表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/215

遮るもの

 しばらくしてまぶたの向こうに明るさを感じなくなり、かれんは恐る恐る目を開いて辺りを見回した。


「カレン、サトル、大丈夫ですか?!」


 目を開くと駆け寄ってきたジルビアが、何かに阻まれ、額をうちつけ、そこを抑えてうずくまった。


挿絵(By みてみん)


 勢いよくぶつかったため、〈ポヨーン〉という大きな音がしてそれに驚いたグリルはゆっくりとその場所に触れてみた。


「いたた〜……、何なのです?」


「何かあるな」


 ペタペタと触るそこには、透明な、目に見えない壁のようなものがあるようだ。


 声は届くが進めない、透明な壁は叩いても壊すことができるような手応えはなく、間の抜けた音だけが響く。


「グリルさ〜ん、その音、力が抜けるからやめてくださいなのです〜」


「む……ふたりとも、離れてろ」


 その見えない壁が立てる音を少し面白がっていた様子のグリルは我に帰ると、取り繕うように咳払いをして、かれんと志田に指示を出した。


灼熱ヒート拳撃ナックル!」


 そして二人が言われた通りに見えない壁から離れると、炎を纏った拳でその壁をたたきこわそうとしたが、ひときわ大きな間抜けな音がするだけで壊れる様子はない。


「何だよ、これ?!」


 連続で拳を叩き込んでも〈ポヨンポヨン〉とバネが弾む時のような音を立てるだけある。


「あーもう、この、気が抜ける!!」


 やけくそのように叩くと、ひときわ大きな音で〈ボンヨヨヨヨ〜〜〜ン〉と響いただけだ。


『老公、聞いたか?あの音はやはり愉快であろう?』


 ククク、と少し低い女の声が突然神殿内に響いた。


『小娘、かようなことは悪趣味と言うのだ』


 次いで聞こえてきたのは、やれやれ、と苦虫を噛み潰したように若い女をたしなめる、しわがれた男性の声だ。


炎帝イフリート……?」


地王ランド……なのです?」


 壁の向こうのグリルとジルビアが、かれんと志田の背後に向けて、驚きに目を見開いている。


 彼らの視線を追って振り向くと、そこには炎を身に纏い宙に浮いている炎帝イフリートと、その足元でのんびりとあくびをする地王ランドの姿があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ