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迫る炎

 炎が収まったことで、あたりを覆い尽くしていた熱気が去った。四人はおそるおそるトルトがいたところを見た。


「おや、もう終わりですか?」


 そこには逃げ出したはずのユンリルの長い髪を掴み、涼しげな顔をしたトルトの姿があった。彼女の衣装のどこにもこげたあとやよごれもみつからない。


「そんな、効いてないの?!」


 かれんの悲鳴にトルトはにっこりと微笑んだ。そして今度はユンリルを逃すまいと、掴んでいるユンリルの髪の毛を腕に巻きつけたぐり寄せた。


「まぁ少し驚きましたが……、あなた方を召喚したのは私です。あなた方は召喚主である私に傷一つつけるとこはできませんよ。さぁ、次はこちらから参ります!雷撃獄炎渦トニトルス・インフェルノ!」


 トルトが杖を掲げると、雷をまとった炎の渦がうねりをあげて四人へと向かってきた。


「志田くん、バリアはってバリア!!」


「あ、地晶壁アース・アプレサンド!」


 早く早くと、かれんに急かされ志田が床に手をつき、黄水晶のバリアを作ろうとするが、勢いが早い炎の渦は四人に向けてどんどん迫ってくる。


「だめだ、間に合わない!!」


 志田の悲鳴に美玲は武器の先端を炎の渦に向けた。火を消すのは水しかない。


水激アクアエ……」


「バカ、何してんだよ、かがめ!」


 だが美玲は詠唱の途中で市原に止められ、腰のあたりまで作られた黄水晶の壁の内側にぐいと引かれた。


「うぅ、せ、せまい……」


 すでにかれんと志田が身をかがめて黄水晶の壁の中にいて、そこに市原が美玲と共に入り込んだものだから、小さなドーム状の壁の内側に四人はひしめき合って身を隠した。窮屈だが仕方ない。


「痛っ!」


「悪い久瀬、足踏んじまった」


「ううん……っ、平気だよ!」


 かれんの悲鳴に市原が謝ると、その至近距離にかれんは顔を真っ赤にして首を振った。


「久瀬、久瀬三つ編み痛い。当たってる」


「あぁっ、こ、ごめんなさいっ」


 市原の顔面に三つ編みを何度かぶつけていたことにようやく気づくと、かれんは水飲み鳥のように何度も頭を下げた。


「うわうわうわうわ……っ!もう無理だって、間に合わない……っ!」


 黄水晶を大きくしようと頑張っていた志田だったが、間近に迫る炎にとうとう悲鳴をあげ、床から手を離してしまい、そのために黄水晶のドームは成長を止めてしまった。

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