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1. 出会い

「そろそろ車、買おうかな...」

 仕事終わり、私(豊沢とよさわ しずく)はバスの中で呟いた。

 私は女優として活躍している。ところが最近、仕事量が増えてきていて、疲れが取れづらくなってきていた。こうやってバスに乗っている時間も有効活用して寝ていたいけど、自宅近くのバス停を通り過ぎる自信しかない。

「...明日にでもディーラーに行ってみよう。休日だし」

 上下に揺れるバスの中で、私はそう決断した。


「ヤリスの納期は...ハイブリッドモデルだと三〜六ヶ月、ガソリンモデルだと七〜八ヶ月はかかりますね」

「そうですか...」

 開店直後のディーラーで、私は販売員さんの説明を聞いていた。

 ヤリスがいい、と目をつけていたけど納期がこんなに長いなんて...。

「どうしようかな...」

 ふと、道路の反対側にある中古車の展示スペースを見ると、とある車が目に入った。

「...かっこいい」

「ああ、あれは『GRヤリス』ですね」

 私が目にしたのは、大きな開口部を持つ、スポーティでアグレッシブなデザインの白い『GRヤリス』。書類を書いていた時に知ったのだけど、2020年式の前期型だった。

「近くで見てもいいですか?」

「ええ、どうぞ。鍵も取ってきますね」


 GRヤリスの鍵を開けてもらい、運転席へ座った。そして感じた。

 この車なら、命を預けられそう。

「...もしこの車を今買うとしたら、納期はどれくらいですか?」

「そうですね...一週間くらいだと思います。車検もついてますし」

 フロントガラスに貼られている値札は『350.5万円』。オプション装備を付けたヤリスのハイブリッドモデルとあまり変わらない値段である。

 ちゃんと予算内。迫力のあるデザイン。雨にも雪にも強い4WD。眠くならない6速マニュアルトランスミッション。

「どうします?迷っている間に買われる可能性も...」

 その言葉を聞いたら、選択肢は一つしかない!

「買います!」

 これが、私とGRヤリスの出会いだった。


 一週間後、整備や登録が終わって納車の準備ができたと連絡を受けた。なので、仕事終わりにマネージャーの北海きたうみさんに近くまで送ってもらった。

「私も貯金して新車を買いたいですよ!明日にでも見せてくださいね!」

「分かってますって」

 私を送り終えた北海さんの軽自動車は、国道に合流して帰っていった。

「豊沢さんですね?」

「あ、この前の...」

 店内へ入ると、私に説明してくれた販売員さんが立っていた。

「GRヤリスはこちらにありますよ」

 販売員さんについていき、裏の駐車場へ。

 そこには、白いGRヤリスが置かれていた。

「ナンバーを馬力の数値に合わせる人なんて久々ですよ...。あ、こちらが鍵になります」

 鍵を受け取って開錠ボタンを押すと、一週間前と同じようにロックが解除された。

 運転席に座り、『GR』のマークが入ったボタンを押した。すると、荒々しいエンジンサウンドが辺りに響いた。

「...っ!」

「これ、社外製マフラーなんですよ。レスポンスが向上しています」

ヴォン....ヴオォォン...!

 販売員さんの言葉が聞こえづらいほどの音が私を包む。

 やはりこの車にして良かったかもしれない。

「それでは、良いカーライフを」

 販売員さんたちに見送られながら、私とGRヤリスは新しい日々を歩み始めた。

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