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最悪の厄災って奴です

感想を一杯いただき、ホクホク顔の私


お父様の扱いを改善すべく、今回は視点を変更してお送りします

ラーグ=ケイズ



「・・・心配だ」


我が愛しき娘、エルがこの屋敷を出て早10時間

先程までちまちまと職務をこなしてきたが・・・最早これまで

心配で全く手が動かなくなってしまった。


「ああ、道中襲われてたりしないだろうか・・・

 一応帝都には着いた時間帯だが・・・連絡一つ無い

 あぁ!やはり何かあったのかもしれない!

 もしくは帝都でエルが誘拐されたり!?」


勢い良く椅子から立ち上がると、近くにあったコートを羽織った。


「ちょっと帝都に行ってくる!」


「待ちなさいケイズ、それは誰に言っているの?」


隣で優雅に紅茶を飲んでいたテルエが、制止の言葉を投げ掛けて来た。

しかし、私は足は止まらない

ドアノブに触れ、そして回そうとしたとき、手が発火した


「のぉうっ!?」


「いいから落ち着きなさいって」


発火はテルエの魔法だったらしい

目で着席を促している。私は渋々それに従った。


「いい加減落ち着きが無いわよ?ケイズ」


テルエは悠々とした態度で紅茶をカップに注ぐ

それを受け取りながら苦い顔を見せた私は、少しばかり落ち着こうと精神の安定に努めた。


「・・・・ふぅ、すまないテルエ」


「良いわよ別に、貴方が暴走したらいつでも止めるわ」


甘い紅茶の香りとテルエの言葉で、少しずつだが落ち着きを取り戻した。


「一体どうしたの?

 貴方があの子を何よりも大切に思っているのは知っているけど、それにしても今の貴方は度を過ぎてるわ。

 帝都の警備水準の高さを知らないわけではないでしょ?」


「ああ、勿論さ・・・」


「じゃあ何故? 唯の親バカ・・・って感じでもなさそうだし」


君に言われたくない、と言う言葉を紅茶と一緒に飲み込んだ

カップをテーブルに置く

同時に部屋が何とも言えない、重苦しい空気に変わった。


「・・・胸騒ぎがするんだ」


「・・・胸騒ぎ?」


テルエが顔をしかめた

だが私は冗談を言っているワケでは無い


「ああ、言葉にするのは難しいが・・・心が酷く落ち着かない

 私に急げと、そう言っている様な印象さえ受ける」


真剣な表情で語る

テルエも私の雰囲気から、冗談では無いと察したらしい

その表情からは先ほどの悠々とした空気が微塵も感じられない。


「ソレはいつから?」


「つい先程からだ

 公務中、突然妙な焦燥感が湧き上がった。

 今でもその窓を突き破って帝都に向かいたい衝動に駆られる・・・」


テルエが黙り込み、眉間に皺を寄せる

私自身、こんな状態になったのは初めてだった。

しかし今この時でさえ、聞こえない声は私を急がせる

急げ、まだ間に合うと。




「・・・・・精霊の加護」




ポツリ、とテルエが呟いた。


「精霊の加護?」


「ええ、たしか精霊の加護の概要に

 ”精霊と契約を結んだ者に危機が迫った時、その者と親しい人物にその危機を知らせる というのが有ったのを覚えているわ」


「・・・・・危機」


ソレはなんと心をざわつかせる言葉か

私は今にも飛び出したい衝動に駆られた。


「しかし、エルは精霊と契約を結んでいないぞ?」


そう、私はエルに精霊と会わせた事も無いし

ましてや加護を受けるための契約を結ばせた覚えもない

テルエも覚えはないのだろう、深い溜息を吐いた。


「そう、私も契約を結ばせたなんて覚えは無いわ

 でも遠くに居る人物に自分の状態を示す、特定の感情だけを増幅させるなんて魔術は無いのよ。ソレは魔術に詳しい貴方も理解してるでしょ?」


私は無言で頷いた。


「なら、考えられる線は精霊の加護位しか無いわ

 私達の知らない間に契約を結んだのか・・・・・あるいは」


テルエがもう一つの可能性を口にしようとしたとき、部屋のドアが乱暴に開け放たれた


「旦那様ッ!!」


慌てて入ってきたのは、老執事のピエス

執事長で屋敷の管理を一手に引き受けているベテランだ。

だが今の彼はタイは曲がり、髪もボサボサ。いつも規律と風紀を重んじる彼らしくない。

ピエスは息を切らしながら私のもとへと駆け寄った。


「一体どうした?」


唯ならぬ雰囲気を察し、私は口を開く

彼は恐る恐ると言った風に報告をした。








「帝都周辺に、黒竜・・・”ヴァン=ヘルリッジ が現れましたッッ!!!」







黒竜、ヴァン=ヘルリッジ


それは丁度1000年前。





ー 天使を殺した竜の名だった。


次はエルシアの視点で行けるかなぁ・・・?

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