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精霊石
そこへ、ふよふよと漂いながら水皇と風主がそれぞれの元にやってきた。
「ありがとう、助けてくれて」
礼を言うと、二体はにっこりと微笑んで姿を消した。
それから美玲の手のひらには水色をした光の粒子が、市原の手のひらには黄緑色をした光の粒子が注ぎ込み、やがてそれはゴツゴツとした不恰好な塊になった。
美玲の手の中にあるのは、灰色の石にところどころキラキラと輝く水色の結晶が見える石で、市原の方は黄緑色の結晶だ。
「何、これ」
「精霊石だね。これがあると精霊の力を自由に使えるようになるのさ。まだ原石のままだから、職人に磨いてもらわないとね」
美玲も市原も、ずっしりと重みのある石をまじまじと眺める。
そういえばかれんのバトンの先や、志田が手につけていたグローブに宝石のようなものが付いていた。
あれもまた精霊石なのだろう。このゴツゴツとした石が、あのような綺麗な宝石みたいになるのだろうか、とまじまじと見つめた。
「さ、とにかく帰ろう」
セレイルに促され、美玲たちは焼け野原となった森の広場を後にした。





