

 何度も別の場所に体外魔力を集中したがロナの部屋に戻ってしまっていたのだ。

 その為、昨晩は一睡もする事が出来なかったのだ。


「コウヤ、覗きは犯罪だぞ?」

「だから困ってるんだよ!」

「青春だなーー! 羨ましい限りだ、あはは」


 ソウマは、そう言い笑うとポケットから、ある物を取り出してコウヤに手渡した。


「ソウマ、これは何?」


 それは小さな木の実のような物だった。


「これを枕の下に入れて寝れば多分、大丈夫だ! それは、この村の森にある大樹の木の実だ。その薫りで森に繋がるから問題は解決するだろう」


 そう言われコウヤは、その日の晩、木の実の効果を試してみる事にした。

 ソウマに言われた通りに木の実を枕の下に入れ眠りについた。


 コウヤの夢の中に広大な森が何処までも続いていた。その景色を空の上から見下ろしたかのように自 身の中に景色が流れ込んでくる。

 まるで空を飛び回り風になったかのようなその感覚は何者にも変えられない経験だった。


 風になり空に浮かぶ月と星を眺めた、話に聞いていたが本当に空に眩く輝く星と呼ばれる物をこの眼にするまで信じられなかったが今ならわかる。

 この世界の輝きに触れたように感じる。


 夜の月と星の輝きに照らされた、花が風に揺られ綺麗な花びらは風と共に舞い踊る、自然のそのままの姿を全身に感じた瞬間だった。


 コウヤは、その日の光景を心に焼き付けた。

読んでいただきありがとうございます。

感想や御指摘、誤字などありましたらお教えいただければ幸いです。

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