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天使と言う存在って奴です

い、今起こった事をありのまま話すぜ!


ドラゴンに攫われたと思ったら、実は私は天使だったんだ!


何を言っているのか分からないかもしれないが、私も分からない!




「・・・・・・・・・・・・・・・はぁ」



結局口から出たのは、ため息とも肯定とも捉えられないような息の漏れる音だった。

いや、普通はそうだろう

いきなり「貴方は天使です」と言われて、「ふ~ん」で済ませられる奴が居たら私はそいつに

ありったけの賞賛を送れる。


「えと、そのー・・・」


だが、まずは確認すべきだろう、最も大事な事だ


「・・・・・・天使って、何なんですか?」








とどのつまりはこうだ。


乱戦から戦争に発展し、戦争から世界規模の国家間戦争までに発展した争いは

天使によって沈められたモノだと。


何でも天使は、まか不思議な魔術を使い各国の兵士を無力化しエルフの国を守り切ったそうな。

しかも圧倒的な回復魔術を持ち各国の傷ついた者を癒し続け、結局戦争は終結した。

禁術は天使が皆の前で燃やし、二度と過ちが起きない様言いつけた。

これが全ての国民に伝わっている「魔族国家間戦争」の全貌である。




ー が、これは大衆向けに作った”御伽噺おとぎばなし に過ぎない。




真実はこうだ。



  



  天使は禁術以上の価値を持った存在として、新たな戦争の火種になった。






ならば何て簡単な事だろう

この世界にとって「天使」と言うのは平和を齎す幸せの象徴なんてものじゃない。



「唯の戦争の道具ですよ」



ドラゴンの言葉が私の胸を抉る。


その忌々しいと言わんばかりの眼光、キツく閉じられた口元、そして僅かに周囲の温度が上昇する

中心はそのドラゴン

唯その場にいるだけでチリチリと肌が刺激され、僅かに顔を歪める

私は遠慮しがちに口を開いた。


「天使は・・・天使はその後どうなったんですか?」


ドラゴンの目は冷たい

それは今の私に嘗ての天使を重ねたのか、それとも今の世界に対する軽蔑か

私は静かな声色を聞いた。




ー 死にました




「いや、殺されたって言ったほうが良いのですかね? 連中に」


それは完全なる独白、独り言、空に向けて話すだけの言葉

私は呆然とその言葉を聞く


「国と国は彼女を巡って争う、しかし彼女は争いを好まない

 戦場に行っては戦争を止めて、片っ端から怪我人を治療しました」


けどそんな事が何時いつまでも続く訳無いじゃないですか。


少年の様に、目の前のドラゴンは呟いた。


「結局彼女の魔力は、1ヶ月もそんな事を続ければ枯渇し、体も徐々に衰弱して行く

 そんなになっても彼女は連中の戦争を止めようとして・・・」


結果が「死」と言う結末です。





英雄の美談。


どんなに泥臭く、傷まみれの勝利でも、後世に語られる御伽噺おとぎばなしって言うのは美しくあるものだ

その理由を何となく、今理解した。



 だって、こんなにも胸糞悪い。



「奴らは天使の死後、まるで何もなかったかのように日々を再開しました

 禁術は結局消失し、天使の存在は消えた

 ならば他の種族のテリトリーに入る理由は有りません」


ドラゴンはこちらに目を向ける

周りの熱気は消え、彼の顔も比較的穏やかになったと言っていいだろう。


「・・・しかし、貴方が現れた」


「ッ・・・」


だがその言葉に、私の心は大げさ過ぎるほどに跳ねた。


ドラゴンの言わんとしている事が分かる。理解してしまう。

それは恐怖故か、私は自分が天使であることを否定しなければならないと思った。


「で、でも!まだ私が天使だと決まったわけではありません!」


「透き通る様な白髪、魔術中毒を思わせる白すぎる肌、そして何よりその赤い瞳・・・

 全てが私の知っている天使と一致しているのです」


「容姿何て幾らでも・・・!」


「其れに、同じ匂いがするんですよ」


・・・・匂い?

ドラゴンはずいっと顔をこちらに近づける。その鼻は私の周りを嗅いでいた。


「貴方の匂いは、貴方の魔力の質は・・・余りにも彼女に似ているんです」


「ま、魔力の質・・・?」


そんなモノで分かるものだろうか?

私は疑惑に顔をしかめる


「竜族は魔族の中でも最高位に位置する存在です

 其れ故に魔力は強大、特に魔力感知能力に置いて右に出るものは居ません」


ドラゴンは頭を元の位置に戻し、巨塔の様にそびえ立った。


「その私が言います」


そして私を見下ろしてもう一度言う。

その言葉を。





「貴方が天使なのです、エルシア」

感想募集中!募集中!募集中!


大事なことなので3回言いました。


少し展開早すぎるかな?

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