表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第4章 カルトネ新たな道へ
59/362

校長に引導を!ミーナとコウヤの下克上

 鐘の音が鳴り終ると教室にラスタが姿を現した。


「コウヤ、ミーナさん、今から会場に案内する……話は校長から聞いているだろうが無理はせずに最悪はギブアップもアリだからな」


 ラスタは気が進まない様子で少し小さめの声で少なからずギブアップを進めてきていた。


「大丈夫です。僕達はラスタ先生の言うように無茶はしません」


「まぁ、私は全力でやるけどね」


 二人はむしろ楽しんでいた。そして会場に案内される。


 会場は中庭に造られたリングで、周囲を客席と観覧席がぐるりと囲んでいる。全生徒が試合を観ることが出来るようになっていた。


 会場のゲートを抜けて中に入ると既に観覧席には“強化クラス”と“ Nノーマル クラス”の生徒達が試合を観る為に集まっており、客席も来賓らいひんであろう雰囲気の人達が席についていた。


「オーイ! コウヤーー!」


 会場から大声で呼ばれその声の方に振り向くと観覧席から“ガストン=べラム”が此方に向かい手を振りながら降りてきたのだ。


「ガストン。久々だね」


「久々じゃないぜ! 4年も何処に行ってたんだよ、本当に心配したんだぞ」


ガストンはそう言うとコウヤにハグをする。


「コウヤ、今日の試合に出るのか?」


「うん。そのつもりだよ」


「そうか! 応援してるからな、怪我するなよな、コウヤは危なっかしいからな」


 そう言うとガストンは観覧席に戻っていった。


 二人はそのまま、リングに設けられた選手用の席に腰掛けて待つようにラスタに言われた。待ってる間、生徒達の眼はまるで見世物小屋にでも来たかのように此方を頻りに見てきた。既に学校内で散々、見られてきたので気にしないが、気分の良いものではなかった。


 そして校長がリングに姿を現した。


「全生徒と来賓の皆様、いよいよ。SクラスとZクラスの試合を開始致します」


 その言葉に会場から“パチパチ”と拍手が巻き起る。


「今回は体験入学の為に来られた。ミーナさんとコウヤ君の2名がZクラスの代表選手に成られております。是非応援してあげてください」


 二人の名を全生徒に覚えさせる為に何回か名前の入った話は続いた。そしていよいよ。試合開始まで5分となった。


「緊張してる?」


ミーナの声にコウヤは笑った。


「全然、むしろ楽しみかな?」


「なら良かったわ!さあ、ZクラスがSクラスに殴り込みよ」


 ミーナは楽しそうにそう言うとコウヤの手を引っ張ってリングに移動する。二人の対戦相手は3年生のペアだった。

 1学年下の生徒だが、SクラスとZクラスの試合では良く見る光景らしい。力の差を見せつけるのが目的の生け贄。そう言う目的の試合なのだ。


「ねえ? ギブアップしてくれない、俺達、Zクラスに使う時間勿体無いんだけど」


 Sクラスの二人はそう言うと笑いながらリングに上がってきた。


「なら? すぐに終わらせよう。ギブアップしても構わないよ。下級生を虐める気は僕達も無いからね」


 コウヤも負けじとニッコリと笑った。その態度に3年ペアは苛立ちをあらわにした。


そしてリングに移動した。試合開始のゴングが鳴り。先に動いたのは3年ペアの方だった。


「炎よ我が力となれ〔フレイム〕燃えちゃえよ!」


 そう言うとコウヤに向かって炎を打ち出した。


「はぁ、〔アクアウォール〕」

 コウヤが炎を水の壁を作り消滅させた。次にもう片方が背後から攻撃を仕掛けてきた。


「4年も遊んでた! Zの奴に負けるかーー! 雷よ我が力となれ!〔サンダー〕」


「〔アースウォール〕」コウヤは少し拍子抜けしていた。


 彼等は確かに凄いと思う、詠唱も早いし威力もある。それは事実である。しかし、其だけだった。ミーナも呆れて見ているだけだった。


 コウヤ一人に対して、二人がかりで必死に魔法を打ち出すが防壁魔法だけで全てまかなえていたからだ。


 会場にいた生徒達もざわめき出していた。


「おい、今アイツ詠唱をしなかったんじゃないか?」


「わからないけど、確かに二回目の防壁は詠唱をしてないよな」


 コウヤが無詠唱を軽々と使いこなしていたからだ。


「気は済んだかな? 次は僕の番だね。行くよ! 全ての砂の結晶よ我が声に耳を傾けよ砂の世界を我と共に〔サンドワールド〕風よ我が命令に従い力を解放せよ〔ストーム〕」


 コウヤの魔法はリングを凄まじい勢いで砂に覆われ。そして砂は一気にリングの中を風に乗り視界をゼロにした。は何も見えない二人を一気に攻撃したのだ。


「全ての夢の結晶よ我が声に耳を傾けよ夢の世界を我と共に〔スリープインナイトメア〕」


 二人は何が起きたか、わからないまま気を失った。コウヤは二人に催眠魔法を使ったのだ。


 戦闘向けではないがコウヤの様に視界ゼロでも戦えるならば、これ程便利な魔法攻撃は無い。


「聞こえて無いだろうけど? 僕も4年間遊んでた訳じゃないんだ。ゴメンね」


 砂嵐が止み、リングを見た全生徒達は言葉を失った。リングに立っていたのはコウヤとミーナだったからだ。Sクラスの生徒を無傷で倒し立っていた。


 校長はその光景に目を擦りながら再度確りと目を凝らしている。その顔は青ざめ、今にも目が飛び出しそうになっていた。


「僕達の勝ちだよね?」


 その言葉に審判がゴングを鳴らそうとした。


「ま、待ちなさい!」


 校長が慌ててリングに降りてきたのだ。


「はぁ、はぁ、いやあ! すごい早業でしたね。皆さんもそう思われるでしょう。ならばどうでしょうか! これ程の力があるならば、Sクラスに編入も可能なのです! しかし、下級生を相手では少し実力を計りかねます。なので午後に特別編入戦を行うことに決まりました!」


 その言葉に会場も興奮した。Sクラスに途中編入等、今まで無かったからだ。そして他の生徒からすればチャンスが広がるきっかけになるからだ。


 コウヤとミーナの意見を聞かぬまま昼休憩を挟み、第2戦が開始することが決まってしまったのだ。


「どうする?ミーナ」


 二人は別にSクラスに興味はない、やる必要は無いのだ。


「やるわ、ただし! Sクラスの一番と二番を出しなさい。試合は1対1が条件よ!」


 ミーナは全生徒と校長に聞こえるように大声でそう叫んだのだ。


「わかりました。いきなりの編入試合を受けてくれる初の生徒からの申し出です! 承認しましょう」


 校長はニヤリと笑いそれを受け入れた。ミーナも負けじと不適に笑みを浮かべていた。

いよいよ、戦いが始まりました!卑怯な校長は次に何を仕掛けてくるのか?そしてミーナは何故、1対1の対戦を申し入れたのか!


読んでいただきありがとうございます。

感想や御指摘、誤字などありましたらお教えいただければ幸いです。

ブックマークなども宜しければお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ