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ぶつかる思い4

 アリス達はカプセルの並ぶラボに生存者が居ないかを確認していく。


 ラボ内部には生存者は愚か死者の姿すらなく、残された機械には“スリープモード”と言う表示が不気味に点滅している。


 アリスとリーは手分けして災害時の緊急マニュアルを探すことにする。


「ねぇ、リー、本当にそんなマニュアルが残されてるのかな?」


「残してないといざって時に“スリープモード”の解除が出来ない筈、扉だって外部からのアクセスを拒否する仕組みだったんだ」


 アリスとリーはマニュアルを探しながらある事実に気づかされる。


 ラボの内部には海水が侵入した形跡が無かったのである。

 見える部分は掃除が確りとされているにも関わらず、至る部分にアトランティス内の他エリアには見られなかったホコリが無数に見つかる。


「このラボは水に浸からないように作られてるんだ、でも何で……海に潜る目的のアトランティスにそんなラボがあるのかしら」

 しきりに首を傾げ、悩むアリス。


 リーはマニュアルを探すのを中断し、ある言葉を口にする。


「このラボ、再起動の時間が設定されてるみたいだよ。全部の画面のしたによくわからない数字が点滅してる」


 その言葉にアリスが画面を確認する。


 画面に表示された数字【18474,1/1】


 アリスはその意味を直ぐに理解する。


 カカ達はアリスとリーの言葉が理解できずにいた。


 数字に関しての常識が異なる事実、そして自分達の知らない未知の鉄の塊に光る輝き、全てがカカ達の常識の範疇を大きく上回っていたからに他ならない。


「訳がわからない、つまり何なの?」


 質問を投げ掛けるカカ、それに反応するように一同がアリスとリーを直視する。


「今から一万数千年後に再起動、つまりこの機械が動き出して、ラボが起動するように設定されてるの」


 リーはカカ達に話始める。


 遥かなる未来の先に人類の存続すら危ぶまれるであろうと言われた大規模な戦争があった。

 人類は混沌の時代に突入する、世界は二つの考えに別れることになる。


 1つは人類の存続、生き残った子孫を遺せる者達の保護と生活、自然のままの流れを保ちながら世界に充満した放射能汚染を浄化していく考え。


 もう1つは人類のDNAデータを保存し其所から記憶を電子化し、人為的に造り出した新たな肉体に記憶をインストールすると言う非人道的と言われた考え方である。


 アトランティス内部に造られたカプセルは後者の考え方を思わせる物であり、リーはある決断をする。


「これは存在したらいけない技術なんだ……人がカプセルから生まれるなんて……」


 拳を震わせるリー。


 そして、機械に向かってその場にあった椅子を投げつける。


 “ガシャン”と言う画面にヒビが入る音がラボに鳴り響くと突如、天井のランプが赤く光り回りだす。

 画面に表示された数字が時間に変わり、再起動までの緊急プログラムが起動する。


 リーは再度、画面に椅子を投げつけ、怒りに身を震わせる。


「ふざけんなッ! こんな、こんな人を人とも考えない物があって言い分けない! 私達は科学者なんだ! 神の真似事なんかが赦される訳がない!」


 無情にもリーの叫びとは裏腹に再起動の準備を完了していくラボ、そして『 栄光の計画(グランツプログラム)始動』と言うアナウンスが流れる。


 突如として足元から鳴り響くモーター音が鳴りやむ。


 カプセルの1つから液体が吸い出され抜けていく、カプセル内で微動だにしなかった少年が目を見開き、立ち上がるとゆっくりとカプセルの繋ぎ目を両手をあてる。


 カプセルはゆっくりと開き、少年がカプセルの外に姿を現す。

 予想外の状況にアリスとリーが慌てる最中、カカ、ディアロッテ、ラシャはカプセルに対して攻撃の構えを即座にとっていた。



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