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帝都で・・・①って奴です

更新遅くなってスンマソン

「うわぁ~・・・」



屋敷から走り出して約1時間。

ぎっしりと木の詰まった森を抜け、平原へと馬車は走り出した。

どこまでも続くような緑の海、優しく吹き込んでくる風が気持ち良い

空を見上げれば広大で、酷く澄んだ色をしていた。


(凄く広いなぁ~)


よく考えると、私は生まれてこの方屋敷から一度も出ることは無かった。

と言うのも・・・屋敷で大抵のことは済ませられたからである。

前世でも都会で暮らしていた為、ココまで広大な土地は写真やテレビでしか見たことが無かった。


「・・・・っと」


景色に目を取られて肝心な事を忘れていた、危ない危ない

私はミラさんに向き直ると、話の続きを促した。


「すみませんミラさん・・・帝都のお話の続きを聞かせてください」


ミラさんは頷くと口を開く


「帝都は大陸中央に在る最大規模の都市です

 魔王城を中心に様々なギルド、商店などが並んでおります」


「商店ならば武器や防具、食品関係も勿論

 大抵のモノならば全て揃っているでしょう」


私がミラさんに聞いたのはこれから向かう”帝都 の事

やはり予備知識なるモノは必要だろう


「その他朝市や近頃行われる生誕祭もあって、かなり賑わっていると思いますよ」


「生誕祭・・・?」


聞き覚えの無い言葉だ


「はい、帝都では年に一度”生誕祭 と呼ばれる大規模な祭りが行われます」


「お祭り・・・ですか」


「由来はこの世界に平和と安息を生み出した”天使様 に感謝と祈りを捧げる為だそうです」


天使様・・・って

私達って一応「魔族」ですよね?


「ふふっ、天使様は元魔族という言い伝えがあるんです」


「ッ・・・」


顔に出てたかな?

うぅ・・・恥ずかしいぃ


「え、えと、その生誕祭は何時いつ開催なんですか?」


「はい、今日から丁度7日後ですね」


一週間後か~・・・・。

私は5日間しか帝都には居ないし、参加は出来ないね

残念、残念。


「・・・宜しければ生誕祭まで帝都に滞在なさいますか?」


少し考えちゃうけど・・・


「いえ、父様と母様と約束しましたから」


5日過ぎて帰ってこなかったら、2人とも帝都まで来ちゃうんじゃないかな。

なんて思ったりする。


「生誕祭まで滞在できなくとも、帝都には楽しい事一杯有るんですよね?」


「はい、生誕祭間近ですし色々な露店が出ていると思いますよ」


じゃあ、お祭りの代わりに食べ歩きなんて堪能出来るんじゃないかな?

きっと私の知らない食べ物とか、あ、本屋さんとかあるかな・・・

そんな事に頬を緩ませながら馬車に揺られた。



ミラさんはずっと、こっちを見てニコニコしていた。








恥ずかしいィ~









遠目に見えた帝都は凄く大きかった。

というかデカ過ぎ。

昔やったRPGゲームでも、大きさはせいぜい東京ドーム1個分位?的な認識だったけど

このサイズは平原に東京都をそのまま持ってきた様なレベルだ。

魔族ヤバイ


ビル10階位は有りそうな門を抜け、賑わう大通りを歩く

馬車はここの法律により、持ち込めないようになっているそうだ

馬車を門番に預けた後、何の問題も無く門を素通り出来た


「おぉ~・・・」


門の向こう側

大通りには様々な露店が立ち並んでいた。

食品は勿論、ちょっとしたバザーに出すような小物、絵画なんてのも売っていた。


ひょっとして、ほんとに何でも売っているのかも。


「ぉ~・・・ぁ~・・・」


おいしそうな食べ物の匂いに釣られ

あっちにふらふら、こっちにふらら。

珍しいモノを見つけると、ついつい近寄って見てしまう。


「お、そこの嬢ちゃん一つどうだい?」


気前の良さそうなおじちゃんが美味しそうな串肉を差し出して来た。

表面がこんがり焼けていて、いかにもジューシー


「お幾らですか?」


「銅貨一枚だよ」


ポーチから銅貨一枚を取り出して串肉と交換

背が小さくて背伸びしたのはご愛敬あいきょう


「お嬢ちゃんは可愛いから、もう一本サービスしよう」


「え、いいんですか・・・」


「ほらほら、遠慮すんなって」


やっぱり気前が良かった。

差し出されたもう一本の串肉を受け取る。


「えへへ、貰っちゃいました」


ミラさんに向かって微笑むと、いきなり「うっ」と声を上げた。


「ど、どうかしました?」


「い、いえ・・・なんでもありません」


いきなり鼻を抑えだした

ミラさん、指の隙間から血が溢れてますって


「お嬢様・・・可愛すぎます」


「ぇ・・・」


すみません、よく聞こえなかったのですが?


「おほんっ、げふんげふん」


ああ、そんなに乱暴に拭いたら・・・

ミラさんの袖が血塗ちまみれだ。


「さ、お嬢様。 ホテルの方へ向かいましょう」


「え、ぁ、はい」


取り敢えず当初の目的通りホテルに向かった。







「おっふぅ」


変な奇声を上げて申し訳ない

しかし、このホテルを見て欲しい

このビルどっから持ってきた?

普通に東京都とかに建っててもおかしくないぞ。

そびえ立つような派手なビル、大きさから30階は有りそうな程高い。


「此処がお嬢様の宿泊するホテルです」


金ぴかのドアを左右に居るガードマンっぽい人に開けて貰い、中に入る。


「おっふぅ」


再び申し訳ない

なにこの大理石、無造作に壁に飾り付けられてるダイヤとか、絶対高いでしょ。

中央に鎮座する豪華な噴水とか、頭上に輝くシャンデリアとか・・・・。

ま、眩しいィ!


「お待ちしておりましたラーグ様」


中には執事っぽい人とかメイドの人が列を作っていた

あれ、ここエントランスホールですよね?

一般客にここまでするんですか?


「この度は当ホテルをご利用頂き誠に有り難うございます

 最上階のスイートルームをご用意させて頂きましたので・・・・」


あ、vip待遇ですねわかります。






「ふぅ・・・」


三度目は普通の溜息である。


「さて、どうしようかな」


部屋へと招待されたあと、移動用の比較的ラフであった格好を普段着へと着替えた。

・・・普段着と言ってもちょっとしたドレスレベルなので普段着の気がしない。

でも慣れちゃった。


「魔王様との謁見は明日の昼頃だし・・・

 一日中本を読むのも良いけど」


ちらっと、窓の外を覗き見る

活気の良い露店が視界一杯に広がった


「・・・・街を回りたいなぁ」


前世じゃずっと部屋に引きこもってたし、こっちに来てからも屋敷から出なかった。

お祭りなんて数回しか経験がない。

ましてやこれ程賑わいを目の前で見せられては・・・

集中して本も読めまい。

まさに悪魔の誘惑!


「お嬢様」


「あ、ミラさん」


いつの間にか、背後に紅茶を持ったミラさんが立っていた


「もう少しで昼食が出来上がります

 出来上がり次第呼びに参りますので・・・」


「えっと・・はい、よろしくお願いします」


そう言って紅茶をテーブルに置くと、静かに部屋を後にした。

再び一人になる私


「・・・・・」



やっぱり、街、回りたいです。



「と言う訳で、すみませんミラさん」


ドアに向かって手を合わせた。


だってお祭りだよ?楽しいこと一杯だよ?

おいしい食べ物とか、もしかしたら掘り出し物の本とか

可愛いアクセサリー・・・はどうでもいいけど!

とにかくおもしろい事沢山!


此処で退いちゃあ男、あ、いや、女じゃない!


握り拳を作り、高々と掲げてみた。


「とは言うモノの・・・」


窓から外を見下ろす

小さな露店が所狭しと並べられていた。


「・・・・・・・・・高い」


そうなのだ。

此処はホテル最上階のスウィートルーム

魔法階段を使って上ってきたから良いモノの、今は空という檻に囲まれた空中牢獄

つまり何が言いたいかって・・・?

まさかお忍びで行くのに、堂々と来た道を逆走する訳には行かないでしょう?


「かと言って飛び降りるのは・・・・」


ビル30階建て相当のホテル


「無理だよね」


もしこのまま飛び降りたら、地上でミンチの出来上がり

そんな最後はイヤだ。


「ふぅむ・・・どうしましょ」


頭を抱えて悩む。

外へ直接出ていく方法は無い、かといって魔法階段を降りていくのは見つかるリスクが高いだろう。

つまりは八方塞がり


「・・・・・・という訳でもないんですね」


私は窓から身を乗り出した


「あいきゃんふら~~~い!!」



とりあえず飛んだ。

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