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亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第二部 魔界偏 新に掴むべきもの
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秘密の特訓

コウヤとマトンが修行するダルメリアしかし、そこには、新たな人物の存在が!

 獣人の森ダルメリア、禁忌の森 エレよりも遥かに広大な面積があり、獣人達が独自の文化を育んできた森。


 コウヤは1年振りにダルメリアの大地を踏み締めていた。ダルメリアへの門を潜ると館の中から、女性と数人のメイドが出てきた。


「10年振りに来たわね、マトン懐かしいわ」


「お久し振りに御座います。キャスカ様、御美しいお姿を拝見できる此度のダルメリアへの道程、心より楽しみにしておりました」


「相変わらず堅い言い回しね、貴方らしいわ、あら? 珍しい今年は二人なのね」


「はい、シアン様から二人で戦魔祭に出るようにとの御命令でして」


 マトンとキャスカと呼ばれる女主人は挨拶を済ませると直ぐに館の中に通された。


 キャスカ=マーブル。


 彼女は魔族と獣人の中を取り持つ外交官のような存在だ。

 美しい薄紫の肌と青い瞳、細身の体つきで身長は高め、168センチ。獣人と魔族のハーフであり、牙と爪はその血統を確りと受け継いでいる。


 普段は館の中で侵入者が門を抜けてダルメリアに来ないように見張っている。因みに門番をしているのもキャスカの作り出したゴーレムである。

 門に誰か来る度にキャスカがゴーレムを通して不備が無いかを確めるのだ。


 マトンの説明には、もう1つ注意があった。


「コウヤ、夜中にキャスカにあってはいけないぞ、いいな」


「は、はい」


 マトンはそう言うと部屋の中に入っていった。


 マトンとコウヤの部屋は別々に成っており、隣同士ではあるが快適な生活を送ることが出来るようにと配慮がされていた。


 実際はマトンの使う部屋は一人部屋で、コウヤの寝るスペースが無かっただけである。


 コウヤは部屋に入ると荷物を置き、そして刀の鞘を確りと腰に撒いた。


 刀に関して素人だったコウヤは島人の老人、『源朴ゲンボク』から刀に関する知識を色々と教えて貰っていた。


 日本刀……鉄を斬る剣だと聞いて驚いたコウヤは、試しに木を斬ろうとしたが斬るどころか、斬りかかったコウヤの手が反動で痺れ痛くなってしまう始末で悪戦苦闘していた。しかし、源朴から斬り込み、踏み込み、確度、タイミング、と次々に指摘され、みっちりと仕事と修行を繰り返してきていた。


 因みに源朴(源さん)は庭師である。源朴とコウヤの出逢いは誕生日のあと直ぐの事だった。


「コウヤ坊、誕生日おめでとう」


 余り喋らない源朴が自室に帰ろうてするコウヤに話しかけてきたのだ。


「ありがとうございます。源朴さん」


「実はランタンから、コウヤ坊の事を頼むと言われてな」


「え? パンプキンからですか」


「そうそう、もし話を聞く気があるなら明日の日が沈む頃に庭の北側にある大木に来とくれ、ちゃんと刀を持ってくるんだぞ」


 コウヤは仕事を終えると直ぐに北側にある大木に向かった。


「来たな、コウヤ坊」


 コウヤが大木に辿り着くと源朴が大木の前に座り込んでいた。


「源朴さん来ましたよ! パンプキンの頼んだ事を教えてください」


 そう言うと源朴が『取り合えず、刀を使ってみろ、日本刀は鉄すら斬ることが出来るんだ』と源朴は楽しそうに笑った。


「わかりました。いきますッ!!」


ーー鉄も斬れるなら木なんか簡単に斬れるならって事だよね?


 しかし、刀は大木に挟まり、その余りの反動がコウヤの手を襲った。手は痺れコウヤは刀を手放してしまった。


「いった!」


 その一瞬の隙をついて、源朴が刀を掴むと大木から刀を抜き、更に振り向き様に凄まじい勢いで大木に斬りかかった。その踏み込まれた地面には、くっきりと足の跡が残り凄まじい音がなった瞬間、刀が黒光りしたように見え、ゆっくりと大木が地面に倒れ込み“ ズシンっ ”と鈍い音が鳴り響いた。


 コウヤは目の前の光景に目を疑った。


「う、うそでしょ! だってさっきは斬れなかったのに……なんで」


「単純な話さ、コウヤ坊は刀をしらないから斬れないのさ、どうだ? 刀の事を知りたくなったかね?」


 そうして、源さんに刀の修行をつけて貰うことになったのだ。最初は素振りに踏み込みと刀ではなく、木刀を使い徐々に重たいものに代えていった。


「源朴さん、何でわざわざ、重たい木刀にするんですか、刀事態は軽いのに?」


「其れは時期にわかる。あと源朴でなく、源さんと呼んどくれ、源朴と呼ばれると、どうも背中がむず痒い」


 コウヤの修行開始から4カ月。


 シアンに呼び出される1ヶ月前に修行開始から初めて刀を握った。そして、源さんが試し切り用に竹を集め、それを束ねた物を斬る事になる。


 本来ならば有り得ない速度で成長していると言われ、4ヶ月目でやっと試し切り、刀を握り、確りと踏み込む、手首は自然体でありながら刀がぶれないように集中するコウヤ。


“ひゅん”と言う音と共に刀が竹の束を綺麗に切り落とした。この瞬間、コウヤは初めて刀を使えたと実感した。


 そして、館の部屋の中で源朴から教わった手入れをする。

 すると扉がノックされ、メイドがコウヤを呼びに来た。


「1階でキャスカ様が御待ちです。御越しくださいませ」


そう言うとメイドは1階に戻っていった。コウヤは直ぐに1階に向かった。

読んでいただきありがとうございます。

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