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霊輝  作者: ガンミ
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君の物語を書き換える

アレクスはついに、メリッサを縛る因縁に立ち向かう決意を固める。

過去との対峙、そして因果の清算――その先に待つのは、彼女を本当の意味で解き放つ瞬間。

互いの想いが交錯する中で、物語は終幕へと大きく動き出す。

『5月28日 / 15:01』


もうやるべきことは分かってた。まずはあの男、幸レイという最大で唯一の障害を排除する計画を立てなければならない。今度は躊躇わない。こいつをぶちのめしてやる。拳を握りしめて立ち上がり、メリッサを見て言った。


「メリッサ...それとも、まだレイヴンって呼んだ方がいいか?」


「...どっちでもいいわよ...」


「じゃあメリッサ、お前を守る必要がある。あの野郎が二度と俺たちを邪魔できないよう、最後の手を打つつもりだ」


メリッサは恥ずかしそうに立ち上がった。多分、自分の過去を全部話したからそんな風になってるんだろう。


「ついて来い。安全な場所に預ける」


彼女は俺についてきた。連れて行こうとしてる場所はアナの家だった。到着すると、アナは少し不機嫌そうに俺を見たが、頼み込むしかなかった。メリッサを預かってもらうお願いを。それ以上何も言わずに、アナは受け入れてくれた。


あいつと正面から対峙する計画を立てるところだった。あの男の霊輝を思い出す。これがあれば明日には見つけられる。直接探しに行って対決するんだ。言葉が通じないなら、痛みで少しは反省させてやる。そう考えて家に戻り、計画を練った...


『5月29日 / 16:22』


放課後、いつもあの野郎が現れてた場所を歩いた。集中して幸レイの霊輝の気配を探す。歩いて、歩いて、見つけようとして...そして感じた。路地裏にいる。そこに気配を感じる。これが、あいつに好き勝手させない意思を示す時だった。


その場所まで歩いて行くと、そこにいた。路地裏の壁にもたれかかって。その場所には彼だけがいた。対決するには完璧な場所だ。


幸レイが俺を見ると、その目は驚きに見開かれた。あまりにも驚いて、口にくわえてたタバコを落としてしまうほどだった。


「お前を倒しに来たぞ、確か名前は何だったか?...ウルリック ナハト?それとも幸レイと呼ぶべきか」


幸レイは俺の前に立ち上がったが、まだ距離があった。何も言わず、何かに驚いてるようだった。俺があいつのやったことの後でも無事でいることに驚いてるだけじゃないかもしれない。他の何かに驚いてるのかもしれない。


霊輝を両手に集め始めた。いつでも攻撃できるよう構えながら、幸レイの様子を見守っていた。あいつは相変わらず驚いた表情を浮かべたまま、口を開いた。


「信じられないのだ...貴様がまだ生きているとは...本当にあの女の力は...真実だったのだぞ」


「何を期待してたんだ?彼女が俺を助けるために何もしないとでも思ってたのか?」


「...あの女は...畜生、なぜ...」


痛みを堪えているような表情だった。実際、いつになく感情を露わにしている。俺はあいつのような冷血漢じゃない。それでも理解しようと努めた。


「おい、教えろよ...なんでそこまで彼女に執着してるんだ?彼女はお前のことなんて知りもしないのに、なぜだ?」


あいつは黙り込んだ。何も言わず、ただ俺を見つめている。何かを考えているようだった。


「...では一つ聞かせろ。貴様はなぜあの女に近づいたのだ?目的は何なのだぞ?」


「俺の唯一の目的は、彼女が持つ力を消すことだ。あれは彼女を苦しめる災いなんだ」


「...そ、それは...不可能なのだ...どうして力が災いになるのだぞ?」


親指の爪を噛み始めた。何かを考え込んでいるのか、それとも何かを思い出しているのか。そして再び口を開いた。


「あの時、彼女の叫び声を聞いた瞬間...本当に驚いたのだ...あんな姿は見たことがなかった...貴様は彼女にとって重要な存在なのか?」


「うぬぼれて『そうだ』なんて言いたくないが、分からないとしか言えない。それを知っているのは彼女だけだ」


「よい。では、なぜまだ俺様と話そうとするのだ?この俺様が、貴様を殺しかけたというのに…なぜなのだぞ?」


「ははっ、お前みたいな奴には謙虚さってもんが分からないんだろうな。みんながお前や、お前が作り上げた理想みたいだと思うなよ」


あいつは沈黙した。爪を噛むのをやめ、直立不動のような姿勢で立ち止まった。そして突然、ため息をついた。


「...話してやろう。もしかすると貴様なら理解できるかもしれないのだ。俺様はあの女とある日、理学部で出会ったのだ。彼女はあの男の友人だった...何という名前だったか?拓海とかいう奴の?」


風が吹いて、あいつの髪が揺れた。視線は俺に固定されたまま、話を続けた。


「彼女を見た時、信じられなかったのだ。あの女はとても自由で...話し方、歩き方、周りに何を言われようが気にしない。ただ自分らしくいるだけだった...正直、羨ましかったのだぞ」


手で髪を後ろに撫でつけながら、続けた。


「彼女のように自由に生きている人間がいるという事実に耐えられなかったのだ。俺様は...ただ檻の中にいるだけだった...親父が作った檻の中にな...」


幸レイは一瞬視線を落としたが、すぐに俺を見上げて続けた。


「若い頃、ファンタジーの本を読んだことがあった。その主人公にすっかり魅了されてしまったのだ...その主人公の名前は ウルリック ナハト だった」


その名前を聞いて少し考えた。そこから取ったのか...メリッサの場合と同じように。幸レイも中二病なのか?それとも何か別の理由が?年齢的には中二病を患うような歳じゃないだろうに...


「…彼女を真似るしかないと悟ったのだ。だから、あの本の主人公のように名乗り、彼女と同じことを始めた。黒い服装、話し方...彼女が持っていたあの自由を感じたかった...だが...」


片手で顔を覆い、一つの目を隠しながら何かを思い出すように続けた。


「彼女を観察すればするほど気づいたのだ。彼女は普通ではなかった。本当に力を持っていた...彼女を特別にしていたものは、彼女自身が特別だったからに過ぎない。人間ではなかったのだ」


それは間違いだ。メリッサは特別な存在なんかじゃない。あいつは…俺たちと同じ、ただの人間だ。幸レイは彼女を完全に勘違いしている…


「ただ彼女を観察し続け、分析していたが...貴様が現れねばならなかった。彼女と一緒にいる度に...彼女を自由に見せていたその特別な部分が失われていったのだぞ...」


拳を強く握り締めた。掌には霊輝が蓄積されていた。幸レイについて一つのことが理解できた。彼がやっていること、やったことすべて、自分の間違った思い込みだけに基づいてやっていたんだ。メリッサの行動の本当の意味を理解せずに、見たものをただ真似していただけ。この男には自分なりの問題がある。どこか偽りの理想に目を眩まされている。


もうどう対峙すればいいか分かった。


「今理解したぞ。お前が彼女を探しているのは、彼女の力や特別さのためじゃない...彼女が自分がどれだけ臆病者かを思い出させるからだ」


それを聞いた幸レイは動揺し、一歩後ずさりした。


「黙れ!貴様は何も分かってないのだ...!」


一歩前に出た。今が対峙する時だ。


「彼女は自由なんかじゃなかった、レイ。血と涙でその力の代価を払ったんだ」


動揺した幸レイは素早くいつもの折りたたみナイフを取り出し、俺に向かって走ってきた。


「嘘だ!彼女は特別なのだ、この俺様が見たのだぞ...!」


霊輝のバリアで持っていた折りたたみナイフを砕いた。幸レイは刃が即座に砕け散るのを見て衝撃を受けていた。すぐに霊輝を込めた拳で幸レイの腹部を殴り、強烈な衝撃でゴミや土を巻き上げながら彼を倒した。膝をついて倒れる幸レイに言った。


「特別だと?ストーカーされ、殴られ、裏切られた!脈も体温もなく...15年間一人で生きている!」


歯を食いしばった。この男がこんな風に他人に自分の理想を押し付けるのが許せない。


「それは自由じゃない。呪いだ。そしてお前は...見たいものだけを見ていただけだ」


幸レイの高さまでしゃがみ込んで、低いが鋭い声で言ってやった。


「一番悲しいのは何か分かるか?お前は『今すぐにでも自由になれる』ってことだ。それなのにウルリックの振りを続けてる...父がお前の人生を支配してるって思ってるのか?違うぞ!偽名の後ろに隠れてるのはお前自身だ!」


幸レイは震え始めた。あの安心した仮面にひびが入っていく。


「...分からないのだ...俺様はただ...」


容赦なく遮ってやる。


「あいつの力が欲しかったのか?なら取れよ。でもまず、お前の鼓動を諦めろ。肌に太陽を感じることなく生きろ!食べ物の味を感じることなく!二度と眠ることなく!彼女は全てを失った...お前はその代償を払う覚悟があるのか?」


幸レイは咳き込み始めた。もう立ち上がれないようだ。今度は本当に何もできないみたいだった。


「二度と俺たちの前に現れるな。さもなければ致命的な結果になるからな...」


足元に霊輝の一閃を叩き込み、わずかな威力で地面にミニチュア爆発を起こして亀裂を作り上げ――土煙が舞う中、これが警告だとりゃくそうに告げると、そのまま背を向けて歩き去った。…が、去る前に幸レイが最後に何か言った。


「...聞けのだ...ゲホゲホ...もう遅いのだ...あの女は狙われているぞ...貴様には止められんの!」


振り返って見たが、あいつはまだ地面に膝をついて下を向いていた。警告だったのか?なぜそんなことを言ったんだ?本当に敗北したように見えた。


とりあえずアナの家に向かうことにした。あの男はもう追ってこないとメリッサに伝えれば、全てが普通に戻るはずだった。


メリッサはその知らせを聞いて喜んだ。他のみんなにも知らせたがって、彼らを探しに出かけた。


幸レイがもう邪魔をしなくなったから、やっとメリッサから霊輝を解放する時が来たと分かっていた。明日がその機会になるだろう。


これで終わったと思って家に帰り、アンジュに明日メリッサを解放すると伝えた。もう何も邪魔するものはなかった。でも幸レイの言葉が頭の中をぐるぐる回っていた。何かがおかしい...そんな気がしていた。


『5月30日 / 16:33』


学校が終わった後、いつもの場所へ直接向かった。メリッサに会いに行くためだ。でも今日は特別な日だと感じていた。メリッサが霊輝から解放される日だからな。他の女子たちにも全部話したんだ。そしたら、一緒に来ることにしたらしい。


エミリーとルーシーが俺と一緒にいて、地下鉄の出口ではアナとひかりがもう待っていた。あいつらが単純に心配してついて来てるのか、それとも俺が知らない何か他の理由があるのか、よく分からなかった。


いつもの漫画喫茶に向かって歩いていると、遠くから外にダリオたちがいるのが見えた。最後に会ってからずいぶん時間が経っていたが...誰かと話しているようだった。十分近づいたとき、誰と話しているのかはっきり見えた。その人物は幸レイだった。


警戒した。そして反応すると、他の奴らも同じように警戒した。


「何しに来やがった?本当にてめえを終わらせてやろうか?」


だが、ダリオが一歩前に出て幸レイを庇った。


「待てよアレクス!話を聞いてくれ。こいつに重要な話があるんだ」


何が起きているのか分からず、混乱した。幸レイを見ると、服装がもっと「普通」になっていて、髪まで切っていた。一体何が起きている?


幸レイが、俺に一歩近づいてきた。


「聞け!あいつは...レイヴンが危険だ。昨日、貴様は俺様の話を聞かずに去った。言おうとしたんだぞ...ヘイブン・フロント・コーポレーションが奴を狙っている。見つけなければならん!」


「何だと!?今、メリッサはどこにいる?」


ダリオが近づいてきた。


「数分前に出て行ったんだ。レイが来てこの話をしたとき出て行った。ほんの少し前だから、まだこの辺にいるはずだよ。コンビニに行ったんだ」


他の女子たちを見て、あいつの霊輝の気配を探すよう指示した。一番近いコンビニに走ったが、どこにも見当たらない。どこに行った?何が邪魔をした?


また走り出し、メリッサの霊輝を感じ取ろうとした――自然の霊輝なら、誰のものか体が覚えている。ルーシーの温もりやエミリーの煌めきのように、まるで指紋みたいに独特で…

でも人工霊輝は違う。奴の霊輝は近くにいるときしか感知できず、その感覚も、砂に書いた文字みたいにすぐ消えてしまう。今もただ、あの不自然な“ノイズ”のような感覚だけが…


そのとき、アンジュが俺の影から現れ、横に現れた。指を向けて叫んだ。


「あっちよ、急いで!あの子がいるわ!」


俺は急いで指示された場所へ走った。建物が立ち並ぶ奥の方、人気のない路地裏にメリッサが立っていた。そして彼女の前には二人の男がいる。


走りながら気づいた。その二人の男が何かをポケットから取り出している。電気銃のような物だった。躊躇なくメリッサに向けて攻撃を仕掛けたが...彼女はそこに立っていた。何事もなかったかのように。


男たちは明らかに動揺していた。俺が駆けつけ、霊輝を手に込めて一人に拳を叩き込んだ。もう一人は慌てふためいて走り出す。


「クソッ、化け物どもめ!」


殴った男の首を掴み、警告した。


「聞けよ、クズども。上司に伝えろ。もう二度と彼女に近づくな。面倒なことになりたくなければな」


男を地面に落とし、メリッサに振り返った。


「大丈夫か、メリッサ?」


「...うん...どうしてわたしがここにいるって分かったの?」


「あいつのおかげだ」


少し離れた場所にいるアンジュを指差した。メリッサは彼女を見つめたが何も言わなかった。そして俺に向き直る。


「ありがとう...今度はお前がわたしを助けてくれたのね」


何と答えればいいか分からなかった。確かに「助けた」と言えるかもしれないが、彼女は決して危険にさらされてはいなかった。少なくとも物理的には。現在の彼女の状態を考えれば。


ただ彼女の手を取り、みんなの元へ戻った。妙な感覚が俺を落ち着かせてくれない。あのコーポレーション...一体何者なんだ?調べなければならないことがいくつかあるが、今は メリッサのことしか考えられなかった。


みんなの元に戻ると、楽しい時間を過ごした。幸レイは帰っていたが、拓海が俺に話しかけてきた。


「レイがお前に連絡してほしいらしい。アイツの連絡先を預かってるんだ。どうやらお前に言われたことで考え直したらしいぜ」


どうやら幸レイは反省したようだが、どうして?なぜ?俺の目的は彼を遠ざけることだったのに、あいつのことが理解できない。もしかすると見た目以上に自分の行動を理解していて、誰かに背中を押してもらって正気に戻る必要があっただけなのかもしれない。


疑問を抱きながらも幸レイの連絡先を受け取った。話してみよう。一晩から朝にかけてのあの急激な変化の理由を知るために。


その後時間が過ぎ、遅くなってきた。みんな家に帰り始めたが、俺が帰る前にメリッサが近づいてきて耳元で囁いた。


「明日...デートしない?」


彼女は緊張して恥ずかしそうに微笑んでいる。無邪気な表情で俺の承諾を求めていた。迷わず受け入れた。


そうか...明日ですべてが終わるんだな...。


『5月31日 / 10:03』


土曜日の朝早く、漫画喫茶でメリッサと待ち合わせしていた。いるはずなのに外にも中にもいない。数分待っていると、後ろから声が聞こえてきた。


「アレクス!...」


振り返って見ると、いつものあの奇妙な服装じゃなかった。今回は白いボタンシャツに茶色のスカート、膝まで届くやつを着ている。髪を整えながら、俺をまっすぐ見ることを避けて、頬に薄い赤みを浮かべていた。


「この服…変かな?ニーナに借りたんだけど…」


いつものように真っ黒な服じゃなくて、もっとカジュアルな服装の彼女を見るのは本当に信じられない光景だった。


「悪くないぞ。よく似合ってる」


彼女は緊張したように笑って、俺の手を取って歩き始めた。


「もしよろしければ...まず行きたい場所があるの。そこで誰かを紹介したい人がいるのよ」


どんな場所に行くのか、誰を紹介するって言ってるのか疑問だったが、黙って彼女についていった。地下鉄まで行って、どうやら結構離れた場所に向かうらしい。


地下鉄の中はほとんど人がいなかった。街の景色が遠ざかって、もっと田舎っぽい地域に入っていく感じだ。横顔を見ると、彼女は落ち着いて、物思いにふけって、穏やかでいた。


数分後、目的地に着いた。降りて周りを見回すと、本当に田舎の地域にいた。周りにはたくさんの木々、時代に取り残されたような家々が都心とは全然違う。彼女が歩き始めて、俺はただ黙ってついていった。


朝早いのに気温が暑い。この場所では陽射しが強く当たってる。周りを見ると、道はほとんど舗装されてなくて、家々は古い構造だが、それでも周辺に住んでる人たちがいる。子供たちが道で遊んで、老人たちが家の外でリラックスして環境を観察してる。こんな場所には来たことがなかった。


数分歩いた後、俺を驚かせる場所に着いた。墓地の前に立っていた。メリッサは入り口で立ち止まって言った。


「ここで...わたしのお父さんが眠っているのよ」


その言葉に驚いて、何も言えなかった。メリッサはゆっくりと墓地の奥へ歩いて行く。何歩か進んだ後、メリッサの父親のお墓の前に着いた。彼女はしゃがみ込み、手で墓石の拭いている。


「急に来てごめんなさい、お父さん...何もお供えするものを持って来なかったし、お父さんの安らぎの場所を掃除するものも持って来なくて...ごめんなさい」


声は優しく穏やかだったが、どこか憂鬱な響きがあった。


「お父さんにわたしのことを話したくて...わたし、力を手に入れたの...でも全然嬉しくなかった...」


俺も彼女の隣にしゃがみ込んだ。


「お父さん、大切な人を紹介したかったの。嫉妬しちゃダメよ。でもこの人がわたしの本当の無名の騎士なの」


声が震え始め、すすり泣きそうになりながらも涙をこらえようとしている。


「この人がわたしが恋をした人で、わたしに必要だった最後の一押しをくれた人なの」


メリッサが俺の手を取り、震えながらも強く握りしめた。俺も彼女の手を力強く握り返す。


「力に縛られて、たくさんの痛みを見てきた…だから、もうこの“枷”を解く時なの。お父さん、ごめんなさい…あなたに“さよなら”を言う勇気が、今ようやく持てた。

過去に囚われたままだと、本当に大切な人を守れないって気づいたから…だから、嘘のレイヴンを葬るの。

この人――今、わたしが心から愛し、未来を歩みたい人を連れてきた…変化の証人としてじゃない。あなたから受け継いだ“優しさ”で、新しいわたしを生きる誓いの証人として。

お父さん、ありがとう…あなたの物語は、わたしの心で永遠に紡ぎ続ける。でももう、娘は泣かない。 さようなら――」


風が吹き抜け、二人の沈黙を包んだ。 もう言葉は必要なかった――ただそこに、数分という永遠を共に座り続けた。これがレイヴンとの決別であり、メリッサという名の始まりだった。

次回、メリッサ編の結末が描かれる。

アレクスは彼女を霊輝から解放するため、最後の選択を迫られる。

彼の決意、そして彼女の覚悟――その全てが試される時、二人の未来はどのように形を変えるのか。

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