運命は残酷に動く
皆様、ご無沙汰しております。
大修正祭りをしておりました。
無事に終わったと思いますので!投稿を再開します(ノ´∀`*)
雨の中、森をひたすら走り抜いたワット。
雨のお陰で足音は掻き消され、地面がぬかるむ前に二人はある程度の距離を稼ぐことが出来ていた。もとより、竜馬に警備隊が追い付ける筈もなかった。
しかし、コウヤの放った炎を見て他の村に待機していた警備隊が森の出口に集まっていたのだ。
「コウヤあれ! どうするの」
「もう、突っ切るしかないよね!」
そう口にするとミーナは確りとコウヤにしがみついた。
「いっけぇぇぇぇ! ワットォォォッ!!」
「クウォォォォォン!」
ワットは一気にスピードをあげると警備隊に向け突っ込んだのだ。
「ヨホホホ! 皆様働きすぎですね。少しリラックスをしてお休みください。〔全ての者に安らかな時をもたらしたまえ夢の音色よ響き渡れ〕“スリープ”」
一瞬で警備隊達が地面に倒れ込んだと思うとその先にパンプキンの姿があったのだ。
「ヨホホホ、大変だったようですね? コウヤさんミーナさん。御無事で良かった」
「何でこんなところに!魔界に帰ったんじゃなかったの」
予想だにしていなかったパンプキンの登場に驚きを隠せないでいた。 パンプキンはコウヤの魔力が急激に乱れ何かあったと感じたそうだ。“ライエス”を伝わるコウヤの魔力は町ひとつを消滅させかねない程、急激に乱れていた。
その為、パンプキンは森に住む魔物を通して“テレパス”と言う瞬間入れ換え魔法を使ったのだ。
「何があったのですか? コウヤさん。アナタほどの方がこれ程に魔力を乱すなんて」
その時だった森の先に巨大な炎があがっていたのだ。
「あの方向は……まさか、ごめんミーナ、パンプキン待ってて。ワット頼む! ハアァァァ!」
コウヤは火の手が上がったら方角に向けワットを全力で走らせる。
「パンプキン、私を連れてってお願い」
「わかっております! 落ちないでくださいね!いきますよ」
そう言うとパンプキンはミーナを抱え高くジャンプした。コウヤは走り抜けた森を全力で掛け戻るとすぐに森を抜けた。そして天高く煙をあげる炎がに向かい再度加速したのだ。
コウヤの目の前には激しく燃える家と血だらけで地面に倒れ込んだソウマの姿が目に入ってきたのだ。
「ソウマァァァァ!」
すぐに駆け寄るとソウマはまだ息があった。
「ソウマ大丈夫! 今すぐ助けるから〔全ての生命よ力を我が手に癒しの息吹に力をかえよ〕“リペルト”」
「コウヤ……すまない、ミカさんを守れなかった……」
ソウマはそう言うと涙を流した。そして燃える家の中に既に絶命しているミカの姿がコウヤの目に入ってきたのだ。
「ぅぅぅ……今はソウマの回復に集中しろ! コウヤ=トーラス! ソウマまで失いたいのか“リペルト” ソウマ死なないで生きて、生きろ!ソウマァァァァ!」
コウヤはすぐにでもミカの亡骸を炎の中から救いだしたかった。
今すぐ謝りたかった……「さっきはごめん」
だが、それは叶わなくなった。そして、目の前で今にも死にそうなソウマの姿……本当なら大声で泣きたかった。しかし、泣くより先にやるべき事があった。
「ソウマ傷は塞がったよ……あとは生きようとするんだよ。諦めるなソウマ=トーラス! 母さんの旦那になったんだろ!」
ソウマは光の中にいた。ゆっくりと魂が肉体から離れる感覚は体外魔力の際の浮遊に似ていた。
「俺は死ぬのか……まぁそれも仕方ないか、コウヤは無事に逃げられたかな……きっとコウヤのやつ、自分のせいだと思ってるんだろうな……すまないコウヤ、俺のせいで……みんなを捲き込んじまったんだな……許してくれ」
ーー諦めるなァァァァ!ソウマァァァァ生きろ!
「コウヤの声がする……」
そんなソウマの前にミカが姿を現したのだ。
「ソウマさん、私達の二人の子供をお願い、先にいってるわ」
「ミカさん……もし、旦那さんにあったらすみませんって言っといて下さい、いつか謝りにいきます」
ミカは微笑み光の中に消えていった。そしてソウマはゆっくりと光から遠退いていく。
そして目を覚ました時、馬車の荷台に寝かされていた。
「俺は……生きてるのか」
「生きています……アナタの為にコウヤは魔力を全て使い果たしました。もし勝手に死ぬような事があれば私が阻止致しますのでそのつもりでいてください。」
パンプキンはソウマにそう言うと更に馬車のスピードをあげたのだった。ソウマは顔に手を乗せ涙を流した。
自分だけが生き残りミカを救えなかった無念さ、そしてアイリを救えなかった後悔、全ての感情に押し潰されそうになっていた。
「ソウマ、良かった……生きてるんだよね、本当に良かった……」
「コウヤ……母さんとアイリを俺は……守れなかったんだ……本当にすまない」
隣同士に横になる二人、ソウマは全てを話した。
何故あんなに早く警備隊が現れたのか、何故、ミカが殺されたのかを……
次回語られる真実は理不尽な物語
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