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ただ……愛されたかった

何時も読んで貰いありがとうございます。

初めての人もありがとうございます。


ほのぼの系ダークファンタジーですが宜しくお願いします。(*^^*)

 馬車の中でコウヤはある疑問をアルカに尋ねた。


「ねぇ、アルカ、禁忌の森の外には結界が在るんだよね? なのに何で往き来ができるの」


 アルカは不思議そうな顔をして悩んでいた。


「何でだっけ? 大分昔の事だから忘れちゃった、アハハ」


 アルカがそう言うとセラが溜め息をついた。そしてセラがその問の答えを話してくれた。


 外に張られるタイプの結界には二種類の物が存在する。ある程度の数の種族を特定し使われる結界と魔力の量に応じて使われる結界である。


 アルカ達は魔力を封じる“ロストアーツ”を使う事で結界を自由に出入りしていたのだ。そしてその“ロストアーツ”は全てパンプキンが禁忌の森の女王ラシャに渡した物であるとセラは語った。


 その昔、パンプキンのもたらした、魔封の指輪は元々は筋力を落とす為に作られた物だったらしい。パンプキンが “ダンジル” で初めて指輪を試してみた時に筋力だけでなく、魔力も一気に封じられ驚かされた、そして、その指輪がダンジルの骨董品の店に大量に並んでいたのだ。


 パンプキンは仕方なく、それを全て買い占める事にしたのだ。魔力を封印する事が出来る“ロストアーツ”が人間の手に渡ればそれは恐怖になると考えたのだ。そんなパンプキンが、エレの森に訪れたのは、まだ禁忌の森と呼ばれる前のことだった。


 エレの森の側を馬車で走っていた時の事だった。


 エレの森の中でうずくまるエルフの少女をパンプキンは見つける。


 そしてパンプキンはエレの森の中に入り少女に駆け寄ると幼いエルフは衰弱しきっていた。その時パンプキンは他にも魔力を幾つか感じ取ったのだった。

 パンプキンは警戒しながらも馬車から水と果物を持ってくると直ぐにエルフに水を与え果物をすり潰し、ゆっくりとエルフの口に運んだ。


 エルフは水を口にするとパンプキンにあることを訴えたのだ。


「お願い……仲間が死にそうなの……皆、何も食べてない」


 弱々しく話すエルフに言われパンプキンは案内を頼むとエルフが案内した場所こそ、森の王国エレだったのだ。既に人気はなく噂通り疫病に襲われたのかとパンプキンは考えたが、少女の仲間達の様子を見ると、その場にいたエルフ達は極度の栄養失調だったのだ。


 そして、パンプキンはラシャ=ノラームと初めて出会う事となった。ラシャは倒れた仲間達の為にバケツを両手に持ちながら必死に水を仲間達に与えていた。


 ラシャはパンプキンに気づくと両手のバケツを地面に置き威嚇してきたのだ。


「貴方は誰! また御父様の“ロストアーツ”を盗みにきたの!」


 そう言うとラシャはパンドラを両手で持つとパンプキンにパンドラを向けてきたのだ。


「お嬢さん? それよりよく仲間達を見てみなさい、既に水だけでは、どうしようも無い事はお嬢さんも理解しているのでしょう?」


 パンプキンの口にした事は当たっていた。パンプキンがラシャ達の元を訪れたのはラシャが箱を開いてから2ヶ月程の事であり、人間達が結界を張ったばかりの時期でもあった。今のエレには子供しかおらず、その最年長がラシャであった。


 パンドラはエルフの大人達を皆殺しにはしたが、子供に罪は無いとして、生かしたのだ。パンドラとは、古代の“裁く者”を意味していたのだ。


 全ての罪深き者を滅ぼす災害を自在に操り、パンドラの選んだ主人を“裁判官”とする。数多く存在するロストアーツの中でも異端な物であった。


 そして、ラシャはそうとは知らずにパンドラの主人になり、愛する父の心無い言葉に傷つき、パンドラの力を使ってしまったのだ。


ーー大人なんか嫌いだ……皆嫌いだ……消えちゃえ!


 父だけを恨めなかったのだ、大人が悪いと考えてしまったのだ、その結果エレにいた全てのエルフを対象にパンドラの裁判が開始された。パンドラは大人を全て有罪とした、そして刑を執行したのだ。


 パンドラの下した刑は死罪、エレに住むエルフを一瞬で殺傷したのだ。たが、食糧の蓄えが無くなり、次々に小さいエルフから倒れ始めたのだ。

ラシャは本当は仲間に死んで欲しくなんか無かった、ただ優しい父に抱きしめて欲しかっただけだった。


 12歳のラシャには残酷すぎる現実だった。


「箱をしまいなさい。お嬢さんのその箱が何なのかは分かりませんが、今やるべきは私と争うことでは無い筈です」


 そう言うとパンプキンは他のエルフ達に水を運び果物を食べさせたのだ。パンプキンはまるで自分の事のように必死にエルフ達を介抱した。


 そして馬車に積んであった食糧が無くなるとパンプキンは直ぐに食糧を買いにクレアルバディア共和国に向かおうとした時、パンプキンは初めて結界の存在に気づいたのだ。入れるが出れない結界、人間の張った二重結界だった。


 中から人間以外が出れないように魔力のある者を対象にした結界と中に入った者の魔力を記憶し、その者が人間でない場合、外に出さないようにする上位結界が張られていたのだ。パンプキンは身動きが取れなくなってしまっていたのだ。


 そんな時、ダンジルで買い占めた指輪の事を思い出したのだ。パンプキンは直ぐに指輪を自身につけると魔力が下がるのを確認した。


 そして、結界を抜けるために両手に指輪をつけると結界の外に出た。そしてラシャもパンプキンと共に結界の外に出たのだった。


「お嬢さん? 宜しければ、名前を教えて頂けますか、自己紹介が遅れましたが、私はランタン=パンプキンと申します」


「私は……ラシャ、ラシャ=ノラームよ」


 パンプキンはその名に少し驚いたが、今は一刻も早く食糧と水、そして他にも欲しいものがあり、質問するのをやめた。そしてパンプキン達はクレアルバディア共和国に馬車を走らせた。中に入る前にパンプキンは、ラシャにフードを被らせ髪で耳を隠させた。


 既にクレアルバディア共和国では、森の王国エレが疫病に襲われたと話題になっており、エルフに対する迫害が始まっていたからだ。直ぐに必要な物を買うとパンプキンはラシャを急ぎクレアルバディア共和国の外に出そうとしていた。


 それはラシャに見せたくない光景が合ったからに他ならない。しかしパンプキンの願いも虚しくその光景はラシャの眼に入ってしまったのだ。


 広場に吊るされたエルフ達の姿そして、次々に火をつけられていく光景であった。

 ラシャは取り乱し走り出そうとしたが、パンプキンはラシャを捕まえると馬車に乗せ直ぐにクレアルバディア共和国の外に出たのだった。その際も暴れるラシャに仕方無くスリープを掛け、無理矢理ラシャを眠らせたのだ。


 眠りながら涙を流すラシャを乗せ馬車はエルフ達の待つエレに向け走り出したのだった。ラシャが目を覚ました時には、既にエレの中に戻っていた。


 そして、ラシャはパンプキンに泣きながらその怒りをぶつけたのだ。


「何故よ!なんで助けなかったのよ!答えなさいパンプキン!」


 ラシャは感情のままパンプキンに掴み掛かったのだ、其れをパンプキンは素直に受け入れたのだ。反論しないでただラシャの怒りを受け止めるパンプキンにラシャは泣くことしか出来なかった。


「お願いよ、なんか言ってよ、言いなさいよ! ランタン!」


 ラシャは今まで出した事の無い程の声でパンプキンに怒鳴ったのだ。


「気は済みましたか、ラシャさん、アナタは王族失格です、ラシャさんが護らなければ為らないのは、このエレのエルフ達なんです!現実を受け入れなさい」


 パンプキンの残酷な言葉にラシャは再度泣き出した。そんなラシャの頭に手を当てパンプキンはラシャに語った。


「今のラシャには、全てを救うことは出来ません、其れはあの箱をもってしても不可能でしょう。箱の事は他のエルフから聞きました。そして今生きてるエルフ達が大人達から酷い扱いをされていた事も聞きました」


 ラシャはパンプキンが全てを知っている事を聞くと一瞬怯えたように見えたがそんなラシャをパンプキンは優しく抱きしめた。


「アナタは、ただ愛されたかったのですよね? しかし先代の王バルドは道を誤ったのです」


 バルドは人間達に一瞬でも、禁忌の箱が無くなった事実を知られたくなかったのだ。


 禁忌の箱が抑止力に為っていた事実とバルドの見栄による物であり、それが我が子により貶された感じたのだった。その結果、愛は憎しみになり、ラシャに全てがぶつけられたのだ。


 エルフには見栄や権力への執着など殆んど無い筈なのにそれに取りつかれた理由はただ1つ人間の存在であった。寿命が長い分、バルドと人間の関係も親密になり、やがてバルドはエルフより人間に近づいていってしまったのだ。


「ラシャ、私はラシャの味方です、いつか私は人間の支配から世界を解放します。その時は、是非力を貸してください」


ラシャは、ただ頷いた。そして、パンプキンはラシャに魔封じの指輪を託した。


「ラシャ、アナタは森から出ては行けません、森を人間から護るのです、良いですね?」


「私が強くなったら、パンプキンは私の元に帰ってくる?」


「約束しましょう、なんせ魔族はエルフより遥かに寿命が永いですからね」


 ラシャは、パンプキンの言い付けをまもり、森から出ることは無かった。パンプキンは事あるごとにエレを訪れるようになり、其れによりラシャの気持ちが安定していたのも大きな理由であった。


 ラシャは森に入る人間とロストアーツを狙う者には容赦なく攻撃を加え、何時しか禁忌の森の真の女王へと成長していったのだ。


 パンプキンはコウヤに全てを話さなかった。


 指輪を渡した事と結界の話そして、ラシャがある意味コウヤに似ているとだけを話したのだ。


「なら僕は、中に入れないんじゃないかな?」


「大丈夫ですよ今の結界は中から出れないようにする為の結界のみですから」


 パンプキンは既にソウマとミーナが結界の中にいる事をコウヤに話したのだ。そしてコウヤ達が結界の中に入ると馬車の前に一人の女が立っていたのだ。


「久しぶりねランタン。相変わらず何時もいきなりね? 今回は他にも沢山連れてきてるみたいね……しかも人間まで」


 そう口にする女こそ、禁忌の森の女王ラシャ=ノラームであった。コウヤは今までに無い殺気に気付けば額から汗が頬に向かい伝っていた。


「ヨホホホ。取り合えずお茶にしましょう。私も疲れましたラシャ? お茶菓子を人数分、宜しくお願いします」


「はぁ、まったく、ランタンには敵わないわ。わかったわ此方よ」


 パンプキンは当たり前のようにそう言うとラシャは直ぐに皆を王宮に案内した。其処には驚くべき光景が広がっていたのだった。


コウヤ達が見た光景とは?次回の更新も読んでいただければ多分!わかるかも


読んでいただきありがとうございます。

感想や御指摘、誤字などありましたらお教えいただければ幸いです。

ブックマークなども宜しければお願い致します。

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