夢幻十刃、現る
現実と夢の境界が、静かに揺らぎ始める。
何かが変わりつつある――そう感じながらも、誰もその正体を掴めずにいた。
不穏な気配、理解を超えた存在、そして目に見える「異常」。
それはただの幻ではなく、確かな“何か”の始まりだった。
『9月24日 / 17:39』
セレステと一緒に森にいた。目の前には洞窟があって、その奥に夢喰いの巣があるらしい。
ゆっくりと中に入りながら、周りをよく見回した。そんなに深い洞窟じゃなさそうだな。スマホのライトを使って前を照らすと...うわ、何だこれ。
あちこちに卵みたいなものがある。青い雲のような形をしているけど、動物が産む卵みたいな形もしている。気持ち悪すぎる。
セレステが近づいてきて言った。
「キミの霊輝でこの巣を消すことが重要なの。準備はいい?」
「...ああ、でもちょっと気味が悪いな、こんなことするんだ」
片手に霊輝のエネルギーを集中させて、一気に解放した。爆発で土や岩が舞い上がる中、急いで洞窟から外に駆け出した。少し心配になってきた。
「なんで俺じゃなきゃダメだったのか分からないんだが」
セレステは何も言わずに洞窟の中をじっと見つめている。そのまま黙ったまま何も言わない。もう家に帰ることにした。
セレステはその洞窟の前にそのまま立っていた。何もせずに、まるでさっき起きたことの結果を分析しているみたいに。
『9月25日 / 15:56』
昨日のことを考えても、セレステが何も言わなかった理由が分からない。アンジュも忙しいみたいで現れない...考えることが山ほどある。
家に帰る途中で、突然何かが道の真ん中に現れた。夢喰いだ。また俺を標的にしている。
俺は胸に手をやり、拳銃を取り出した。
夢喰いがこっちに向かって走ってくる。一発の正確な射撃で、夢喰いは黒い煙の雲になって消えた。
やっぱり個体なら簡単に倒せる。でも前に一体でも手強いやつがいたな。一体何なんだ、この生き物たちは?
考えていると、後ろに何かが現れた気がした。振り返ったけど何もない。この不安な感じで、急いで家に帰ることにした。
『9月26日 / 15:49』
家に帰る途中、そろそろ次の女の子を探し始めるべきかと考えていた。夢喰いはそこら辺にいるが、アンジュもセレステも何も言ってこない。夢喰いを放っておいてもいいのか?考えれば考えるほど疑問が湧いてくる。探し始めるべきなのか...
その時、人気のない通りで奇妙な音が聞こえた。べちゃべちゃした音が前方から近づいてくる。数秒後、一つ目で大きな口をした奇怪な背の高い何かが俺の前に現れた。またもや夢喰いだ。しかも自分の家への道で。何かおかしい。この通りに頻繁に現れている。昨日も起きたことだ。
胸に手を当て、拳銃を取り出し狙いを定めた。しかし撃つ前に、夢喰いが...話しかけてきた...
「待テ!...キサマニンゲン」
まるで普通の人間がどう話すべきかわかっていない者のような奇妙な声だった。
「ワタシ...話シタイ...キサマト」
「何だって!?」
「...キサマ...特別ナ存在...」
一体何を言っているんだこの夢喰いは?話すのを見ているのは恐ろしく嫌悪感を抱く。吐き気がしそうになった。
「モシ...キサマ...ワタシタチ...タスケル拒否...スルナラ...コウカ...アル...」
見ているだけで気分が悪くなってきた。病気にでもなったような気分だ。撃つ準備をした時、アンジュが空から現れ、一刀で夢喰いを消し去った。
突然の出現に驚きと困惑を感じた。彼女は何も言わず、大きく跳躍して去っていく。
一つわかったことがある。アンジュは俺をこの夢喰いとの戦いに巻き込みたくないようだ。だからこんなに距離を置いている。何をしているかについて何も言いたがらない。しかし確信していることが一つある。俺はもうこの戦いの一部なんだ。望むかどうかに関わらず、夢喰いと向き合わなければならない...
しかし…なぜ夢喰いが話し始めたのか? この全ての背後に不穏な何かがある。
突然背後に何かを感じ振り返ったが、何も見えなかった。またもやあの感覚。背後に何かがいるという...
他の皆と話して、起きていることを報告する必要がある。その後家に着き、すぐに全員にメッセージを送って起きたことを報告した。皆心配しているようだった。
状況はますます困難になってきている。
『9月27日 / 10:14』
部屋でスマホを確認しながら、色々と考え事をしていた。そんな時、玄関のドアをノックする音が聞こえてきた。
階下に降りて誰かを確認しようと思い、ドアを開けると…驚いた。ルーシー、アナ、スズ、そしてルビーまで。かなり大きなグループが俺を見に来たんだ。
ライラも誰が来たのか見に降りてきて、こんなにたくさんの人が訪ねて来たことに興奮していた。みんなでリビングに向かった。なぜ来たのかは分かっていた。きっと最近起こっていることを心配しているんだろう。
キッチンに向かい、みんなに水を出そうと思った。グラスに水を注いでいる時、目の端で家の外で何かが動いているのに気づいた。キッチンの窓から裏庭が見えるんだが、覗いてみても何も見えなかった。
すると今度は奇妙な音が聞こえてきた。正面玄関の方から来ているようだ。困惑し、少し緊張しながら正面の窓に向かった。そして見たものは衝撃的だった。
通りに巨大な何かが這いずり回っていた。まるで蛇のように、皮膚は闇そのもので霧に包まれている。前にも似たようなものを見たことがあるのを思い出した。
外に出てあれが何なのか確認したかったが、ドアを開ける前にルーシーが後ろに現れた。
「どうしたのアレクス?」
驚いて更に動揺した。外にいるものがどれほど危険かわからない。でもルーシーはすぐに気づいた。俺が緊張しているのを知って、近づいてきて窓から覗いた。何も見えない。俺も見たが、確かにもう通りには何もなかった。
安心すべきかどうかわからなかったが、ルーシーはこの出来事に納得していなかった。俺が何かを知っているのを察知したんだ。諦めて、今見たものをルーシーに話した。
やがて他のみんなも、俺たちが戻ってこないのに気づいて事情を知ることになった。
するとルーシーが思いがけず提案した。
「外に出ましょう!」
「何だって!?でも危険かもしれない。お前たちには見えないんだぞ」
でも蛇のような形をしたこの夢喰いらしきものを見に行きたがっているようだった。
心の準備を整え、深呼吸をして、みんなと一緒に外に出てあの蛇が何だったのか調べることにした。しかし…
家から出た瞬間、何か悪いものが空気中にあるのを感じた。何か奇妙で異常な、何か違うものが周りにあった。必死に周囲を見回したが、全て普通に見える。でもこの感覚は消えない。何かがおかしい。でも何が?
すると遠くから足音が聞こえてきた。なぜ足音がそんなにはっきりと聞こえるんだ?通りの真ん中に歩いて行き、周囲を見回した。みんなは家の玄関にいた。
突然、重い足音が止まった。みんな困惑してこちらに心配そうに近づいてきた。
ルーシーが言った。「あれは何だったのアレクス?」
「わからない…」
その時、何かに気づいて呆然とした。ルーシーがその音について質問したんだ。
「待てよルーシー、もしかして聞こえたのか?」
彼女は神経質そうに頷いた。他のみんなを見ると、彼女たちもその足音を聞いていたようだった。
その時、また背後に何かの気配を感じた。振り返ると…通りの真ん中に誰かが立っていた…
通りの真ん中に立っているやつは、すげぇ変な格好をしていた。全身真っ白で、なんか水兵の軍服みたいな制服を着ている。
こいつは一体何者だ?
近づいてくる足音がだんだん大きくなって、十分近くで止まった時、異常なことに気づいた。その人物の目は不自然に光っていて、黄色く輝いている。そして頬には長い傷跡があって、首の辺りまで続いている。
誰だ...?
そいつが口を開いた。
「こんにちは。貴様が私たちを追っている人間ですね」
確かに人間の声だが、何かおかしい。
「あ、失礼。私の無礼をお許しください。私はネモと申します。夢幻十刃の十番目の『夢』です」
は?何だそれ?混乱した。何かがおかしい...でもよく見ると、これまで起きた異常な出来事を考えれば、答えは一つしかない。
こいつは...夢喰いだ。でも今までの夢喰いと違って、なんでこんなに流暢に話せるんだ?それに「夢幻十刃」って何だ?
「みんな!分からないかもしれないが、目の前にいるのは夢喰いだ!」
ルーシーを見ると、すごく怖がっている。アナも震えて、唇が震えている。スズも足がガクガク震えている。ルビーは怒っているみたいで拳を握りしめている。ライラは前を見たり、みんなを見たりしている。まるで俺がまだ気づいていない何かに気づいたみたいに...
ルーシーが震え声で言った。
「あ、アレクス...あれって夢喰いなの?」
「...!」
「あたしな、なんで見えるの...?」
背筋が凍った。ルーシーたちを一瞥し、確認する――全員、夢喰いを見ている。どうして…? もう霊輝を持っていないはずなのに。なんで…!?
喉が乾いた。夢喰いをもう一度見ると、そいつは恐ろしいほど、まるでサディスティックに笑っていた。
「人間よ、自己紹介をしなさい。礼儀を知らないのですか?」
「...アレクスだ」
「ああ、アレクスですか。人間には実に様々な名前がありますね」
戦うべきか?この夢喰いは何を求めている...いや、待て。他に頼れる人がいる。
そう思って、みんなを驚かせるように突然叫んだ。
「アンジュ――!!」
影からアンジュが現れて、すぐにその夢喰いに視線を向けると、素早く刀を抜いた。その夢喰いを見てすごく怒っているようだった。
「てめぇ何者だ?」
「おお!貴様はいつも私たちを追いかけてくる連中の一人か...何と呼ばれていたかな...ああ!思い出した。レイスドールね」
相変わらずサディスティックな笑みを浮かべながら続けた。
アンジュが夢喰いに向かって走り出したが、奴は簡単に避けた。
「おや、なぜ急に私を攻撃するのかね?」
アンジュはさらに怒って再び飛びかかったが、刀で正確な斬撃を入れようとする度に夢喰いは軽々と避けていく。
「なんて弱いんだ!こんなに弱い奴が、なぜ私たちにこれほど問題を起こしていたのか不思議でならないよ」
するとアンジュは激怒して刀で奇妙な動きをし。
「『霊唱、影縛』」
手と刀を一緒に動かすと影が生まれ、それが夢喰いまで伸びていき、アンジュの刀先から出る奇妙な影で奴を縛り上げた。
だがその夢喰いはただ笑って。
「愚かなことよ!こんなもので私が止まると思っているのか」
そして突然、何らかの方法でその影の束縛を破った。
アンジュが驚いていると、すぐに夢喰いが小さな鍵を手に出し、それを素早く振ると鍵は巨大になって奴と同じ高さまで大きくなった。
「さあ、私の攻撃の番だ。だが貴様を攻撃するのではない、レイスドール。あの人間たちをね」
アンジュが慌てて飛びかかったが、夢喰いは巨大な鍵を振って彼女を一撃で弾き飛ばした。そして空中でその鍵を使い、まるで空気中にドアがあるかのように何かを開けた。
「おい、人間よ。夢の中で楽しんでみたいと思ったことはあるかね?」
そう言われても、俺にはその意味が分からなかった。奇妙な風が吹いて、俺や他の皆を吸い込むように吹き始めた。風はどんどん強くなって、目を閉じて腕で顔を覆った。何が起きているのか全く見えなかった。
やがて風が止んだ。ネモという名の夢喰いは距離を置いてまだそこで笑っていて、何もしていない。
怖くなって他の皆の方を振り返ったが...見ると、何か奇妙な理由で理解できず説明もつかない状況が起きていた...ルーシー、アナ、スズ、ルビー、ライラが下着姿になっていた...なぜか彼女たちがそんな格好で...
「ああああ!」
「どうしたのアレクス?」ルーシーが慌てて言った。
「お前たち…何があったんだ!?」
「何がって?」
本当に自分たちの状況に気づいていないのか?それとも俺だけがそう見えているのか?
怒ってネモの方を向いた。
「てめぇ、クソ野郎!何をしやがった!?」
「おお!どうしたのかね、人間よ。私が貴様のために特別に作った夢は気に入らなかったかな?」
「夢?」
何も理解できない。何も分からないし、この野郎は敵だ。信じられるのは自分の本能だけ...戦うことにした。戦闘態勢を取って、ネモとの戦いに備えた。
俺の霊輝の連撃をネモの横に放った。
「おお!一体どんな力だ?人間よ!」
飛行能力を使って空中に舞い上がる。こいつと戦う準備は整った。
「なるほど...貴様を見誤っていたようだな。普通の人間ではないということか」
そのとき横からアンジュがネモに向かって刀を振り下ろしたが、ネモは効果的に攻撃を避け続けている。
「面倒な連中だ...仕方ない、これを使うしかないようだな」
突然、ネモは空中でもっと高く離れ、大きな鍵を前に構えた。
「開け『夢殻』」
その瞬間、大きな鍵が真っ二つに割れ、奇妙な霧がそこから噴き出した。霧は素早く広がり、視界と周囲を覆い尽くす。何も見えない。
そして突然霧が晴れると、全ての景色が変わっていた。海の真ん中にいる。足下は広大な海、上空には灰色の雲が広がっている。
一体何が起こった?ここはどこだ?
周りを見回すが何も見えない。他の仲間の霊輝を感じ取ろうとしたが、何も感じられない。
そこでネモが再び現れ、いつものようにサディスティックな笑みを浮かべている。
「どうした?怖いのか?」
「何をしやがった?」
「本当に知りたいのか?」
訳が分からず腹が立つ。
「よかろう、説明してやろう、普通ではない人間よ。私がしたのは『夢骸』を使ったのだ。貴様が見たあの鍵が私の『夢殻』...『夢幻十刃』のメンバーが持つ特別な武器だ」
この会話についていけない。『夢殻』『夢骸』『夢幻十刃』...一体何なんだそれは?
とにかく、こいつを倒さなければ。全速力で飛んでいこうと身構えたが、水の底から巨大な木の船が現れて行く手を阻み、後退させられる。
「何だあれは?」
「これは『夢』だ。論理を求めるな、不可能だからな。ここで起こることすべてが私の世界なのだ」
これは複雑になりそうだ。両手を合わせ、霊輝エネルギーを溜めて再び放とうとしたが、木の船が再び立ちはだかり攻撃を受け止める。
「私の船に何をする?」
何をしても効果がない。常に何かが立ちはだかって一撃も当てられない。遠距離でも近距離でも攻撃できないなら、両方同時にやってやる。
無秩序に素早く飛び回りながら霊輝エネルギーを放ち続ける。当たろうが当たるまいが関係ない。
この行動がネモを困惑させた。
「一体何をしているつもりだ、人間?」
同じように続けていると、少しずつ霊輝が当たり始める。
「くそ!この忌々しい人間め、それで私に傷を負わせるつもりか?」
でも止めない。放つ霊輝が段々と強い衝撃で奴に当たっていく。
「この忌々しい人間め!」
人差し指を上に向けると、突然巨大なベッドが投げつけられてきた。続いて水の底から巨大なおもちゃたちが現れた。テディベア、木馬、そしておもちゃの汽車。
テディベアは生きているようで、空中を踏みつけながら向かってくる。木馬は駆けてきて、おもちゃの汽車も突進してくる。三つとも同時に俺に向かって来やがった。
でも何かが起こる前に、アンジュが再び空から現れて落ちながら叫んだ。
「初解、光喰め、月影」
刀が光り、一撃で三体の巨大な玩具が破壊された。ネモはそれにとても腹を立てているようだった。
「ああ!私の大切な『夢』を、何をしているつもりだ?」
アンジュは怒りと静寂の間にいるようで、その冷静な表情から彼女がネモに対して感じている軽蔑を俺は感じ取れた。
「これがオマエの最期よ。今すぐ片付けてやる」
「はっ!貴様のような哀れなレイスドールに何ができる?」
今度アンジュは刀を水平に構え、静かに言った。
「終解、光喰め、天雷」
突然、彼女がそう言った瞬間、雷が至る所に落ち始めた。下の海は激しく波立ち始め、雷は止まらない。そして刀に天から雷が落ち、刀身が消えて、代わりに刀身が完全に雷になった。まるで純粋な雷が集中して刀身を形作っているかのようだった。アンジュは走る準備をするかのような姿勢を取ったが、刀は垂直に構えている。雷は至る所に落ち続けていた。ネモは動揺して周りを見回し、何をすべきか分からないようだった。
瞬きの間に、アンジュは俺の視界から消えた。アンジュは極めて速く動き、一撃でネモを真っ二つにした。何もする最小限の機会も与えずに。
「雷光、我が刃を貫け」
多くの雷がネモの周りに激しく落ち始めた。すべてが非常に眩しい閃光になった。その輝きで俺は顔を覆わなければならなかった。それだけが見えていて、再びよく見ると、すべてが正常に戻っていた。
でも...飛んでもいなかったし、他のどこにもいなかった。この間ずっと、最初から道路の真ん中に立っていたままだった。ルーシーが肩に触れた。
「アレクス、どうしたの?そこに立ったまま何もしないで」
頭に手を当てた。何が起こったのか理解できない……夢でも見ていたのか?ネモの力は夢を見させることだったのか?あの奇妙な鍵――ネモが使ったあの鍵で見たすべては、本当に夢だったのか?
アンジュが心配そうな表情で俺の隣に現れた。重要なことを話す必要があるようだった。これ以上待たずに、家の中に戻った。話すことがたくさんあった。
家に戻ってリビングに入ると、アンジュはまだ同じ心配そうな表情を浮かべていた。
「さっきのは何だったんだ、アンジュ?」
「...確かなことは何もわからないけれど、あの夢喰いを見て理解できたことが一つあるの」
アンジュは真剣さと心配が入り混じった視線を俺に向けた。
「あの夢喰いは人間の姿まで真似できるほど進化しているのよ。でも、よく見れば特殊な特徴があることはわかるけれど」
ルーシーや他の子たちを見回して、さっきの詳細を思い出した。
「アンジュ、あいつが現れた時、ルーシー、アナ、スズ、ルビーがそいつを見ることができたんだ。なぜかわかるか?」
「何ですって!?」
アンジュは怖がっているようで、女の子たちを見つめた。明らかに彼女たちには彼女が見えない。ライラ以外は。アンジュは今とても心配そうだった。
「アレクス、本当にそうなの?」
「ああ、そうだろ、お前たち。あの夢喰いが見えたよな?」
みんなが俺の質問に頷いた。アンジュは恐怖に捕らわれたように見え、思案していた。
「信じられない...もし彼女たちがそれを見ることができたなら、考えられる理由は一つしかないわ」
「言えよ!彼女たちが夢喰いを見ることができるのはどういう意味だ。人工的な霊輝の残滓がまだ残っているからか?それとも潜在的な自然の霊輝が目覚めているのか?」
アンジュは首を振り、震えているようで、思考に迷った視線を向けていた。
「……アレクス、普通の人間、その人たちに特別な霊輝の潜在力があるわけじゃない」
「じゃあ何だ?」
「彼女たちがそれを見ることができたということは...あの夢喰いが人間の物理的次元を超越するほど強力な力と進化を遂げていたということよ」
それを聞いて体が麻痺したような感覚に陥った。あいつ、あの夢喰いがそんなに強かったのか?力をそんなレベルまで超越させたから、彼女たちに見えたのか...唾を飲み込む。圧倒されている感じがした。でも、それならなぜ一撃で倒せたんだ、アンジュ?
「でも簡単に倒せたように見えたが」
「違う!そうじゃない...あの夢喰いが自分の勝利を過信していたか、単に運が良かっただけよ...オマエも見ていたでしょう?...私はかろうじて一撃を当てることしかできなかった」
聞いたことに不安になった。確かにアンジュは刀の技を使うまで一撃も当てられなかった。状況がコントロールを失っているなら、これからどうすればいいんだ?気分が悪くなったが、その時誰かが肩に触れるのを感じた。見ると、笑顔を浮かべるルーシーだった。他の子たちも手助けする決意を持っているようだった...安心した。彼女たちを頼りにできる。前にもはっきりさせてくれた...この戦いは一人じゃない。
次回――
不安と決意が交錯する中、仲間たちは再び集う。
それぞれの力と知恵を重ね、見えぬ敵に立ち向かうための“準備”が始まる。
そしてアレクスは、迫りくる脅威から一時離れ、
新たな目的――九人目の少女を探す旅へと歩み出す。
静かな日々の裏で、確実に何かが動いている。
その兆しは、やがて誰も避けられない現実へと変わる――。




