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テレビでみたことあるやつ

 生まれて初めて人質というものになった美玲は頭の中が真っ白になった。


「あたしには構わないで、大丈夫だから!」


 刑事ドラマで聞いたことがあるようなセリフまでまさか自分が言うことになるとは思わなかった。


「そういうわけにはいかないよ。君の安全が第一だ」


 フレイズは首を振って武器を拾おうとはしない。市原も悔しそうにジャニファに捕まっている美玲を見上げているだけだ。


「でも……それじゃ記憶の書が……っ!」


「物分かりがいいな。ほら、そこを開けるんだ」


 ジャニファはフレイズと市原の方を向いたまま、後ろ向きにドアへと飛んで行く。


 このまま利用されたくない。美玲は身をよじってジャニファの腕から逃れようとした。


「暴れるな。お前を傷つけたくない」


「あたしは絶対に常夜国とこよるのくににはいかないから!」


 予想外のジャニファの言葉に、地精霊谷ノームバレーで常夜国に来いと言われたこと思い出した。


 それをまだ諦めておらず、美玲を連れ去る気なのかと思って必死に腕を外そうとしたが。


「お前をあちらに連れて行く気などない。ここを出たらお前は用済みだ」


「……っ!」


 冷たい言葉に背筋が凍る。


 用済み。


 ドラマで聞いたことがあるもう一つのその言葉は、犯人に利用されて殺されてしまう役が聞くセリフだ。


「いやだよ、離して、離して!!」


 殺されたら元の世界に戻れない。家族にも会えない。みんなで約束したコンビニのアイスも食べに行けない。


 そんなの嫌だ。


「こら、じっとしていろ……危ないだろ……」


 足をバタバタさせたり腕に力を入れてみるが、ジャニファの腕の力は緩まるどころかさらに強くなった。


 背後をちらりとみたら、もう間近に渡り廊下につながる扉が迫っている。


 ジャニファは床に降り、フレイズたちを牽制しながら後ろ手にドアを開こうとした。


「え?」


「美玲、大丈夫?!」


 ジャニファが驚いた声を上げたと同時に聞こえたのは、扉が乱暴に開かれる音と親友の声だった。

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