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悪い奴

どれだけの間、美玲と市原は焼け焦げた大地に膝をついていただろうか。


膝も指先も炎帝イフリートが焦がした大地の炭で真っ黒になっている。


かれんと志田をせっかく見つけたのに。

手がかりではなく、本人を。


なのに、目の前で連れ去られるなんて、と悔しさに涙がにじむ。だがその涙が美玲のほほを伝うことはなかった。


今は泣いてる暇などない、と思ったからだ。


そうして考える。あの忍者のような格好をした人物がかれんたちを操っているのだろうか、と。


あの人物は上級ハイクラス精霊スピリットで、しかも暴走していた炎帝イフリートを難なくかみなりの綱で拘束していた。


とても力の強い妖精なのかもしれない。

そんな奴といて、かれんたちは無事なのだろうか。


「大丈夫かい?」


背後に立ったセレイルの問いかけに二人は無言で頷いた。


「私たち、二人を助けたいです…!」


「あの黒いやつがどこに行ったかわかる?」


二人の言葉にセレイルとベルナールは肩をすくめ、フレイズは困惑気味に苦笑した。


「おそらくバライダルのところだろうよ」


「あの子たちとアイーグが一緒にいたことを考えるとそうなるだろうね」


ベルナールの言葉にセレイルが付け足した。


「バライダル…」


その名前は今まで何度も聞いてきた。

常夜とこよるの王バライダル。


夜の国を統べる王で、妖精の国を狙って女王をさらった“悪い奴”だ。


そのバライダルがかれんと志田を操っているらしい。


許せない、と美玲は拳を握った。


「じゃあ、あの黒い奴がバライダルなのか?」


市原の問いかけに、セレイルは手を振って笑った。


「いや、あの黒い妖精は女性さ。大分小柄だったからね」


「じゃあどうすればバライダルのところに行けるんだ?志田たちを早く助けなきゃ…!」


市原の言葉に美玲も頷く。


「気持ちはわかるけど…でも今は城に帰るのが先だよ。二人ともボロボロじゃないか。それに、トルト様なら良い方法を知っているかもしれないよ」


フレイズの言葉に自分たちの格好を改めてみると、手や膝だけではない。


他にもあちこちが煤や土埃で黒く汚れているのに気づいた。

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