推しのアイドルとハウスキーパー5話
推しのアイドルとハウスキーパー5話です。
第5話「推しの悩みと初めての涙」
シーン1:楓の部屋・朝
いつもと違い、楓がリビングに出てこない。秋、心配そうに寝室のドアをノック。
秋が呼びかける。虹野さん。朝食できてますよ。
返事がない。もう一度ノック。
楓の声が聞こえる。すみません。今日は、いいです。
声が沈んでいる。秋、違和感を感じる。
秋が尋ねる。体調悪いんですか。
楓が答える。大丈夫、です。そっとしておいて、ください。
シーン2:リビング
秋、一人でリビングで待つ。スマホでニュースをチェックすると。
ニュース見出し。新人アイドル虹野楓、歌唱力に厳しい声「音程が不安定」「もっと練習を」。
秋、記事を読んで表情が曇る。
秋の心の声。これか。
シーン3:昼過ぎ・楓の部屋
楓、ようやくリビングに現れる。目が赤く腫れている。
楓が謝る。すみません、朝から。
秋が気遣う。大丈夫ですよ。お昼作りますね。
楓が断る。お腹、空いてないです。
秋、楓の横に座る。
秋が尋ねる。虹野さん、何かあったんですか。
楓、俯いたまま答えない。しばらく沈黙が続く。
楓が小さな声で言う。私、才能ないのかな。
秋が聞き返す。え。
楓が続ける。歌も下手で、ダンスも完璧じゃなくて、ネットで、みんなに言われて。
涙がポロポロとこぼれる。
楓が泣く。頑張ってるのに、一生懸命練習してるのに、全然、ダメで。
秋が呼びかける。虹野さん。
楓が弱音を吐く。もう、アイドル、辞めた方がいいのかな。
シーン4:秋の決意
秋、楓の肩に手を置く。
秋が言う。虹野さん、一つ言ってもいいですか。
楓、顔を上げる。
秋が告白する。僕は、虹野さんのファンです。
楓、驚いた表情。
楓が驚く。え。
秋が続ける。実は、ずっと前から虹野さんのことを応援してました。ライブにも行ったことあります。
楓が尋ねる。そんな、どうして、黙ってたんですか。
秋が説明する。ファンだって知られたら、こうして側にいられなくなると思ったから。
楓、目を見開く。
秋が力強く言う。だから言えます。虹野さんは、才能ないなんてことない。虹野さんのライブを見て、僕は何度も元気をもらいました。
楓が弱気になる。でも、歌も下手で。
秋が反論する。完璧じゃないかもしれない。でも、虹野さんの歌には心がある。一生懸命さが伝わってくる。それが、虹野さんの魅力なんです。
楓、涙が止まらない。
秋が諭す。ネットの声は一部の人の意見です。虹野さんを応援してる人は、もっとたくさんいます。僕みたいに。
シーン5:楓の告白
楓、泣きながら話し始める。
楓が打ち明ける。私、実は、歌もダンスも、最初から上手じゃなかったんです。
秋が聞く。
楓が続ける。オーディションも、何度も落ちて、やっと受かったのが今の事務所で。
秋が応える。そうだったんですか。
楓が語る。だから、他の子よりも努力しないとって、毎日必死で練習して、でも、追いつけなくて。
秋、楓の手を握る。
秋が励ます。虹野さんは、十分頑張ってます。僕が一番近くで見てるから、わかります。
楓が呼びかける。田丸さん。
秋が付け加える。それに、虹野さんには他の人にない強みがあります。
楓が尋ねる。強み。
秋が説明する。人を思いやる心です。ファンのことを一番に考えて、みんなを笑顔にしたいって思える心。
楓、ハッとする。
秋が強調する。それは、どんな技術よりも大切なものです。
シーン6:練習する決意
楓、涙を拭く。
楓がお願いする。あの、田丸さん。お願いがあるんです。
秋が応える。何でしょう。
楓が頼む。私の練習、見てもらえませんか。
秋が聞き返す。練習を。
楓が説明する。はい、一人だと、不安で、でも、田丸さんが見てくれたら、頑張れる気がします。
秋、優しく微笑む。
秋が承諾する。もちろんです。
シーン7:リビングでの練習
楓、音楽をかけて歌い始める。確かに音程が不安定な部分もある。
楓が落ち込む。やっぱり、ダメですね。
秋がアドバイスする。そんなことないです。でも、もっと自信を持って歌ってみてください。
楓が考える。自信。
秋が説明する。虹野さんは、誰かを笑顔にしたくて歌ってるんですよね。だったら、その気持ちを込めて。
楓、目を閉じて深呼吸。もう一度歌う。
今度は、感情が込められた歌声。完璧ではないが、心に響く。
秋が褒める。いいですよ。今の歌、すごく良かったです。
楓が目を輝かせて聞く。本当、ですか。
秋が答える。はい。技術も大事ですけど、気持ちが一番大事です。
楓、初めて本当の笑顔を見せる。
シーン8:夕方・食卓
二人で夕食を食べる。楓、ようやく食欲が戻っている。
楓が確認する。田丸さん、あの、ファンだったって、本当ですか。
秋が答える。はい、本当です。
楓が尋ねる。じゃあ、これからも、ファンでいてくれますか。
秋が即答する。もちろん。ずっと応援してます。
楓、嬉しそうに笑う。
楓が言う。良かった。田丸さんみたいな人が、一人でもファンでいてくれるなら、私、頑張れます。
秋が付け加える。虹野さんのファンは、僕だけじゃないですよ。もっとたくさんいます。
楓が認める。わかってます。でも、田丸さんは特別です。
秋、その言葉にドキッとする。
シーン9:夜・楓一人
秋が帰った後、楓は鏡の前に立つ。
楓の独白。田丸さんは、ずっとファンだった。それなのに、私のために側にいてくれて。
鏡に映る自分の顔を見つめる。
楓が決意する。もっと強くならなきゃ。田丸さんの期待に応えられるアイドルに。
スマホで練習動画を見直し始める楓。
シーン10:秋の部屋・夜
秋、ベッドに横になりながら天井を見つめる。
秋の独白。ファンだって明かしちゃった。でも、あれで良かった。楓ちゃんが元気になってくれたなら。
スマホに楓からのメッセージが届く。
メッセージの内容。今日はありがとうございました。田丸さんのおかげで、また頑張れそうです。これからもよろしくお願いします。
秋、画面を見つめて微笑む。
秋が呟く。頑張れ、楓ちゃん。俺はずっと応援してる。
シーン11:エンディング
翌朝、楓が練習スタジオで一人練習している様子。
真剣な表情で、何度も何度も同じフレーズを歌う。
楓のナレーション。私には、応援してくれる人がいる。だから、もっと頑張れる。
次回予告。第6話、推しの初めての挑戦。
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