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フレイズの手料理

バライダルとジャニファが去ったあと、美玲たちはネフティが地精霊ノームに命じて出現させた大きなキノコの家に入って休息を取っていた。


暖炉に薪をくべ、暖かな部屋の中でキノコの柔らかな床に座って、美玲と市原はかれんと志田に妖精の国のことや、こちらに来てからの出来事を教えていた。


激しい戦いのあとで、特に美玲は消耗も激しかったのだが、かれんと合流できたことに興奮していてあまり疲れを感じていなかった。


「スープが出来たよ。さ、みんな、その辺にして冷めないうちに食べようか」


いい匂いがすると思ったら、フレイズとネフティがキノコのミルクスープを作ってくれていた。


そういえば、食事をしようと思ったらジャニファがきてキノコの家が破壊されて何も食べていなかった。


そう気付くと、美玲と市原の腹の虫が騒ぎ出した。


大轟音を響かせる腹の虫があまりにも騒がしすぎて、恥ずかしく思う気にもならない。


だってものすごく頑張ったし、その分お腹が空いているのは当たり前なのだから。


「メシーメシー!」


「かれん、行こう」


鼻歌を歌いながら市原と一緒に席に着いた志田とは違い、見知らぬ場所で居心地が悪いのか、せわしなくあたりをキョロキョロ見回していたかれんの手を引いて、美玲はテーブルについた。



テーブルの中央にはお代わり自由とでも言うように、鍋に入ったキノコのミルクスープが置かれ、それぞれの席にはすでに置いてあるスープのほかに、木の実のパンケーキ、香草ハーブのサラダが並んでいる。


「材料があまり見つからなくてこんなのしか作れなかったんだけど、スープはたくさんあるから、遠慮しないで食べてね」


「うん、おかわりいただきまーす!」


フレイズが言い終わらないかのうちに、いつのまにか平らげたのか、市原が嬉々としてミルクスープをよそっていた。


「うま!うんま!!」


スープを一口飲んだ志田も目を輝かせて今度はパンケーキを口に運んでいる。


「よかった、お口に合って。さ、ミレイ達も冷めないうちに」


二人の食欲にあっけにとられていた美玲はハッとして自分もスープを口に運んだ。


「わぁ、おいしい……!」


キノコと野菜が柔らかく煮込まれ、ほんのりと玉ねぎと人参の甘みに、夜風で冷かた体が芯から温まってくる。


美玲の様子を見たかれんも同じようにスープを一口飲んだ。


「おい……しい……」


「ね、かれん、おいしいね!」


小さな声だがしっかりとした言葉に、かれんの緊張がほぐれてきたようにも見え美玲は嬉しくなった。


それから二人もまた、市原と志田に負けないくらいの食欲を見せ、パンケーキやサラダを口に運んだ。


それを見たフレイズとネフティは満足そうにうなずいて自分たちも食事を始めた。


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