練習試合は、獣戦士と供に
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ダルメリア二日目……コウヤは一人での修行になった。
館からダルメリアの森に向かうコウヤは、森の中にあるミーナの村を目指すことにしたのだ。
午前中は獣人の村で修行させてもらった。
タダン達が朝から稽古しているのを覚えていたコウヤは直ぐに稽古場に向かう。
タダンが快く一緒に訓練や稽古を受けさせてくれた。
獣人の攻撃をひたすら躱す特訓は流石にキツかったが、タダンを含む他の他の獣人達が目を丸くする程、コウヤの動体視力に驚いていた。
そんな時、守り人の一人ダルムがやって来た。
「なんだ、盛り上がってるな?」
「よう、ダルム。コウヤが朝から稽古しに来てるんだが凄いぞ。四人相手に攻撃を躱してるんだ、しかも反撃なしでだ!」
其れを聞きダルムがコウヤの動きをじっと見つめる。1分足らずで見るのをやめるとダルムが四人の獣人を下がらせた。
「いきなりですまないな。コウヤ、まだやれるか?」
「ダルムさん!」
「やれるか? 無理ならいいが」
いきなりのダルムの登場にコウヤは驚いたが直ぐに其れを了承した。
「大丈夫です!」
そう言うとダルムが訓練用の木製の剣を構えコウヤに突進していく。
ダルムの巨体からは想像できない程の速度、そして体勢を低くした位置からの斬撃は他の獣人と違い実戦を重ねてきた守り人ダルムらしい激しい剣であった。
1回躱す毎にダルムの剣がコウヤを確実に捉えにきている。コウヤは確信したダルムは他の獣人より遥かに上の戦士であり、自分がまだダルムに遊ばれていると。
コウヤは一撃をただ躱すのではなく、ギリギリであえて躱していく。それは遊んでいるダルムに対するコウヤなりの本気をアピールするものであった。
「ほう? まだギリギリまで耐えるか、驚いたぞ」
他の獣人からすれば、コウヤがただギリギリで何とか躱しているようにしか見えなかったがダルムにはハッキリと剣筋を確認し剣先が触れるギリギリを回避するコウヤの姿が眼に写っていた。
「ルール変更だ! コウヤどちらかが降参するか戦えないと判断した時点で終了だ。ダンダ、審判を頼む」
互いに向き合い仕切り直しをする。
「始!」ダンダの掛け声が稽古場に響く。
一斉に走り出す両者はリングの中央で互いの剣をぶつけ合った。“ギギギ”っと互いの木製の剣が擦れ合い激しくぶつかかり剣がヘコミ合う。
其れをまるで楽しむ様に二人が激しく切り合う中、皆は固唾を飲んで其れを見守る。
誰一人、言葉を発することはない。ただ眼を放すことが出来ない程激しく打ち合う二人に見いっていた。
「アハハ! 最高だ。これ程の戦士はダルメリアにもそうはいないぞコウヤ! ドリャアァァァ!」
「此方も負けないよ。ダルムさん! ウオリャァァァ!」
両者のかけ声とぶつかり合う剣の激しさは空気を震わせた。間近で其れを感じるダンダはまるで自分が斬られてしまうかのように錯覚してしまいそうに感じる程の闘志が互いに向けられている。
互いに稽古である事を忘れたかの様に打ち出される斬撃。ダルムらしからぬ大振りな攻撃を繰り出してきた瞬間、コウヤがダルムの懐に入り込む。
其れを予期していたダルムが全力で剣をリングに突き立てる様にして突きおろす。コウヤが其れを避けた瞬間、若干だが足がよろめく。
次の瞬間、コウヤの目の前にダルムの剣があった。
「俺の勝ちだな?」
「みたいですね、ダルムさん。参りました降参です」
コウヤが敗けを認めるとダムダが試合終了を告げた。
「「「ウオォォォォォォ」」」
皆が二人の勝負に歓喜の声をあげる。
激しい打ち合いが終わると皆と水浴びに向かう。
汗を流したあと、ダンダやダルム達と昼食を共にして午前の修行を終了した。
昼食を終えるとダルム達の森の警護番になり其れを見送った。コウヤは館に1度戻る事にした。
館に着くとメイド長のディアロッテが庭にいた。
普段メイド服姿のディアロッテがその時はスラッとしたズボン姿に見慣れない筒を背中に背負い出掛ける用意をしているようであった。
ディアロッテがコウヤに気づき何時ものように軽く頭を下げる。
「何してるの? ディアロッテさん」
「今から山鳥を取りにいくのですよ」
他のメイドでは山鳥を取れないのでディアロッテ自ら調達に行っていたのだ。
獣人達もワザワザ捕まえ難い山鳥を取るようなことはしないので必要になる度にディアロッテが山に入っていた。
「ディアロッテさん? 僕も行っていいですか?」
「構いませんが余り面白い物でもないですよ?」
「大丈夫です! ありがとう」
こうして午後はディアロッテと共に山に入る。
コウヤはディアロッテの背中に背負っている筒の使い方を知りたかったと言うのが本心であった。
ダルメリアの森の奥にある山に出発した。
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