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霊輝  作者: ガンミ
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混沌の一日と謎の訪問者

アレクスの日常は、静けさとは程遠いものになっていた。レイとの再会、ヘイブン・フロント・コーポレーションという不穏な影、そして仲間たちとの賑やかな時間。そんな中で訪れる体育祭の話題や、突然の夢と「謎の少女」の出現――次々と変化が押し寄せ、日々は混沌へと姿を変えていく。

『6月1日 / 11:44』


昨日、メリッサと起きたことがまだ頭から離れない。それと同じ夜、幸レイにメッセージを送って会う約束をしたんだ。待ち合わせ場所は俺の学校の前だ。何かあった時のことを考えると一番いい場所だし、それにあいつとそんなに長く話すつもりもない。ただどんな情報を持っているのか知りたいだけだ。


出かける前に、アンジュが影の中から現れて部屋の出口を塞いだ。


「あの男に会いに行くつもりなの?」


「行かなきゃならない。重要かもしれない情報を持ってるんだ」


「でもあの男はオマエを殺しかけたのよ!気でも狂ったの?」


「もっと悪いかもしれない。あいつはコーポレーションの名前を口にした...二度目だ...ヘイブン・フロント・コーポレーション」


「コーポレーションの名前だけで何が問題なのかわからないわよ」


「俺の思い込みかもしれないが、何か変なことが起きてる。それを確かめに行きたいんだ」


「...ついて行くわよ!」


「...え!?」


驚いた。アンジュが霊輝と関係ないことで付き添いを申し出るなんて信じられなかった。そうと決まったら、二人で俺の学校へ向かって幸レイと会うことにした。


数分歩いた後、もうあいつがそこにいた。学校の門の近くの壁にもたれかかってタバコを吸っている。近づくと、俺はタバコの匂いを払おうと手を振った。


「話してる間はタバコやめてくれる?」


レイはタバコを口から取り出し、指で荒っぽく消した。


「そのコーポレーションについて教えろ」


「ちょっと待てよ、せっかち野郎...お前は俺を憎んでるだろうが、まずは少し俺の話を聞いてくれ」


「他に何が言えるんだ?なんで急に変わったのかについてか?」


「お礼を言いたかったんだ」


「はあ!?なんで?」


「あの時話したように、俺はレイヴン...いや本当の名前が何であろうと、ただ真似してただけだった。やってたことは全部ただの気まぐれ、嘘だって分かってた...自分で作った嘘に取り憑かれてたんだ。そんな人格が生まれたのは親父のせいだった」


レイはスマホを取り出して画面を俺に見せた。画面には研究室の写真が映っていて、科学者たちの中央に今とは全く違う外見の彼がいた。


「親父のことは、『父親』というより、ただの『偉い人』だと思ってた。血は繋がってるけど、あいつは家族じゃねえ…むしろ、近づけば近づくほど、得体の知れないモンスターに見えてくる」


画面の中の厳格な外見の年上の男性を指差した。すべてについて叱りそうな人という感じの眼差しだった。


「この男が俺の親父だ。こいつのせいで、俺はこいつが望むように育てられ成長した。こいつみたいに、頭が良くて跡を継ぐような人間になれって。でもそれが俺をどんどん苛立たせた。成長するにつれてより厳しくなって、周りの誰も俺にアドバイスをくれなかった。みんな俺に対して親父と同じ期待を持ってたから誰も助けてくれなかった...でもお前は...」


スマホをしまい、俺の前にまっすぐ立った。


「俺に必要なパンチをくれた...誰かがはっきりと言ってくれる必要があった。俺の嘘から目を覚まさせてくれる必要があった...ありがとう」


頭を下げた。これは俺にとって奇妙な展開になってきていた。


何も言わなかった。これに関しては不快だったから、重要な話題に変えることにした。


「本題に入ろう。あのコーポレーションについて何を知ってる?」


レイは頭を上げた後、壁に背中をもたせかけて空を見上げた。


「確実じゃないが、あのコーポレーションは何かを知ってるぞ」


「どんなことを?」


「完全には分からない。だが、お前たちが持つあの奇妙な力について何かを知ってる人間が少なくともあそこにはいると断言できる」


「なぜそう思う?」


「彼女について話したからだ」


「何!?彼女の力について話したのか?」


「はい。あの力が嘘じゃないか確かめたかったから、その答えをくれる誰かを探した。だが曖昧な返答しかもらえなかった...それでも奴らが確実に何かを知ってることに気づいた」


この状況について少し考えた。あのコーポレーションは霊輝の存在を意識してるのか、それとも少なくとも数人が知ってる可能性があるのか。もしかすると霊輝そのものを知らなくても、力自体により興味を持ってるのかもしれない。とはいえ、レイもあまり知らないようだが。


「親父も聞いても何も言わないだろうな...それに、もう距離を置いた。すべてを捨てたんだ」


「...」


「この街を出る。どこか別の場所でゼロからやり直すつもりだ」


レイは歩き始め、数歩先で立ち止まった。俺に背を向けたまま言った。


「もう二度と会うことはないだろう。気をつけろ。いつかあの連中と対峙することになったら、相当な運が必要になるぞ...ははは」


それ以上何も言わず、振り返ることもなく去っていった。あそこに行くのは少し精神的に参ってるとも言える男だが、ただ助けを求めて必死だっただけだ。


確かにもう会うことはないだろうが、俺にとっては彼のような人間との別れが永遠を意味するわけでもない。もっとも、再び会いたいかどうかも確かではなかったが。


それに、彼が持ってた情報は比較的少なかった。関連性のある内部メンバーでも高い地位でもなかったから知識が少なかったが、知ってることは一つを明確にしていた。これからは注意が必要だということを。


隣にいたアンジュが考え込んでいたが、突然言った。


「そうよ!他の子たちにそのコーポレーションを調べてもらうのはどう?」


「情報を探すだけなら頼むが、危険なことはさせない」


「はいはい、それにしても本当にコーポレーションがどうやって問題を起こすのか理解できないわよ」


「もう少しちゃんと考えられれば、なぜそんなに危険なのか分かるんだがな」


「何ですって!?私をバカだと言いたいわけ?」


アンジュは俺の腕を叩いたが、この問題について考え込んでいた。もっと専門的な助けが必要で、一人の人物しか思い浮かばなかった...

ウィリアムのことを。


家に戻るとすぐ、エミリーに連絡し、ウィリアムに電話してもらうよう頼んだ。ヘイブン・フロント・コーポレーションについて調べられるかどうか、何か情報が見つかるか聞いてほしかったんだ。エミリーからは『OK』

という返事だけ。このコーポレーションについてどんな情報があるか待つしかない。


勉強でもしようかと思った時、スマホが振動した。驚いたことにひかりからのメッセージだった。


『退屈で絶望的!長い間会ってないじゃない。今すぐお前に会いたい!』


苦笑いを浮かべていると、続けてメッセージが届いた。今度はルーシーからだ。


『アレクスくん、お散歩しましょう♪ 試してほしいモチアイスがあるの。きっと楽しいわよね!今から行きましょう』


汗が出始めた。どっちにも返事できない。さらに事態を複雑にするように、今度はアナからメッセージが。


『アレクス、お忙しいのは分かってますし、色々あったことも承知していますけれど、今お会いできませんこと?』


手が震え始めた。これら全てのメッセージを見ながら、返事しなければと思っていた矢先、部屋のドアが勢いよく開いて、ライラが駆け込んできた。


「お兄ちゃん、遊びに行こうなの!」


今まさにカオス状態だ。整理のしようがない。そこで一つのアイデアが浮かんだ。誰かが嫌な思いをしても構わない。全員にメッセージを送って、アナの家で集合してもらうことにした。みんなを満足させる唯一の解決策だ。


ライラと一緒にアナの家へ向かった。到着して他のみんなを待っていると、一人ずつやって来た。みんな困惑している様子だった。


最初に口を開いたのはひかりだ。


「アレクス、これはどういう意味よ?なんでみんなを呼んだの?」


ルーシーがひかりを押しのけて言った。


「それが問題じゃないでしょう!あたしがメッセージを送った時に、なんで他のみんなも送ったのよ!」


ひかりがルーシーを押し返す。


「それは偶然だったのよ!きっとわたしが最初に送ったはずよ」


ルーシーが再びひかりを押す。


「何ですって?偶然?そんなの不可能よ!きっとあなたがあたしを監視してるのね!」


「どうやって監視なんかできるのよ?」


いつものように、この二人は特有の衝突を始めている。


アナが手を上げて話そうとした。


「せっかくみなさんここにいらっしゃるのですから、みんなでお散歩でもいかがですこと?結局、みなさんアレクスと時間を過ごしたいのでしょう?」


一瞬の静寂がリビングに落ちた。ルーシーが諦めたように答える。


「まあ、最初にあのモチアイスを食べに行くなら受け入れてもいいわね」


続いてひかりが。


「まあ、少なくともこれで退屈しなくて済むわ」


こうして、この日曜日の午後、みんな一緒に楽しい時間を過ごすため外に出かけることになった。


『6月2日 / 7:44』


学校への道中、エミリーと一緒に歩きながら昨日頼んだことについて聞いてみた。


「叔父さん、まだ何も見つからない?」


「先輩、焦り過ぎよ。昨日お願いされたばかりなのにもう情報があると思ってるの?」


「...悪い。全然落ち着いてられないんだ。俺や他の奴らを誰かが監視してるかもしれないって考えると、どうしても落ち着けない」


「きっと見つかるわよ。何せ私の叔父さんだもの、コネクションは沢山あるし...それに」


エミリーが急に何か不安そうに辺りを見回し始めた。


「先輩、前に話した提案のことで聞きたいことがあるの」


「提案?何の話だ?」


「忘れたって言わないでよね?」


「...悪い、色々あり過ぎて昨日何食ったかも忘れるレベルだ」


エミリーが諦めたようにため息をついてから言った。


「ママの食事の招待の件よ」


「...ああ、思い出した。その提案、もう来いってことか?」


「そういうわけじゃないの。行く気があるかどうか知りたいだけよ。でもママも忙しいから、その時間を空けるのに準備が必要で...どうやら先輩に大切な話があるらしいの」


少し考えてみた。その招待は妙に思えたが、エミリーの母親みたいな人と話せば俺の霊輝の起源について色々な疑問が解決できるかもしれない。日程を決める必要があるなら、選択肢は一つしかない。


「もし母親さんが空いてる日が必要なら、夏休みはどうだ?」


「...来月ね、分かったわ。伝えておく」


エミリーの母親との会談というか夕食というか、何と呼べばいいかも分からないが、これで色々な疑問が解決できるかもしれない。もしかしたら訓練を手伝ってもらえるかもしれないが、あの人の性格を考えるとそれは無理そうだ。他人を訓練するタイプには見えないし、ただ認めざるを得ないのは力のレベルではウィリアムより強そうだということだった。


ホームルームの時間、藤原先生が何か重要なことを言おうとしているのが分かった。クラス全体の注意を引くような感じで。


「はい、皆さん注意してください。我が校の伝統として、今度の金曜日に体育祭を開催します」


その瞬間、クラス中がざわめき始めた。皆が「体育祭」について話し出している。でも俺には全く分からない。こんなに長い間学校を転々としてきたのに、こんなイベントは一度も見たことがなかった。


「静かにしなさい、皆さん」


藤原先生が手を上げてクラスを落ち着かせた。


「ご存知の通り、この体育祭は我が校の学生のみで行う伝統行事です。

お互いの絆を深め、競争心を育むためのものですが――

特に三年生の諸君にとっては、 高校生活最後の体育祭になります。

プレッシャーをかけるつもりはありません。

ただ、この瞬間を仲間と共に全力で駆け抜け、

悔いのない思い出を作ってほしい。

皆さんの成長した姿を、心から楽しみにしています」


また皆が話し始めた。俺だけが場違いな感じがしていた。


前の席から榊が振り返ってきた。


「今年は絶対勝たないとな!」


「え?そうだな?」


「お前、全然興奮してないじゃないか。体育祭に参加したことないのか?」


「実は...学校を転々としてきたから、こういうのを間近で見たことがないんだ」


突然、榊の目がキラリと光った。まるで何か計画を思いついたような表情だった。


「それなら絶対に参加しなきゃダメだ!」


どう反応していいか分からなかったが、参加するのも悪くないかもしれない。それにクラスメートともっと親しくなれるかもしれない。でも一体何をすればいいんだ?


藤原先生が説明を続けた。クラス全員が参加するスポーツ競技で、競技内容と身体能力を考慮して決めるそうだ。リレー、障害物競走、縄跳び、綱引きなど色々あるらしい。

それに、学級委員長が中心となって、誰がどの競技に参加するかをクラス全体で話し合いながら決めるとも言っていた。


正直、何を考えればいいのか、何をすればいいのか全く分からなかった。


学級委員長がクラスの前に立ち上がった瞬間、教室に静寂が訪れた。今まで触れたことがなかったが、学級委員長はかなり規律正しそうな奴だった。花田大樹という名前だったと思う。


クラスはあっという間に花田大樹の手助けで整理された。体育祭の競技のほとんどはもう決まっていて、俺だけまだ何にも入っていない状況だった。最大三つの競技まで参加できるらしい。どうやら学級委員長の花田大樹がそれに気づいたようで、俺に声をかけてきた。


「えーと、まだどの競技にも入っていない人がいるようですね。朝倉アレクス...どこに参加したいか教えてもらえますか?」


クラス全体の視線が俺に集中しているのを感じる。いや、ほとんど全員だ。緊張してしまって、どんな競技をやればいいのか全然分からない。だから正直に、心の赴くままに話すことにした。


「...正直言うと、こういうのに参加したことがないんだ...どんな競技をやればいいのか全く分からない...」


クラスからざわざわと囁き声が聞こえ始める。なんだか疎外感というか、変な感じがして居心地が悪い。でも花田大樹が口を開いた。


「静粛に皆さん...そういったイベントについて詳しくないのは理解できます。もし少しでも手助けが必要でしたら、私からいくつか参加できそうな競技を推薦させていただけますが」


見た目に反して、意外と親切な奴だった。


そんな時、ルーシーが手を上げて話そうとした。


「何でしょうか、ウッドハウスルーシーさん」


ルーシーは一瞬眉をひそめて、それから自分の苗字だということに気づいたような顔をした。そういえばルーシーは俺と同じで転校を繰り返していて、年齢を偽って誰にも疑われないように、いつも苗字を変えているんだった。


「アレクスくんが競技に参加できるように手助けしたいの」


「...それで、何を提案してくれるのですか?」


「リレー!」


花田大樹は俺の方を振り返って、ルーシーの提案に対してどう思うか待っているようだった。俺は承諾した。あまり確信は持てなかったけど、結局リレーに参加することになった。


これで十分だと思ったんだが、その時榊が手を上げた。


「俺、アレクスに騎馬戦に参加してもらいたいんだ」


また花田大樹が俺の方をじっと見てきた。何かを期待しているのか、意見を求めているような視線だ。俺もそれに参加することになるのか。これで今度の金曜日の体育祭でやることは全部決まったみたいだな。体育祭で何をするか考えただけで、なんだか気が重くなってきた。それ以外は、今日は特に問題もなく、普段通りに過ぎていった。


『6月3日 / 7:00』


目覚まし時計の音が聞こえたが、まだ目を開けていない。頭に夢の断片が浮かんでくる感じがした。遠くで誰かと出会ったような気がする...女の子だった。前にも似たような夢を見たことがあるような軽い感覚があった。何もない場所に立っていて、彼女が見えるんだが、同時にそのシルエットがぼやけすぎて、はっきりと見えなかった。


突然、不快感を覚え始めた。目の前に何かがあるような感覚がある。何かが...ベッドの上に、俺の隣にいるような。ゆっくりと目を開けて、完全に開いた時、目の前には...女の子がいた...


彼女は金色の瞳でじっと俺を見つめていた。深い青色に輝いているような髪。その女の子を見て驚いて、ベッドから飛び跳ねた。


「ああああ!」


ベッドから落ちて、もう一度その女の子を見た。今度はよく見ると、アンジュのような服を着ていて、頭の横にあの奇妙な仮面までつけている。ただ一つ違うのは、この女の子の仮面はアンジュとは違うデザインだということだった。


指を指しながら動揺して言った。


「お前は誰だ?俺のベッドで何してるんだ?」


彼女はベッドに座って微笑んでいる。まるで今の状況を気にしていないみたいに。この女の子は一体誰なんだ?その外見から、アンジュの知り合いかもしれない...。

次回――現れた謎の少女は敵なのか、それともアンジュに関わる存在なのか。正体の見えない彼女が、アレクスに何をもたらすのか。そして、日常の中で進み続ける日々はどこへ向かうのか。さらなる出来事が待ち構える。

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