表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/215

雷(かみなり)使い

火と水のキャットファイトの結末は…?、

水に体を消される痛みにのたうちまわっていた炎帝イフリートは、ようやく落ち着くと体のあちこちから蒸気を上げながらも水皇セイレーンを鋭い眼差しで睨み、再び火球を作り出した。


炎帝イフリートが火球を放とうとし、水皇セイレーンがそれを鉾で受けようと構えた、そのときだった。


豪雷撃トニトルス・フリオーゾ


何者かの声とともに、突然激しい雷が雨のように降り注いできた。


「何だ?!」

「きゃっ!」


「ミレイ、ナイト!風防膜ウィンド・ヴェール


無差別に降り注いでくる雷撃から、駆け寄ってきたフレイズが二人を地面に倒し、その上に覆い被さってシルフの力で結界を張り、守ってくれた。


すぐそばに雷が落ち、その轟音と光に驚いた美玲は目をきつく閉じた。


やがて轟音が止み、恐る恐る周囲を見渡すと、炎帝イフリートかみなりの鎖に囚われていた。


「何者だ!」


ベルナールとセレイルが武器を抜いてミレイたちの前に出て、鋭い声で問いただす。


彼らの視線の先、炎帝イフリートが囚われている近くの木の上には、黒い装束に目だけを出した、まるで忍者のような姿をした人物が居た。


その背にはところどころ青い模様のある、黒い蝶の羽が見える。


男性か女性か全くわからない、その黒い人物が指を鳴らすと、かれんと志田は気を失ってその場に倒れてしまい、召喚主を失った炎帝イフリート地王ランドは姿を消した。


「かれん!」

「志田!」


美玲たちがそれぞれに呼びかけても二人は力なく倒れたままで、黒い人物は、忍者のように木から飛び降りると二人を抱え上げ、そのまま木と木の間に消えていった。


まるでそこに扉があり、その向こうに空間があるように、忽然と姿を消したのである。


「かれん!!」

「志田ーーーっ!!」


二人は思わずその人物が消えた場所に駆け寄り、何もない空間に叫んだが返事はなく、黒い人物が再び現れることもなかった。


「かれん…」


美玲は煤けた大地と、炭と化した木々の間に呆然として膝をがくりと着いた。


黒くなった地に手をつき、ぐっと握ると、黒くなった砂が指先を汚した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ