赤さんって奴です
僕が生まれてから数年が経って.....現在。
「エル様は本当に泣きませんね」
僕は今、大型の蛇メイドさんにオムツを変えてもらっていた。
恥ずかしいッ!//
なんか感情は今はもう浮かばない。一言で言うならば「慣れた」
そして数え切れないほどの衝撃が僕の身に降り注いだのである。
まず気付いて欲しい。
何処かおかしくないだろうか? 「メイドさん」?
いやいや、着目すべきはそこでは無い。服も確かに可愛らしいが見るべきは彼女の足だ。
そう。 蛇である。
丸太程もある太い足・・・・もとい蛇の尾
スカートから上は確かに人間の形状を取っており、目つきが鋭いのと舌が異様に長いことを除けば大して人間と変わらない。
だがいかんせんこの足がここが既に違う世界であることを示していた。
(姿は何度見ても慣れないな・・・)
こんな生物が住宅街を徘徊していたらホラーである。
が、少し見てみたい気もした。
「この前なんてオムツ濡らしていたのに泣いていなかったんですよ」
「でもお医者様の見立てては異常無いと・・・」
「はい、大丈夫とは言われても・・やはり少し心配ですよね」
「普通この歳なら夜中とか何度も泣いて寝れない位なんですが・・・」
こちらを覗き込む蛇メイドさんに蜘蛛メイドさん。
なんでぃそんなに見つめるなよ照れるじゃねぇかこんちくしょう。 なんて言う余裕はない。
「あぅ~・・・・ぁー・・・・」
呂律が回らない。 要は喋れないのだ。
どういう因果は知らないが、僕は赤子に転生した。
今は短い四肢に前世での知識を持っている。小さい子供の学習能力は凄いモノで、最初はこちらに呼びかけてくる「エルシア」という言葉を覚えた。
僕を見て「エルシア」と何度も繰り返すので、其れが僕の名前だと察したのだ。
あとはこの蛇のメイドさん等が読んでくれる絵本
多少の語彙なら理解できたが未だ会話を聞き取れるには至っていない。
今も彼女(?)達が何と会話したかも分からない。
「ぅ~・・・・」
忌々しげに声を上げるが、彼女たちはそれに対して「可愛いい・・・」と呟くだけ。
うるさいやい男に向かって可愛いとか言うなし。
とは言えない、と言うのも・・・。
僕は女の子に生まれたのです。