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イイ笑顔でのサムズアップに妹はぐっと拳を握り、右足を半歩退いた。

 

「ははっ! 俺の変装を見破るとはな! 流石我が愛しい妹!」

 暑苦しい兄のハグを妹はひょいと避ける。

 その伊達眼鏡の事だろうか、と彼女は首を傾げた。

 日本で二メートル近い長身の男が目立つのは必死。

 現に、ファミレスの薄い仕切りの影ですらコソコソ出来ていなかった。声を掛けたら大型犬よろしく飛び付いて来るし、わけが解らない。

「で? 変装して何をしてたの?」

「出歯亀!」

 イイ笑顔でのサムズアップに妹は拳を握った。

「帰れ」


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