上級魔法対決
「かれん、私だよ、美玲だよ!!わからないの?ねえ、目を覚まして!!」
「志田!おい、聞こえないのか?!」
呼びかけても無反応な彼らは、返事の代わりに武器を構える。
バトンの先端の赤い石と、グローブの甲についている黄色い石が光り始めた。
「まさか、合体技か…?!」
美玲と市原は視線だけでお互いの意を汲んだ。それは上級精霊たちの意思でもある。
「火炎晶」
「雹嵐舞!」
ほぼ同時に唱えられた呪文はそれぞれに形を成していく。
炎が閉じ込められた結晶が地面から水晶群を形成し、ところどころを爆発させ、熱い暴風が襲いかかる。しかしその熱風は美玲たちに届く前に、雹の嵐に難なく鎮められた。
属性だけでみれば、美玲と市原の方が有利なのだ。
「陛下を下ろし、転送したらすぐに、撤退するよ!」
フレイズやベルナール、セレイルたちは湧いてくるアイーグを倒しながらそれぞれの作業に集中している。
「炎帝円舞」
かれんの言葉に炎帝が前に出る。
幾重にも重なった金の腕輪がしゃらりと音を立てた。彼女が頭頂で一つにまとめた長い髪を振り乱し、体をしならせて踊ると、周囲を舞っていた火の粉がだんだんと大きくなる。
「途中で消してやる!風射撃!」
「地王跳踊」
炎帝に向けて放たれた風の矢は、地王が足を踏み鳴らして隆起した大地と相殺してしまい、炎帝には届かなかった。





