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壱:執政官現る ―咎人へのお沙汰―

 丈之助とエライジャが皆に見送られながら出立したその日――

 昼過ぎに招かれざる者たちがやって来た。


「王国政府、巡察官である! 地方執政官様とともに派遣された! 雷鳴騎士団団長ホルデンズ・イグナイトはどこにおるか?!」


 この国の最高権力者の代理人にして、権力の執行者である〝執政官〟――

 黒ずくめの法衣を纏い、護衛役の武装兵士を10人ほど引き連れ、地方地域の治安官に案内されてアルヴィアの街へとやってきたのだ。


 いかにも厳格そうで、いかにも人間味のない、冷酷極まる雰囲気にアルヴィアの街の住人の誰もが恐れおののいた。


 一方で執政官の来訪の報せは瞬く間にホルデンズの元へと報らされた。

 その時ホルデンズは、マルクス討伐の戦闘で荒れ果てた街の北側を見聞していたのだが、早馬に跨がって、急ぎ戻ってくる。そして、自らの邸宅の入り口前の路上にて執政官の一行を出迎えた。


 どのような沙汰が知らされるのかと、街中が騒然となる中で、ホルデンズは表情ひとつ変えずに、まさに刑場に引き立てられたような感覚で執政官と向かい合っていた。


「元雷鳴騎士団団長、ドルデヒア領前領主ギベルティ・ヴァレンス公腹心、ホルデンズ・イグナイト、執政官様の御前に出頭いたしました」


 ホルデンズは最新の注意を払いながら、最大の配慮をもって、執政官に向き合った。


「王国執政官ファロス・ルムトゥーロである。この度の逆臣マルクス・トレヴァス、並びにその部下たる、グレゴール・ハインリッヒ、ウォルフガング・クラッセン、この3人を首魁とするドルデヒア領簒奪行為に対する王国の勅命について伝達するために来訪した」

「はっ!」


 大声で返答しつつ腰を曲げて頭を下げる。その状態で執政官ファロスの言葉の続きを待った。


「ホルデンズ・イグナイトに対して告げる。

 この度逆賊たちの反逆行為、並びに権力と領地の簒奪行為に関し、死力を尽くしてこれを奪回し、今はなきヴァレンス公の無念を晴らし、なおかつ逆賊たちの監禁下にあったヴァレンス公の妻と娘を救出、この領地における治安回復への貢献、誠に大義である」

「ははっ!」


 ここまで執政官の言葉を聞いていても、丈之助たちの名前は一言もなかった。そればかりか事件解決に動いた主体はホルデンズの活躍ということになっていた。

 予想されたこととはいえ、実際に耳にするとはらわたが瞬間的に煮えくり帰ってくるのがよくわかった。


 さらに今、街中ではある3人のお尋ね者の手配書きが次々に貼られていた――

 その手配が気に描かれた名前と人相書きを見て街中の人々は驚くよりも憮然とした表情を浮かべた。


【咎人:疾風の丈之助:罪状、殺人、建築物破壊】

【咎人:エライジャ・ブラックウッド:罪状、殺人、及び放火】

【咎人:リカルド・アルヴァレス:罪状、殺人、窃盗】


 その3枚、いずれにもこう記してあった。


【DEAD or ALIVE:生死問わず】


 街角に張り出される〝お尋ね者〟の張り紙には、そこには丈之助とエライジャの名前と人相書きがあった。

 さらに、執政官の使者がホルデンズに国王からの勅命を伝える。


「そもそも――〝死んだマルクスは謀反を企てていた逆賊〟であり、これを旧領主の遺志を継いだホルデンズが討伐したものである!」


 執政官のこの一言で、今回の騒乱を収めた人物がホルデンズであると王国政府が、公式に固めたことになる。ここに丈之助たちが日の目を見る可能性はほぼなくなった。

 しかし、ここからが理不尽の始まりだった。


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