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一話目
――6月14日 am06:10
私はいつも通り、鈍行の電車に乗った。
人はさほど多くない。田舎の朝の電車。
この電車に乗るのも、すでに三年目だ。
私の電車での過ごし方はいつも同じだ。
電車の二人席のところに座り、ミュージックプレイヤーを取り出して聴き始める。
約二曲聴き終わると同時に、鈴木蘭加と合流する。
それから他愛のない話で盛り上がって、いつの間にか学校の最寄り駅に着く。
私は雛見純。普通の中学三年生。
普通だからといって、変化は求めていなかった。
このときの日常が平凡で好きだった。
このまま高校生になって、成人して、老いていって…。
そう願っていた。
これは贅沢なんでしょうか?