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ただいま妖精の国

シラギリの森から妖精の国に戻ると、トルトに迎えられ、シラギリの森探索隊の隊長と副隊長を務めたセレイル、ベルナールとともに城の地下へと案内された。


フレイズはほかの騎士たちの元へ合流するため、一旦別れることになった。


通されたそこにはプールがあり、すでに転送されていた女王ユンリルが眠る金木犀の檻が浮いている。


城を襲撃してくるアイーグから水精霊ウンディーネで守護するためである。


「ご苦労様でした。女王陛下は無事、我々の元に戻られました。今はまだ眠りに就かれていらっしゃいますが…」


ちらりとユンリルが浮いているプールを気にしながらトルトが言う。


「女王陛下の檻にはやはり強力な鍵がかけられていて四大元素の王、精霊王スピリットマスターの力が必要のようです…」


「あの…森で、実はもう二人の友人たちを見つけました…」


おずおずと伝えると、トルトの表情が変わる。緊張したような、少し怒ったような顔に、美玲は言ってはいけないことだったのか、と慌てて口を閉じた。


「なんですって?」


「でも二人は敵で…操られてて…。炎帝イフリート地王ランドもおかしくて…」


促され、再び話そうとするが言葉がうまくまとまらない。でも、どうしたら友人を助けられるかを聞きたくて、美玲は必死にトルトに話した。


「それで、その子どもたちは?」


「黒い羽に、水色の模様がある羽の妖精に連れて行かれて。その妖精は顔を隠していたから、どんなやつかはわからなかった」


市原が口を尖らせて答えた。


「で、その炎帝イフリート地王ランドを操っていた子どもたちは武器を持っていたんですよ。グローブと、宝石が付いた棒みたいなものを」


セレイルが言葉に詰まってしまった美玲に変わり、言葉をつないでくれた。


「そうですか。…その黒い者はバライダルの僕でしょう。子どもたちが持っていたのはおそらく、伝説の武器と伝わるもの…そんなものを持って上級精霊ハイクラス・スピリットを召喚してきた相手にによく無事で戻ってくれましたね」


トルトは優しい笑みを浮かべて、ホッとしたように言った。


「それがですね、ミレイちゃんとナイト君も上級精霊ハイクラス・スピリットを召喚して、陛下と我々を守ってくれたんです。今ここに陛下が戻られたのも、この二人のおかげなんです」


セレイルに言われて、褒められたことをくすぐったく感じて市原と顔を見合わせ、笑った。


「それで風主ジンたちからこんなのもらったんだけど…」


思い出したように言った市原の言葉に美玲も水皇セイレーンからもらった精霊石を一緒にトルトに見せた。


トルトは二人の持つ精霊石に顔を寄せてじっと見つめている。


「これは、精霊石ですね。しかも上級精霊ハイクラス・スピリットのものとは…やはり、あなたたちに森へ行ってもらったのは正解でしたね」


石から顔を上げ、トルトは満足そうに微笑んだ。


「ですか、この原石のままでは使うのに不都合があるでしょう」


「ふつごう?」


「ええ、精錬して不純なものを取り除かないと精霊界とつながりにくくなるんです。そうですね…職人のネフティを探さなくてはなりませんね」


「あの職人ですか?あれは糸の切れた凧のようなやつですよ。今はどこにいるのか…」


ベルナールの知っている相手なのか、その言葉にトルトもセレイルも頭を抱えた。


「ええ、そうですね…どうしましょう」

うんうん唸る大人たちの様子に美玲も市原も首をかしげる。


「精霊たちは知らないの?」


美玲が聞くと、大人たちはハッとして顔を見合わせた。


「そうか、風精霊シルフ地精霊ノームならば…」


世界のあらゆるところにいる風と地の精霊なら知っているかもしれない、とトルトは黒い杖をとって何やら呪文のようなものを呟き始めた。


しばらくそうしていたかとおもうと、やがて顔を上げた。その表情は晴れ晴れとしていた。


「見えました。ネフティは、地精霊谷ノーム・バレーに居ます!」


地精霊谷ノーム・バレー…か」


それを聞いて不安になる。もしかれんと志田が現れ、再び戦うことになれば不利になるかもしれない。


「ですが今は戻ったばかりですし、ゆっくり体を休めてください。疲れたでしょう?」


「でも、ネフティって人はすぐどこかに行っちゃうんですよね?大丈夫なんですか?」


微笑むトルトの言葉に美玲が聞くと、ベルナールが大笑いした。


「心配ないさ。あいつは精霊石に目がないからな。地精霊谷からはよっぽどのことがない限り移動しないさ」


「そう、なんだ…」


「ええ、だから、ゆっくり休んでください」


そう聞くと、疲れが今になってどっと出てきたような気がして、美玲は床にペタンと座り込んだ。


「大丈夫かい?」


「なんか、疲れが…」


「俺も。腹減ったー!」


「そりゃそうだね。あんなに魔法を使ったんだから」


魔法だけじゃない。森の中をたくさん歩いたし、アイーグの群れから逃げるために走った。


遠足の後のような、マラソン大会の後のようなだるさが全身を襲っていた。


「そうでしたね、私としたことが…お疲れのところすみません。セレイル、ベルナール、あなたたちも下がって構いません。お二人に食事と湯浴みを」


「はい」


トルトの命に頷き、美玲はセレイルに、市原はベルナールに背負われて地下を後にした。


その背の温かさに睡魔までも襲ってきて、美玲はいつの間にか重くなってきたまぶたを閉じたのだった。


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