表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
295/362

運命の選択3

 エデン壊滅後、世界に人類存続の地となる場所は三ヵ所のみとなった。


 陸、海、空にそれは存在する。 


 海底移動型要塞【アトランティス】


 飛行城塞【マチュピチュ】


 そして、大陸の森、その名を【ダルメリア】、コウヤ達の住む森である。


 森に名を付けることを提案したのはアリスである。


 世界から次々に反応がロストする最中、エデンの脱出シャトルの反応に気づいた【アトランティス】と【マチュピチュ】から同時に通信が入ったのである。


『此方、飛行城塞マチュピチュ、生存者がいるなら返答されたし、どうぞ』


『此方はアトランティス。エデンの脱出シャトルで間違いないなら、生存者がいるなら状況を教えてくれ』


 2つ同時の通信に対してアリスが返答を返す。


『此方、エデン脱出シャトル。生存者は2名、未登録者が2名の計4名が生存、エデンは壊滅……現在の詳細不明、生存者と被害者の安否ともに不明、現在地にて生存可能、以上です』


『此方、アトランティス。状況を把握。合流を望ならば救援部隊の検討を行う、どうぞ』


『此方、マチュピチュ。アトランティス同様に必要ならば救援物資と救出部隊を向かわせる。アトランティスが許されるなら合同にて救援ならびに互いの情報の交換と直接の対話を望む、両者の返答を待つ、どうぞ』


 話が進むにつれて、コウヤとミーナは自分達の存在を知る者が増える事を警戒する。


 そして、コウヤとミーナは決断をする。


「僕とミーナはこの場から去るよ。アリスとリーは救出部隊を待ってからこの森を出ていって、数日は持つように防壁を作るから」


 コウヤは防壁を展開すると、森に存在する魔力を全て体内に集めていく。


 焦り、コウヤとミーナを止めるアリス。


 しかし、森が生きる為に必要な魔力だけを残し、コウヤとミーナは森を後にしたのである。


 防壁の外に出ればアリスは生きられない、二人を止める事の出来ないアリスは「来てしまってごめんなさい、ありがとう……コウヤ、ミーナ」と涙ながらに感謝と謝罪を口にする。


 森を後にしたコウヤとミーナは自分達の進む方向に真っ直ぐな防壁を展開し、汚染された大地を踏み締めながら進んでいく。


 自身の手で作り上げた安住の地を後にするその切なさを一歩一歩に感じながら新たな森を作る為の旅が始まる。


「コウヤ、本当によかったの? あの森をあと数年、広げれば間違いなく帰れたのに?」


「いいんだよ。僕達はこの世界に居ない筈の存在なんだ。これ以上、人間と関われば、いつか僕達の存在をよく思わない連中が周りを巻き込む筈だ。それに世界には2つしか人類が生存する場所が無いなら、敵の行動も読みやすいしね……」


 コウヤは、あえて口には出さなかったが【アトランティス】と【マチュピチュ】のどちらかが確実に襲われる事を予想していた。


 アリスとリーの居場所を体外魔力で確認しながら、その日の夜、防壁に包まれた二人は砂の上に寝そべると眠りについた。


 静かな夜の空に鳴り響く轟音。


 聞きなれない音に慌てて目を覚まし立ち上がるコウヤとミーナ。


 夜空を橙色(だいだいいろ)に染めながら頭上を通過する巨大な鉄の大陸を思わせる船、その周りを飛び交い攻撃する無数の影、次第にバランスを失い傾く鉄の大陸。


 コウヤとミーナは急ぎその場から駆け出すと、来た道を引き返していく。


 森に近づくにつれて、植物の燃える臭いが二人の鼻を掠めていく。


「何が起きてるんだ! さっきのはいったい!」焦るコウヤ。


「わからないけど、森の方に飛んでいくアレ、嫌な予感がする。アリスとリーが心配だわ急ぎましょう」


 強化魔法(アシスト)を使い、ミーナを抱き抱えたコウヤが一気に加速する。


 森へと辿り着いた時、コウヤとミーナは目の前に広がる炎が作り出す灼熱の世界に言葉を失った。


 森の遥か先に地面を削るようにして墜落したであろう鉄の大地が燃え上がり、風が運んだ火の粉が辺り一面の木々に引火し森が悲鳴をあげていた。


 そんな最中、脱出シャトルから聞こえる叫び声。


『此方、エデン脱出シャトル! お願い誰か返事して……』


『…………』


「なんでよ、私達は此処よ! 死にたくない……誰か助けてよォォォ」


 アリスの叫び、その瞬間、脱出シャトルに飛び込むコウヤ。


 リーを抱き抱えながら無線を手に涙を流すアリスの姿が其処にはあった。


「大丈夫! よく分からないけど、此処は危ない! リーは僕が運ぶからアリスはミーナと一緒に外へ、急いでッ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ