そして、ダルメリアへ
コウヤとマトンの1ヶ月が始まる!
最近のコウヤは男性人に引っ張りだこです!
旅の準備を終えるとマトンの待つ食堂に向かうコウヤ。
来たのを確認するとマトンは直ぐに“ ギルホーン ”を二匹連れてきた。
「コウヤ、ギルホーンには乗れるか?」
「多分、大丈夫です。世話ばかりで乗ったことはないですが」
それを聞きマトンは安心したように頷いた。
二人はギルホーンに跨がると屋敷を後にした。
街中を駆け抜ける際に“カフェコバヤシ”の水撒きをするミーナを見掛けて手を振るコウヤ。
「ミーナーー行ってきますーー!」
「え? コウヤーー! あぁぁぁもう、行っちゃった」
コウヤとマトンは街を抜け草原を駆け抜けていく。二人は草原を抜けた先には巨大な川があり、其処に架かる小さな橋を渡り、更に先にある森を目指す。
鬱蒼と木々が生い茂る広大な森の中を更に先に進んでいくと小さな祠とその後ろに洞窟が見えてくる。
マトンが祠の前でギルホーンから降りるとコウヤも続けてその場でギルホーンから降りる。
次の瞬間、マトンがギルホーンを二匹とも森の中に放した。
「え! いいんですか、マトンさん」
「大丈夫だ、シアン様の匂いがついたギルホーンを襲う魔獣はいない」
マトンは祠に来る途中で休憩した川で小瓶に詰めた水を捧げると両手を合わせて一礼をした。
「コウヤもちゃんと一礼をするんだ」
言われた通り一礼を済ませるとマトンが武器を取り出した。
マトンの武器はコウヤの刀と違い巨大な剣であった。
「武器を掴むのは久々だ。丁度、昼だし何か捕まえようじゃないか」
そう言うとマトンが森の中に入っていく。森には不釣り合いなタキシード姿の二人。魔物達も最初は警戒していたのか姿を現さなかった。
しかし、巨大な ベアルモーム が姿を現したのだ。
「コウヤ、折角だ! 見ていなさい」
そう言うとマトンはベアルモームに対して真正面から斬り掛かった。マトンの武器は両方が刃になっている特殊な形をしている。
ベアルモームがマトンの豪快な一撃をガードしようと両手で顔面を守る動作をする。
しかし、マトンの一撃はベアルモームの両手ごとベアルモームを叩き斬った。
「ぐおぁぁぁ!」ズドンっ
ベアルモームの叫び声と共に巨大な体が地面に倒れた。マトンはコウヤに向けてVサインをしながら笑っていた。
「凄い! マトンさん強い」
直ぐにベアルモームを吊し、簡単に血抜きを済ますと火を起こし直ぐにベアルモームのステーキを焼き始める。
マトンさんのお酒をフラッペに使い、塩と胡椒、それにお酒とマーマレードを合わせたオレンジソースをづくり、食べられるハーブを見つけたトッピングして完全に臭みを消す。
サッパリベアルモームのオレンジソースとハーブのステーキが完成した。
マーマレードをつける筈だったパンを手に豪快な昼御飯を堪能した。
昼御飯を食べ終わり、一息いれた後にマトンの後に続いて祠の奥にある洞窟の奥に進んでいく。少し長めの洞窟の中はひたすらに一本道であり、修行に向いているようには見えなかった。
そんな長い洞窟の先に出口が見えてくる。出口に射し込む明かりは日の光だろうか、懐かしい香りがする。
出口を抜けると其処には大きな屋敷が建っていた。そして見覚えのある風景。
「此処って? ダルメリア!」
その声にマトンが頷く。
「コウヤは確か来たことがあるのだったな、あの洞窟は魔界への出口であり、ダルメリアへの入り口にもなっている、正式なやり方で道を開かねば、この館には着かないがな」
マトンが祠の前で遣っていたことは全てダルメリアへの道を開くための儀式な様なものだったのだ。
久々のダルメリアの香りはコウヤの全身を包み心に染み込んでくるようであった。
久々に訪れたダルメリア!さあいよいよ!修行開始だ!
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