紅眼のコウヤ
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これからも
『人獣転生★ボクが世界をこわします☆』をよろしくお願いいたします。
ソウマ話が終わる頃には雨が上がり、馬車の中に日の光が射し込んでいた。馬車を操るパンプキンの横でもたれ掛かるようにして眠るミーナを僕は荷台に移動させるとゆっくりとミーナを横にした。
その頃には道も大分穏やかになり、揺れも少なくなってきていた。パンプキンも夜通し馬車を走らせ睡魔に襲われているようだった。
馬を休ませる為にと無理をするパンプキンを説得して一旦川原に馬車を停めた。
今回は本当の馬を走らせて居たこともあり、馬達も既に限界に達していた。馬達とワットに水と食事を採らせている間にパンプキンも一時の休息をとっていた。
「僕は…… これからどうするべきなんだろう……もしアイリが生きているなら助けないとだよね」
そんな事を考えていると後ろから声を掛けられた。
「コウヤ、アイリは絶対に俺が助けるだから、今は無理をするな……俺が口にするべきではないのだろうが」
ソウマはそう言うと申し訳なさそうに僕をただ見ていた。
「そうだね、ソウマはアイリのお父さんなんだもん、絶対に助けてね……」
コウヤはそう言うと自然と涙が流れ出していた。ミカとの思い出が次々に蘇っていた。そして、ソウマに泣きついていた。
「何で……何で……僕が帰れなかったら……死ななかったのかな、ソウマ……僕はどうしたらいいんだよ、わからないんだよ」
素直すぎるコウヤの心に沸き上がる感情は怒りと哀しみ、そして寂しさと絶望でいっぱいになろうとしていた。
ソウマはただ優しくコウヤを抱きしめた。
いっぱいに我慢していた思いが激流のように溢れだした。『本当なら母さんともっと話したかった』
『笑いながら当たり前にご飯を囲みたかった』もう……叶わないんだと自分に言い聞かすコウヤの心はその時、壊れ始めたのかもしれない。
「コウヤ、お前に渡さないといけないものがある」
そう言うとソウマは未開封の封筒をコウヤに手渡した。それはミカがコウヤに渡そうと3年前に書いた物であり、ソウマにもし自分に何かあれば渡してほしいと預かったものであった。
ソウマはそれを肌身離さず持ち歩いていた。少し、くしゃくしゃになった封筒を開け一文目を読んでいる時、コウヤの足元に弓矢が飛んできたのだ。
「いたぞッ!! 例の馬車だ!」
その掛け声に次々に弓矢が射ち放たれた。ミーナとパンプキンはまだ起きれる状態ではなく、ソウマも魔法を使える程、体力も魔力も回復はしていなかった。
「コウヤ、早く馬車の中に!」
ソウマがそう言うとコウヤは土壁魔法を既に発動していた。余りの反応速度と反射神経にソウマは自身の目を疑った。
コウヤはただ反応速度が速かったわけでは無かった。手紙をポケットにしまうと包帯をほどき始めたのだ。
そして初めて、その紅い瞳を自身の意思で開いたのだ。その真っ紅な眼は片方に魔族の文字が刻まれていた。
魔眼と紅眼を持つ存在、ソウマはコウヤから放たれる禍々(まがまが)しい魔力に絶句した。それは今までの優しさに溢れたコウヤの物とは、まるで別物だったのだ。
「土壁ぐらいで怯むと思いなよ! 掛かれ!」
土壁に隠されたその姿はソウマにしか見えていなかった。
「ソウマ、もし僕がみんなに手を出しそうになったら止めてね」
そう口にしたコウヤは更に体外魔力を体内に集めだしたのだ。
「もう……手加減しないよ、〔全ての元素は元の形となり静かに眠れて、時は時間を遡り全てを無の元素へ誘わん〕“ラスタム”」
次の瞬間、目の前にいた警備隊に向け、黒い闇が広がった、そして悲鳴すら無いままに警備隊とその周辺一帯が砂に姿を変えたのだ。
ソウマは、“ラスタム”を以前にも眼にした事があった。しかし、その威力は圧倒的にコウヤの方が勝っていた。
遅れて到着した警備隊員達は目の前で起きた光景に言葉を失った。そして直ぐに、ディノスに報告しようと引き返そうとした瞬間、隊員全員の脳裏に絶望の二文字が浮かんだ。
「逃がさないよ……〔風よ我が力となれ〕“ウィンドー”」
コウヤは風の初級呪文を自身の足元に発動し風を蹴り進む事で数秒の間に隊員達の目の前まで移動してきたのだ。
「ひいぃぃぃ! 紅眼だぁぁぁ!」
隊員の一人がそう叫び倒れ込んだ瞬間だった。
「僕もさっき知ったんだ、ビックリだよね、母さんはそんな僕を優しく愛してくれてたんだ……〔炎よ我が命に従い力を解放せよ〕“ギガノフレイ”」
圧倒的だった。コウヤは追ってきた警備隊を無と灰にすると静かに真っ赤な涙を流したのだった。
そして、騒ぎに気づきパンプキンとミーナが眼を覚ました時は全ては終わっていた。ただ違っていたのは周辺の景色とコウヤが包帯を外し泣いていた事だけであった。
コウヤは、自分の意思で人を殺めたのだ……それはとても不快な感覚だった。心の乾きが更に増していく様な感覚はコウヤの精神を更に蝕んでいくのであった。
そしてコウヤの側に駆け付けたミーナに抱かれ、真っ赤な涙を流しながらコウヤは意識を失うのであった。
「この場所から直ぐに移動しましょう、長居は危険ですからね」
パンプキンはそう言うと馬をポケットにしまい、熊牛を代わりに取り出すと馬車に繋いだ。
そしてコウヤ達を馬車に乗せるとその場から移動した。
その一部始終を遠くから見ていた者達がいた。
「あれは流石に不味いかな?」女がそう言うと男はその問いに返答した。
「まだ『“エレ”』に来るって決まった訳じゃないんだ。今は此方から仕掛けなくてもよいだろう」
そう話す二人はコウヤ達の動きを警戒しながら一定の距離を保ちながら移動を続けた。
コウヤ達の後を見ている存在!そして『エレ』とは何をさしているのか。
もし気になられたなら次回も読んでくださいね♪
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