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時空の先にある世界3

 次第に教会のある街へと近づいていくコウヤ達、ミカソウマの大部隊。


 その異変に気づいた人々がパニックを起こすと一斉に教会へと雪崩れ込む、しかし、教会は慌てて扉を閉ざしたのである。

 無理に入ろうとする者を次々に槍や棍棒で凪ぎ払い人々が絶望していく。

 人間しか存在しない世界に現れた異形の集団に神を求める群衆はその場に膝をつき祈りを捧げ始める。


 自身の力で運命に向き合う事を忘れた人間の姿に悲しみと苛立ちを感じるコウヤは無言のまま、群衆が作った道を歩き教会へと進んでいく。


 近づくにつれてその巨大にして恐々強い教会の姿にコウヤは怒りの全てを込めて口を開く。


「全員、チェルバランを見つけるまで戦い続ける覚悟を決めよ。僕は……魂を焼かれても戦う覚悟を決めた! 全員、掛かれぇぇぇぇッ!」


 振りかざされた刀の切っ先が教会へと向けられ、一斉に襲い掛かるミカソウマの戦士達、扉が開かれると武装した信徒達が飛び出し両者の激しいぶつかり合いへと発展する。


 しかし、病に蝕まれ弱体化した信徒達が屈強なミカソウマの戦士を前に勝てる筈はなく、無惨にその場に横たわっていく。


 一方的な戦況にも関わらず姿を現さないチェルバラン。


 不気味な程、静まり返る戦場となった街中、悪魔を倒す為に奮闘するミカソウマの戦士達を怯えた目で見つめる群衆は無言のまま、目で訴えていた。


 群衆の目は『悪魔が世界を滅ぼしにきたのだと』無言のままに語っているようであった。


 全身を信徒達の血で染めたコウヤ達は彼等信徒からすれば悪魔でしかなかったのだ。


 教会の中では慌てて逃げ出す幹部達の姿があり、釜戸の管理をしていた信徒達も職務を放棄して逃げ出し始めると炎が暴走し、教会が炎に包まれていく。

 煙突から吐き出されていた黒い煙りが教会全体から巻き上がり、屋根が崩壊し煙が一気に大空へと舞い上がっていく。


「世界の終わりだ……神が悪魔に焼かれていく……終わりだ……」と口々に語り出す信徒達。


 その時、大空の黒雲(こくうん)が左右に割れると空にチェルバランとその部下達が姿を現したのである。


「聞けッ! 救いを求めし信徒達よ。今まさに邪悪なる者達が世界の破滅を引き起こそうとしている! 命を燃やし世界を救う時がきたのだ! さぁ、邪悪なる者達に神の裁きを!」


 まるで自身が神であるように振る舞うチェルバランの姿にコウヤはある確信に似た感覚を覚えた。


「僕達は勘違いしてたのかも知れない。チェルバランは只の指揮官じゃない! 敵の親玉だったんだ」


 ランタンはコウヤの言葉に頷くと周りに群がる人間達が武器を手にする姿にどう対応するべきかを悩まされていた。


 怯える表情を浮かべながらも震える手に木の棒や包丁が握られている。


 口々に「悪魔なんか怖くない……神は我らの頭上に」と呪文のように口にする。


 一人の男が走り出し、コウヤに襲い掛かる。

 男の手に握られた包丁が振り翳された瞬間、コウヤは男の手首を掴み、前のめりになるように自身の脇に引き込むと(あご)に肘鉄を食らわせる。

 男は何が起きたか理解出来ないという表情を浮かべたまま、気を失いその場に倒れこむ。


 余りに呆気なく倒された男の姿に後退りをする群衆、その姿にコウヤは目を血ばらせて声をあげる。


「死にたくないならッ! 今すぐにこの場から消えろ!」


 そう言うと襲ってきた男を群衆に向けて放り投げるコウヤ。


 男を慌てて連れて逃げる群衆の姿を確認したコウヤはチェルバランに対して睨み付ける。


 逃げ惑う群衆の姿に苛立ちを隠せないチェルバランは眉を動かし表情は憎悪に支配されたかのように歪んでいく。


 互いに睨み合うコウヤとチェルバラン。

 空から下を見つめるチェルバランは攻撃を指示するように腕を前に向けると同時に手を天に向けるコウヤの姿。


 神を語る悪魔と悪魔と呼ばれた魔王の戦いが始まる。

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