全力で魔術を使った結果死亡通知をされました……
いきなりの宣戦布告!コウヤに立ちはだかる彼の名は……読んで頂けたら嬉しいです。(〃^ー^〃)
憂鬱な気持ちのになりながらも、コウヤは御昼を食べ終え、深呼吸をしてから魔術の時間を迎える心構えを確りと行い精神を安定させる。
今回の対戦相手は無論、コウヤに対して威嚇をしていたガストンであり、心構えを確りとしたお陰で苦手とするタイプのガストンに対しても少しばかりの心のゆとりが生まれていた。
ーーガストン=べラム。
ガストンは武術でコウヤに惨敗して以来、何かにつけてコウヤに勝負を挑んでいる同学年の少年である実力はあるが攻撃的な一面が強くコウヤを目の敵にしている。
悪い人物でない事はコウヤも理解していたが、負けず嫌いの塊のような性格の為に何度も勝負を持ち掛けられる日々を送っていた。
ガストンは勝つまで諦めないと言う事は言うまでも無いであろう事実であり、今まさにコウヤと対峙する事になる。
今回の魔術の授業を1ヶ月間、ただ、コウヤと闘う事だけを心待ちにしていたガストン、目的は前回の武術での借りを今回の魔術で返す事にあり、ガストンは其ればかりを考えていた。
ゆとりがあった筈のコウヤであったが、いざガストンを前に魔術で戦う事を考えると気が重くなり深い溜め息しか出ない心境になっていた。
「はぁ、溜め息しかでないや」
そんなコウヤの後ろから声援を大声で叫ぶロナの姿があった。
「コウヤ! ヤられたら任せといてね。私が仇を討ってあげるから! 大船に乗ったつもりでやって来なさいよ!」
ロナの掛け声に心が痛くなる感覚に襲われるコウヤは後ろを振り向く。
「ロナ酷いよ! むしろ負けるの前提の応援てなんだよ」
そうロナに叫んだ瞬間、前からガストンが現れコウヤを指差し決め台詞のように声をあげる。
「コウヤ。覚悟は決まったか!」
「いやガストン、覚悟とかじゃなく順番に皆、試合するわけだし、勘違いしないで……落ち着いてよ」
その言葉にその場にいた他の生徒がクスクスと必死に笑いを堪えるとガストンが怒りを露にし激怒する。
「また……お前は俺をバカにするんだな…ブッ潰す!」
真っ赤なトマトのように顔を赤くしたガストンがヤル気満々の孟牛のように鼻息を荒くして拳を握る。
コウヤの脳裏に浮かんだ言葉、『正直思う……戦いたくない……』
「ガストン? これは訓練だし、本気になるのは勿体ないよ、冷静にやろう! 冷静に」
何とかガストンを冷静にしようと試みるコウヤ、しかし、ガストンは更に鼻息を荒くするのを見て逆効果だと気づかされるが既に遅かったのである。
「とりあえず、怪我の無いようにお互いに楽しくやろうよ」
「う・る・せ・えぇぇ!」
ガストンは同学年とは思えない体格の良さと力が自慢であり、コウヤを除けば喧嘩なども大人顔負けにこなす利かん坊でもあった。
ガストンが初めてプライドを打ち砕かれた相手であるコウヤを恨むのは当然の事であるとコウヤも理解はしていたが、ガストンの尋常でない怒り方に他に原因が有るかもしれないと考えていた。
コウヤは理由を頭の中で必死に考えていた。
『ガストンと始めて手合わせした武術の時に力加減を間違えて女子の方に投げ飛ばした事かな? 確かに気絶してたみたいだし、話を聞く限りは格好悪い姿を皆に見せた事になるよね?』
『それともガストンが下にいると知らずに汚れたバケツの水を頭からかけた事か? 確かに見えなかったから勢いよく下に捨てたけど、謝ったよね?』
色々な事が頭の中に浮かんでくるもコウヤは、どれが理由かの確信を得られづにいた。
「ねぇガストン? 僕に何か恨みでもあるのかい、何でそんなに目の敵にするんだ!」
そんなコウヤの質問に対し、ガストンは怒りで拳を震わせる。
「むしろ、恨みしかないだろう! 事あるごとに巻き込まれる此方の身にもなれ!」
『うわぁ正論だな、ガストンがそこまで僕を恨んでたのか、悪い事したな』
「わかったよ、なら僕は大人しく君の攻撃を受ける! それで貸し借りなしでどうかな?」
「難しい事言ってないで! 全力で来い! 武術でも手を抜きやがって俺をバカにするのも大概にしろ!」
真っ直ぐにコウヤを見るガストンに対して、コウヤは包帯を確りと結び直し深呼吸をする。
「かわったよ、なら本気でやる! でもガストンも手を抜いたり、油断した何て言わないでね!」
そう言うとガストンがコウヤに向かって指を指す。
「当たり前だ! 俺はそんな卑怯な真似しない」
そう言うと二人は指定の位置まで下がり一礼をして手合わせがスタートする。
皆が静まり返り、互いに向き合うコウヤとガストンを見つめる。
「〔大地よ!その力を形にし我の力になれ!〕土魔法!」
ガストンが詠唱した途端、足元から巨大な土の腕が現れ、コウヤを即座に捕らえると身動きを封じ回避を出来ないようにする。
「うわぁ!」
「もう終わりかよ! さっきまでの勢いはどうしたんだ! コウヤ」
いきなり身動きが取れなくなり少し焦った様子を見せるコウヤであったが“問題ない”と言わんばかりに呪文を詠唱する。
「まだまだぁぁぁ! 〔風よ、我が言葉に耳を傾けよ炎の力と重なり新たな形をなせ〕風圧魔法』
コウヤを掴んでいた土の腕が中から粉々に砕け散り吹き飛ぶと辺りは土煙に覆われる。
土煙はまるで煙幕のように二人の姿を周囲から隠したのである。
「クソ! 何も見えないぞ、何処だ、コウヤァァァ!」
ガストンは土煙が目に入り何も見えなくなっていたのだ。
「ガストン! 僕の本気だ痛いから覚悟してね!」
コウヤは風と火の魔術を合わせ、拳に風の炎を巻き付けたそして体外魔力により土煙に写るガストンの姿を自身に流し込むと悩む事なくガストン目掛けて走り出した。
「勝負は僕の勝ちで終わらせてもらうよ!」
だが、走りなれていないコウヤは途中で自分の足に引っ掛かり縺れた瞬間にバランスを崩したのである。
「うわぁぁぁああぁ!」
それと同時にコウヤの拳は練習用のリングに炸裂し凄まじい音が室内に響き渡ると同時に粉塵が舞いあがった。
教師が異変に気づき風魔法を使い全ての粉塵を吹き飛ばすと有り得ない光景を目の当たりにしたのである。
コウヤの拳の先には巨大な円を描いたような窪みが出来ており、その威力は教師が全力で魔法を打ち出したとしても、到底一撃で空けられる様な窪みではなかったからだ。
ガストンもその光景に眼を疑った。
「もし俺があれを食らってたら、痛いじゃすまないじゃないかよ!」
ガストンは悔しい気持ちもあったが、何故か笑っていた、そして気づけば全身が震え恐怖を感じガストンの額は汗でびっしょりになっていた。
「しゃあ!」
ガストンは震える自分に渇を入れると立ち上がる。
「コウヤ! お前の全力マジに凄いじゃないか、流石にまだ足が震えてるぞ」
そう言いガストンはコウヤに手を伸ばす。
「ごめん、ガストン……動けない……体が痛すぎて死ぬかもしれない、もし僕が死んだら母さんに毎日シチューを供えるように伝えてよ、アハハ……」
「あはは、わかったよ! 先生、早くコウヤを医務室にお願いします、立てないてさ」
「ああ、そうだな、すぐに連れていこう!」
医務室に向かう途中、コウヤは凄まじい睡魔に襲われ知らぬ間に眠りについていた。
そしてコウヤが目を覚ますと誰もいない暗い部屋にカーテンが閉め切りにされていた。
身体は全身筋肉痛のように痛みが走り自分で立ち上がる事も出来なかった状態のコウヤ。
その時、カーテンの外から声が聞こえる。
「可哀想にあんなに幼いのに、あの世に旅立ってしまうなんて、こんな悲しいことないわ」
ーーえ? 僕死んだの、確かに身体は動かないし声も出ないけど!嫌だよ、さっきのあれは冗談なんだよ! 母さんを悲しませる気ないし! 僕は、僕はまだ生きてるよー
しかし、声が全く出なかったのだ。その瞬間、カーテンが開き包帯の上から光を感じるコウヤ。
ーーああ、僕は本当に死んじゃったんだ、母さん、ロナごめん、ソウマも泣いてくれるのかな?ガストンとやっと友達になれそうだったのにな……
コウヤの包帯を自然と涙が濡らしていく。
「あら泣いてるの? 暴れて怪我したのかと思えば、可愛いじゃない」
若い女の人の声がコウヤの耳に問い掛けるように流れ込んでくる。
少し悪戯っぽいしゃべり方で特徴的な声であったがコウヤの聞いたことのない声であった。
ーーもしかして女神様ってやつなのかな? 僕の魂を誘いにきたんだ……僕は6才で本当に死んじゃったんだ……
「もしもし、聞こえる? 可笑しいわね」
そう言うとそっとコウヤのベットに女性は腰かけた。
ーー女神様、僕はちゃんと聞こえてます。
ただ声が出ないんです、返事できなくてごめんなさい。
「困ったわね? よし、仕方ないわね!」
そして、次の瞬間、コウヤは天国にたどり着いた様な感覚に襲われる。
まさかの!展開に作者もテンション上げていきたいのですが!
感想や指摘など大歓迎です。(〃^ー^〃)宜しければどんな些細な事でも構いませんのでお願い致します。
最後に読んで頂いてありがとうございます。
読者様に感謝です。
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