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王の帰還3

 コウヤ達を出迎えるように大樹ダルメリアが風に靡く、次の瞬間一斉に駆け出してくる大勢の獣人の匂い。


 懐かしさを感じされる無数の香りが次第に近付いてくる。


 草むらを掻き分けるように姿を現した多くのダルメリアの獣人達。


「コウヤ! 皆来てくれッ! やっぱりコウヤとミーナ達が帰ってきたんだ」


 獣人の一人が大声をあげるとダルメリアの全ての獣人達が集まったのでは無いかと感じさせる程、多くの獣人が集まり、宴のように皆が騒ぎ歓喜の声を大きくあげる。


 ダルメリア中に響く獣人達の雄叫びと遠吠え、其れを合図に次々とエルフ、ゴブリン、魔族と言った数多の種族が一斉に集まり出す。


 広場を埋め尽くすように集まった多くの者達はコウヤ達の帰還を祝うように気づけば酒が運ばれ、料理が用意されていく。


 宴が始まる頃、慌ててダルメリアの森を進む一団、コウヤの帰還を知り、ミカソウマの城の防衛を任されていたボルトとガザの部隊が駆け付けたのだ。


「コウヤ殿! 御無事ですか!」


「旦那、無事の知らせを聞いて飛んで来やした。テルガは生憎、くじ運が無くて城の警護に残ってやすが大変心配してやしたぜ、其より見慣れない御方がいるようで……」


 ガザがそう言い、目線を向けた先にはチェルバランの部下であったバルゼンとその部下達であった。


 バルゼンと悪魔の部隊はガザを含む多くの民の前で片膝をつき、ぶれる事なき真っ直ぐ表情を浮かべると頭を深く下げる。


「我等、少数ではありますが、トーラス王に忠誠を誓い傘下させて頂きました。多くの我等が無礼と愚かなるチェルバランの行動に深く謝罪致します」


 ガザとボルト、そして皆がその言葉に拳を握るも、それは直ぐにほどかれる。


「旦那が仲間だと認めたなら、恨みは無しだ。あっしらはコウヤの旦那に意見する気は毛頭ないでね。しかし、その忠誠が偽りとなった際には誰だろうと赦さない、それは御互いにです、堅苦しく言いやしたが、仲間を裏切らないで欲しいって事で、改めて宜しく」


 ガザの言葉に皆が納得するとバルゼン達は再度深く頭を下に下げたのであった。


 コウヤ達はダルメリアで軽い宴を楽しみ、夜になる前に1度ミカソウマへと向かう事になる。


 ミカソウマへと向かう一行を遠くから眺める複数の人影。


 そんな彼等は足早にミカソウマへと移動していく。


「実に信じがたいねぇ、でも今回の全てを前もって聞いてたから実に納得だぁねぇ! 魔王としての資格は十分あるだぁね」


「本当に不思議な物で、運命の悪戯と言うには余りに過ぎた話です。しかし、だからこそ、人生は面白いと言うことでしょう」


 移動する彼等はそう語ると更に速度をあげ、コウヤ達よりも先にミカソウマへと向かっていく。


 ミカソウマでは、アイリがコウヤの帰りを待ちわび、城内は華やかに彩られていく。


「さあ、皆。もうすぐ御兄ちゃんが帰ってくるわよ。頑張って」


 アイリが指示を出しながらパーティーの飾りつけが進んでいく。


 御祝いムードに包まれたミカソウマは王であるコウヤの到着を出迎える用意で活気づき、皆が笑みを浮かべ紙吹雪を手に家の窓を開き、外で待つ者達は大通りに左右に別れ、その姿を見ようと人だかりを作り上げていく。


 そんな事とは思わぬコウヤ達がミカソウマの門の前まで辿り着くと大きなラッパの音が鳴り響く。


「開門ッ! 国王、コウヤ=トーラス様。御帰還!」


 門兵の声が響き門が開かれる。

 その瞬間、紙吹雪が舞い上がり、風に揺らめく色とりどりの紙吹雪は光に当てられ瑠璃色に輝く。


 コウヤ達はミカソウマへと帰還を果たしたのである。

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