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目撃者
「う、そ…………何これ、どう言うこと?」
ずっと四人の様子を伺っていた翡翠は立ち上がるとモロヘイヤの葉をかき分けて声を裏返らせた。
菖蒲、真珠の二人は習い事があると既に下校したが、翡翠は四人が何をしているか探ろうと身をかがめて五年生の畑に植えられたモロヘイヤとヘチマの茂みに隠れていたのだ。
翡翠には美玲とかれんが何を話しているのかよくわからなかったが、四人がそろいのアクセサリーを身につけているのを見て嫉妬に駆られた。
だが飛び出し美玲とかれんの二人を問い詰めようとした瞬間、眩しい光が翡翠の視界を奪ったのだ。
そしてようやく光が収まり目を開いたら忽然と四人の姿が消えていたのだ。
トマトの列にもナスの列にもピーマンの列にも四人はおらず、クラスの畑を二周して探したが見つからない。
思いもよらない出来事に翡翠は混乱して額を押さえた。
じりじりと照らす太陽の光が背中を焼き、セミの合唱が翡翠の耳にやけに大きく響く。
「先生に言わなきゃ……」
そう呟くと翡翠は玄関へと急いだのだった。
次話より新章突入です!