【第6話 本部に到着】
いつまで飛び続けるのかと思っていたころに、ようやくフレイズは高度を下げ始めた。
下の方には運動会でグラウンドに設置されるテントのような、白い幕が張られた建物が目に見えた。
それは所々に設置されており、フレイズはその中でも一番大きなテントを目指しているようだった。あれが、本部なのだろうか。
「ベルナール隊長!」
「おぉフレイズ、やはりお前が見つけたか」
兜の天辺に緑色の大きな羽のような飾りをつけた男の前に、フレイズは美玲を小脇にかかえたまま降り立った。
フレイズに支えられ、美玲はふらふらしながらもなんとか立つことができた。
ベルナールはガチャガチャと鎧の音をたてながら、近くに寄ってくると美玲の肩を叩いた。
少し浅黒い肌をして、やや白髪交じりの金髪の優しげなおじちゃんと言った風貌の男性だ。
ベルナールは孫に接する優しいおじいちゃんのように、その大きな掌で美玲の髪をぐしゃぐしゃとなでた。
「ほう、この子が。おうおう、よく無事で来られたな、お嬢ちゃん。ワシの名はベルナール。四元騎士団風部隊隊長だ」
「……永倉美玲です」
先ほどから驚いたり叫んだり戦ったりとでヘトヘトに疲れた美玲は、なんとか自己紹介をしたが、それと同時に目の前の光景が、回転を始めなように感じた。
「ミレイ?」
「お嬢ちゃん、おい、大丈夫か?」
フレイズとベルナールに声をかけられたが、返事はできそうにもない。
もうダメだと思ったその時には、美玲の目の前はまっくらになっていた。