ランドラゴン対決の決着
まるで、雷が落ちたような轟音が響いた。
ランドラゴン・マグニの尾についた塊が、ランドラゴンーREXーの足に重い一撃を与えた音だ。
ミシミシと音を立てて埋め込まれたその後ろ足の部分にはヒビが入っている。
あと一撃で、きっとあの太い後ろ足を破壊できる。いくらランドラゴンの中で最強といわれるものでも、動けなくできれば戦いも大分楽になるだろう。
「マグニ、もう一度、です!」
疲れのためか、切れ切れに命じるジルビアに応じるように、鋭い咆哮をあげたランドラゴン・マグニは、先ほどの攻撃を受けてぐらついたランドラゴンーREXーの巨体に向けて再び尻尾を振り上げた。
しかしランドラゴンーREXーは同じ手は通用しないとでもいうかのように鞭のようにしなるそれをよけると、尻尾を空振りしてよろけたランドラゴン・マグニの尻尾の付け根に噛み付き、力任せに噛み切った。
背中は鎧のような鱗に覆われているが、噛み切られたその尻尾の根本にはそれがなかった。
武器である尻尾を失い、悲鳴のような咆哮をあげながらランドラゴン・マグニは土塊となって消滅した。
「マグニ……そんな!」
「ジルもういい、休め。あとは俺がなんとかする」
ランドラゴン・マグニを失ったショックと召喚を維持するための力を使い果たしたためか、ジルビアは誰の目にもわかるほど、疲れ切った顔をしている。
「グリルさん……っ後ろ!」
「っな……っ?!」
ジルビアの悲鳴に振り向くとランドラゴンーREXーの大きく開かれた口があった。
「っく」
グリルはその口が閉じられる前にジルビアを抱きかかえ、背後に飛び退った。
間一髪、目の前で閉じられた大きな牙の並ぶ口にぞわりと背筋を凍らせる。
「危なかったのです……!」
「火精霊!」
グリルが呼びかけると、周囲に炎のように燃える触覚をもつ、ウーパールーパーにも似たトカゲが数匹現れ、中央にいる二人を守るように前に一列に並んだ。
「火精霊吐息!」
飛ぶ力さえ残っていないジルビアを抱えたまま火精霊たちに命じると、その小さな体からは想像もできないくらいの炎を、ランドラゴンーREXーに向けて吐いた。
その大量の火炎放射に一瞬たじろいだように見えたランドラゴンーREXーだったが、その大きな尻尾をつかい、火精霊たちをボーリングのピンのように弾き飛ばした。
火精霊たちはひとたまりもなく小さな悲鳴をあげ、あっという間に消えてしまった。
残されたグリルとジルビアを、ランドラゴンーREXーが見下ろしてくる。
「あっははー……はぁ、冗談きついわ」
「万事休す、なのです……」
ごくり、と生唾を飲み込んだグリルは、ジルビアを抱える腕に力を込めた。





