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3. レース観戦

 GRヤリスを納車して一週間。私は富士スピードウェイに来ていた。

『日本最高峰の自動車レース、見といたほうがええで。ぜぇったいハマるから』と、つくねさんにオススメされたのだ。

 ホームスタンドの一番後ろという、見やすそうな座席を確保できた。運が良かったと思う。

 誘導されながら駐車場に車を停めると、隣の赤い車が気になった。

 丸っこいデザイン、軽自動車のように小さなボディ、鏡のように輝くホイール…。つくねさんはあっという間に名前を言い当てそうだけど、あいにく私にはそんなことができない。なのでひとまずサーキットを目指して歩き始めた。

 今から行われるのは『SUPER GT』だ。


 今回は事前に『GT500』について予習してきた。逆に言えば、『GT300』については調べてこなかった。いや、時間がなくて調べられなかった。

 『GT500』に参入しているのはトヨタ、日産、ホンダの三メーカー。それぞれGRスープラ、Z、プレリュードがレースする。プレリュードは今年から使われる新マシンである。

 そういえばお父さん、『プレリュードを買いたかった』って言ってたっけ。

 市販車のシルエットを反映させつつも、クラス共通のシャシーや一部空力パーツが採用されているので、見た目は同じでも中身は全く別物である。

 もちろんエンジンも共通の規格で作られており、2000ccの直列4気筒ターボである。エンジンの排気量だけを見れは、街を走っているミニバンと同じなのだ。

 とまあ、かなり細かく定められているのである。公式サイトがあって良かった。

 

 決勝レースが始まる少し前、私も含む観客たちは富士スピードウェイのホームストレートに立っていた。というのも、スタート前にマシンを間近で見ることができるのだ。

 休日ということもあって、子供連れの家族が多かった。だけど私は一人で来ている。せっかくなら北海さんも誘えばよかった。

 近くで見ても、ちゃんと原型を留めていることが分かる。よくここまで残すことができたなぁ、と毎回思う。

 誰かがリアウィングを見て『空でも飛ぶのか?』と言っていた。予習する前の私ならそう言っていたかもしれない。が、リアウィングなどのパーツの効果は逆である。

 こういった空力パーツはダウンフォースを発生させ、地面から離れないように(空を飛ばないように)作られている。これらのおかげで、時速300キロでも安定して走り続けられたり、猛スピードでコーナーを走ったりすることができるのである。

 そうしていると、レース開始の時刻がやってきた。


 レース開始前。次々にエンジンに火が入れられていく。GRヤリスよりも滑らかなサウンドが響いてくる。モータースポーツを観戦するのは初めてで、自然と気分が高まっていた。

 スタートシグナルが青になった瞬間、それぞれのエンジンが咆哮を上げた。思わず耳を塞ぎたくなるほどの大きさが私たちを包む。

 GT500の集団が最初のヘアピンコーナーを回り始めた時、最終コーナーから別のエンジンサウンドがした。

 その方向へ振り向くと黄色のヘッドライトが点灯したマシンたちが次々と向かってきていた。『GT300』のマシンたちである。

 加速して私たちの前を猛スピードで駆け抜けていく中、私は一台のマシンに目が釘付けになった。

「...痛車?」

 車名は分からないけど、ベンツということだけは分かる。白を基調に、水色と濃いピンク色が使われた塗装。ボンネットやサイドには大きくキャラクターがラッピングされている。

 黄色のゼッケンに書かれている番号は『4』だった。


「凄かったなぁ...」

 レースが終わり、私はGRヤリスのもとへ向かっていた。

 事故を恐れずに追い抜いていくドライバーたちも凄いけど、その操作に耐えるマシンも凄い...。

「帰ったらあの4号車のこと、調べてみよう...…ん?」

 GRヤリスを停めていたエリアに入った途端、異様な光景を見た。

 水色の帽子を被った少女が、両手で四角を作りながら私のGRヤリスと赤い車の斜め前に立っていた。

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