反省会:『ルナークの瞳:かなえのこころ』の自己採点
学校のテストなら赤点待ったなしでございます。
はい。拙作『ルナークの瞳:かなえのこころ』の反省会を始めます。
総評と賀茂川家鴨の設定した採点基準をもとに、拙作を振り返ります。
当然、非公開です。シリーズ一覧からしか読めません。
単なる自己採点では読み物かどうか曖昧ですので、
文の最後に、「結論のようなもの」を示しておきます。
要するに、「面白い作品の本質とは何か」を考えようという次第です。
以下は自己採点です。
筆者が文芸仲間にアドバイスするときよりも100倍くらい厳しめです。
本評価は、〈商業作品〉を想定した際の点数です。
また、基本的に悪い点を挙げるようにします。
得点表A(7点満点の項目)
×(悪) 0点
△(惜) 1点
○(普) 3点
◎(良) 5点
☆(優) 7点
得点表B(4点満点の項目)
×(悪) 0点
△(惜) 1点
○(普) 2点
◎(良) 3点
☆(優) 4点
1.読みやすさ(4点/28点[7点×4項目])
1.1.文章の読みやすさ ×
特に中盤以降、無駄な行動・心情描写が冗長です。
一見してセリフと心情描写まみれの描写でも感動できるといえます。
なぜなら、優秀な作品はセリフと心情描写中心でもわかりやすいからです。
1.2.設定(世界観)のわかりやすさ △
現代学園物ですが、架空の地域です。
ある程度のモデルはありますが、ごちゃまぜです。
実在する地域を調べて舞台にしたほうが、読者はわかりやすいでしょう。
思い切って舞台を地元にしてもよかったかもしれません。
あるいは、いわゆる剣と魔法やゲームファンタジーもののほうが、
世界観が読者に伝わりやすいかもしれません。
1.3.設定(ストーリー)のわかりやすさ ×
勇者が魔王を倒す類の熱血ものではありません。
商業作品を意識するなら、単純明快にすべきです。
また、一幕内で複線を回収しきれていない部分があります。
余計な複線はばっさり削除してもよいでしょう(特に坂場朱莉編)。
1.4.誤字脱字(自己採点の場合はチェック量) ○
何度も通して読み返しましたが……。
ミスは出るものです。公開後も何度か修正した記憶があります。
2.魅力(4点/35点[7点×5項目])
2.1.世界観の設定 △
もう少し新しい発想がほしいところです。
2.2.タイトル ×
人間の欲望や情念をかきたてるようなタイトルではありません。
または、一目で作品の世界観がわかるタイトルでもありません。
もし、現状のタイトルを生かすなら、
タイトルは『かなえのこころ』だけにしたほうがわかりやすいでしょう。
2.3.キャラクターの魅力 ○
メインメンバーでは、刈谷かなえと栗原美月はよく描けています。
しかし、坂場朱莉と葉山ほづみの描写が薄くなっています。
せっかくのプロットがもったいないのです。
2.4.ストーリーの魅力 △
学校の描写をもう少し増やすべきです。
学園物のメリットが生かしきれていません。
2.5.最後まで読みたくなるか △
エロ・グロを大幅削除し、日常回を増やしたのは成功でした。
しかし、課題は多いです。
まず、そもそもの話が暗いです。物好きな読者以外は警告文で切ります。
冒頭の警告やタグのせいで、読者がげんなりすると考えられます。
次に、第1話に動きがありません。読者を惹きつけるものが不足しています。
最後に、即ブラウザバックの非常に多い点が気がかりです。
魅力あるあらすじを考えましょう。
3.テンポ(1点/21点[7点×3項目])
3.1.序盤のテンポ △
第1話のテンポは普通ですが、内容が薄すぎます。
第1話に簡単な戦闘シーンを入れたほうがよいでしょう。
3.2.テンポ(会話) ×
詳述するあまり、テンポが犠牲になっています。
長くても2行程度にしましょう。
3.3.テンポ(地の文) ×
厳密に主語をつける必要はありません。
論文や英文ではないためです。
4.企画(6点点/16点[4点×4項目])
4.1.プロット △
単純明快なストーリーのプロットにすべきです。
4.2.ターゲッティング(読者を意識して書いたか) △
ターゲットの想定範囲を狭くしすぎています。
潜在的な読者を獲得できていません。
4.3.筆者の満足度 ☆
これがなければ、とうの昔に筆を折っています。
5.総合評価
読みやすさ(4点/28点[7点×4項目])
魅力(4点/35点[7点×5項目])
テンポ(1点/21点[7点×3項目])
企画(6点点/16点[4点×4項目])
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合計 15点/100点
6.講評
自分で自分の作品の良い点を挙げても、ただの自慢ですので、
悪い点を端的に示します。
率直に言います。
テンポが悪くて読みにくく、魅力を感じない小説です。
読者が読みたい作品を意識して書きましょう。
改善策としては、世界観や目的を単純明快にして、
少ない描写で多くを語るようにしましょう。
また、なるべく明るいストーリー仕立てにしましょう。
流行に乗る必要はありませんが、
多くの読者が望んでいる基本的な要素は網羅しておきましょう。
以上です。
7.結論のようなもの
商業的に見ると、拙著はダメの典型です。
商業作品を書きたい方は、真似をしないことをおすすめします。
さて、今回の反省で、商業作品でなくともダメな部分が見えてきました。
簡単にまとめると、
①文があまりに冗長な点(読み辛い、テンポが悪い、疲れる)
②世界観や複線の詰めが甘い点(勉強・推敲不足)
③途中で読む気がしなくなる点(引きが弱い)
上記のことから、
優秀な作品の本質は、文が短く、濃密で疲れない点にあると考えられます。
筆者は、こうした作品が書けるように精進しなければなりません。
次幕はほとんど書いてしまっているので、
次幕で反省が生かされることは、あまりないです。
反映されるとしたら、短編が中心になるでしょう。
あしからず。