人間はそう言う生き物!
長い学校での1日が終わり、僕は急ぎ森へと向かっていた。
今回の一件は僕が転んだ為、ガストンは怪我をしなくてすんだ。本当ならガストンは死んでいたかも知れない、そう考えたら急に怖くなった。
僕は今の魔力を確りと操作する術を知らないでいた事に気づかされた。
どんなに体外魔力が制御出来ても、放出する魔力がコントロール出来ないのでは、諸刃の剣とかわらない。
森へ着くといつもの様にソウマが僕を迎えてくれた。
「よう、コウヤ今日は遅かったな。ん? その魔力はどうした、いつもと魔力の波長が若干違うようだが?」
ソウマの問いに僕は答えられないまま、僕は涙を流しその場にしゃがみ込んでしまっていた。
「ソウマ、僕……友達を死なせかけたんだ…それで……意識を失って……それで」
その時ソウマが僕に近付き僕を抱き締めてくれた。
「大丈夫だ、コウヤ大丈夫だから、死なせかけたって事は生きてるって事なんだよな? もし生きてるなら今すぐに俺が行って全力で再生魔法を掛けてやるから案内しろ!」
「違うんだ、僕……僕……力を全力で拳に集めたんだ、走りなれて無かったから……転んじゃって、そしたら学校のリングが粉々になって…もし攻撃が当たってたら……僕……人殺しになってたかも知れなくてそれでそれで……」
その瞬間ずっと我慢して繕ってきた感情がまるでダムが崩壊するように溢れ出してきた。
僕は今まで出した事のないくらい大声で泣いた。
どんなに辛くても、平然を装い無理に笑顔を作って来た。
誰にもバカにされない為に必死に耳を研ぎ澄まし言葉や物の形を覚えてきた。
盲目だからこそ、僕は誰にも負けたくなかった。
でも今日、初めて僕は目が見えなくて良かったと心から思った……そうでなければ、はじめの魔術の授業できっと誰かを殺めていたと思うからだ。
グシャグシャな顔でソウマに泣きつく形になってしまったが、ソウマはそれを受け入れ泣いてる僕を抱き締めてくれた、それが本当に嬉しくて心細くなっていた僕はまた泣いていた。
「今日の修行は無しだ、とりあえず家に帰ろう、ミカさんが心配するから」
僕は頷く事しか出来なかった。
「コウヤ、人間てな? そうやって成長するんだよ。過ちに気づき、それを自身がどう受け止めるかで今後の身の振り方まで決まる、いい経験をして怪我人が居なかったなら、それはむしろプラスなんじゃないかな、俺はそう思うがな?」
ソウマの言葉は凄く暖かく僕は救われた気がした。
そして母さんが待つ家に灯りが灯っているのを体外魔力で感じると僕は嬉しく泣きたくなった。
「ソウマ……灯りが見えるってこんなに暖かい気持ちになるんだね」
ソウマの背中におぶさり、僕はそう呟いた。
「光があるとな、人間は心からホッとするんだ。
それだけで嬉しくなれるんだ? 意外に安上がりだよな、ははは、人間はそう言う生き物なんだ、悪くないだろ?」
ソウマはそう言って笑ったが暗闇しかなかった僕からしたら今見えてる光は暖かくて眩しすぎるまるで太陽のようであった。
今日も3人でご飯を囲む、そんな小さな幸せを子供の僕は心から幸せなんだと感じた。
この幸せをずっと大切にしたいとそう思った。
その日の晩の稽古はソウマがつけてくれた。
やはりソウマは強い、僕も子供なりに強いとソウマは言うがそれでも一撃も当てられないのが悔しかった。
「コウヤ、体外魔力に頼りすぎだ! むしろ視るのではなく、流れを感じるんだ!」
ソウマは体外魔力を応用して相手の気の流れを感じるように言ってきた。
体外魔力を相手の全身に集中させる。
それと同時に体に光景を写し出さねばならない、凄まじい集中力が必要とされるが元々、眼に頼らない僕にはむしろ簡単に感じた。
普段は一時間程の稽古だが、明日は学校が休みと言う事もあり、気付けば三時間をいうに越えていた。
母さんが僕たちを止めに来たが僕のワガママでソウマに頼み続行してもらった。
その日、僕はソウマと一緒に道場で寝ることにした。
「ソウマ……今日はありがとう」
「コウヤ、お前は、まだまだ強くなれる。だから今から心も成長していかなくちゃいけない、俺はそれまでちゃんと居てやるから安心しろよ」
ソウマの言葉が暖かくそして、強くなったら……成長したら……終わりをつげるのかな……僕は嬉しいような悲しいような、複雑な気持ちに成りながら眠りに着いたのだった。
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