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亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第2章 獣人の森 ダルメリア
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コウヤとミーナが里帰り。タライム2

 二人の前に立ちはだかる門番は二人で8000ロンドを求めてきた。


※1ロンド=1円


「8000!」ミーナが大声をあげた。


「ああ、獣人の為に、わざわざ門を開けてやるんだから当たり前だろ?」


「でも、僕達入る時はタダで入りましたよ!」


「知らねえなぁ? 早く払って出てってくれ、獣臭くてたまらん」


 豚のような門番の言葉にイラッとするコウヤ、しかし其れより問題はお金であった。


 二人は通行料があるなど聞いていなかった。その為、旅費に通行料を出せる程の余裕などなかったのだ。


 ミーナが渋々、入り口の門番に見せた紙を提示した。


「あははは! なら早く行きな!」


 門番はそう言うと直ぐに、門を開いた。そして、二人はタライムの外に出たのだ。


「ミーナ?さっきの紙は何?」

「コウヤ、君にも関係あることだよね」


 そう言うとミーナが提示した紙を見せた。それは奴隷証明書だった。


 その紙には、ミーナはコウヤ=トーラスの世話係の奴隷と印されていたのだ。


「どういう事……」


 事態を理解が出来ないコウヤはミーナが何で自ら奴隷証明書を持っているのか、何故、其処に僕の名前が記されているのかを尋ねたのだ。


「初めてコウヤをダルメリアに運んだ際に貴方の身分証明を作ったのよ、私はコウヤの奴隷と言う立場でなければ、タライムに一緒に入れなかったの」


「でも、ミーナはタライムを通らない行き方を……他にも行き方があったんだよね!」


 その質問にミーナは下をむいた。


「コウヤを一刻も早くダルメリアに運ばなければいけなかったのよ……他の道を使えば一月半掛かるわ、君にそんな余裕は無かったの」


その言葉に愕然とするコウヤ。そしてミーナは片方の肩を見せたのだ。


「ミ、ミーナ……それって……」


 ミーナの肩には、奴隷の焼き印が確りと焼き付けられていた。

「タライムに入る時に身体検査が獣人には在るのよ。その為に焼き印が必要だったの、私は急いで魔法を使って、砂から鉄を生成して、其れを炙って肩に押し付けたわ。焼き印は奴隷の証だから上手く騙せたわ」


 余りのショックに言葉が出なかった。


「1度身体検査が済めば次回からは、奴隷として紙一枚で入れるようになるのよ」


「ミーナ……ごめん、僕なんかの為に」


「謝らないで……後悔してないんだから」


 ミーナはそう言うが奴隷の焼き印がある以上、ミーナは2度と国家魔導士にも、医療魔導士にも、なれなくなった。


「コウヤ私は幸せよ、だって君と全てが繋がれてるんだよ。心も体もずっとコウヤの物よ。嬉しいでしょ、また18才を向かえたらナイスなボディに戻るんだよ?」


 ミーナは無理に明るく振舞いコウヤを慰めてくれていた。


「コウヤ……やっぱり嫌なのかな、ううん、嫌よね。奴隷の焼き印がある女なんてさ」


「そんな事ない……印があろうが無かろうが、ミーナはミーナだ」


「なら笑ってよ……コウヤが下をむいたら、私、悲しくなるのお願い」


 ミーナを見つめ。そしていっぱいいっぱいに笑った。


「ありがとう……コウヤ、でも、凄く変な顔になってるわよ、ふふふ」


 そしてミーナは紙を取りだし、僕が知らない呪文を書き始めた。


「コウヤ。指を出して少しチクッとするわよ」


 言われ人差し指を出す。ミーナが指先を針で刺したのだ。その血は紙にポタポタと垂れ染みのように広がった。


「いきなりゴメンね」


「痛いなぁ、いきなりビックリしたよ? 何なのそれ?」


ミーナは質問に答えないまま紙を手渡した。


「コウヤその紙を私の背中に貼って欲しいの」


そう言うとミーナは上半身を脱ぎ始める。


「な、何してるのさ!」


 慌てて体外魔力を遮断したコウヤ。


「コウヤ、お願いしっかり見て早く貼って、誰か来たら嫌だから」


 再度、体外魔力を発動したコウヤの目の前には、ミーナの小さな背中があった。獣人と言っても、女性型の獣人は、毛深い訳ではない。


 顔は獣に近いが、凄く美しい顔立ちの者も多くミーナはその中でも飛びっきりの美人だった。年齢が若返った今のミーナは美少女と言うべきだろう。


「コウヤ、確りと貼ってね?」


 ミーナに言われ、その透き通るような肌に呪文の書かれた紙を貼りつける。


「うう、うわぁぁぁ」


ミーナが苦しみ出した。


「ミーナ? ミーナ!」


「大丈夫、心配しないで……」


 それから直ぐにミーナは気を喪ってしまった。ミーナをワットに乗せて川原に急いだ。そしてミーナを横に出来る場所を見つけ直ぐに濡れタオルを額にあてる。


「熱い……背中がアツい……」


 無意識にそう言うミーナの背中を濡れタオルで拭こうとすると。


「あつ」濡れタオル越しに、その熱を感じるほどの高温だった。何度も、水を汲み替えてミーナの背中を冷やし続けるコウヤ。ミーナが意識を取り戻したのは日が暮れてからであった。


「ミーナお腹空いたでしょ? スープしか無いけど」


「コウヤ……私……」


「ミーナ……今はいいよ。それよりちゃんと食べて」


 そう言われミーナはスープを口にした。


「コウヤ、私はずっとコウヤと居たいよ」


 何故かミーナは泣き出すミーナ。


「僕はずっといるよ。ミーナと居たいんだよ、だから泣かないで」


「もし、私が嫌になったらちゃんと言ってね、私はコウヤに従うからね」


 その日もミーナと一緒に野宿をした。色々な事を考えながらコウヤも目を瞑った。


 タライムと言う町を嫌いになった事だけが事実として残った。そしてミーナに取り返しのつかない傷を負わせてしまった事実。


「僕は子供じゃダメなんだもっと知りたい、世界とは何なのか……なんで皆が笑えないのか」


 その日は夜空に雲がかかり、夜の月と星は消え、全てを真っ黒く染め上げていた。

ミーナの背中に新たに刻まれた呪文、その文字はコウヤの未だに知らない物だった。


そしてミーナの口から語られた、その意味とは?


読んでいただきありがとうございます。

感想や御指摘、誤字などありましたらお教えいただければ幸いです。

ブックマークなども宜しければお願い致します。

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