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霊輝  作者: ガンミ
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傷と癒しと決意

アレクスは仲間との信頼を深めながらも、次々と現れる謎と危険に直面する。エミリーから新たな情報を得て、やがて辿り着いたのはレイヴンとの対話。そして彼女が胸に秘める痛みと頑なな想いに触れ、物語は大きく動き出していく――。

『5月26日 / 12:10』


混乱が俺を襲ってたが、冷静にならなければならない。周りを見回したが、他の生徒の姿はない。エミリーがやったことを見たのは、ナオコだけだった。


ナオコがエミリーの腕をつつきながら、すごく興奮してるのが見えた。俺は彼女に近づいて、いくつか理解してもらわなければならないことがあった。今、あれを見た以上は。


「ナオコ、ちょっと話せるか?」


ナオコはエミリーの腕をつつくのをやめて、俺の方を振り返った。これが深刻なことだと理解したようで、表情がそれを表してた。


「何についてなのかしら、アレクス先輩?あの力のこと、知ってるのよね?」


結局、俺はナオコに霊輝について全て説明することになった——エミリーだけが持っているわけではなく、実は俺も持っているという事実も含めて。


ナオコは興奮を抑えきれない様子だった。


「すっごーい!私も超霊力みたいなの欲しいなぁ...でも、さっきの男の人みたいな悪い人も引き寄せちゃうのね」


ナオコはエミリーを見て、それから俺を見た。どうやら全体の状況を理解したようだ。


「言わなくても分かってるわよ、アレクス先輩。この秘密、命に代えても守るから」


ナオコを完全に信用していいかどうか分からなかった。前に見せた無謀な態度や衝動的になる可能性もある。でも、彼女の言葉を信じることにした。


これで一件落着したところで、エミリーが前に出てきた。何か言いたいことがあるようだった。


「先輩、さっきの男性についてなの。おじさんが情報を見つけたの」


幸レイがなぜあんなことをするのか、その動機を知る手がかりになるなら、何でも知りたかった。


エミリーが持ってる情報を話し始めた。


「まず、あの男性には特に注目すべきことはないの。ただの理学部で実習をしてる学生よ」


見た目からは想像できないほど普通の人間らしい。実際に会った時の印象と比べると、とても信じられなかった。


「次に分かったのは、最近、あるコーポレーションの臨時職員になったということなの。そこで何をしてるかは不明だけど、私はレイヴンと関係があるんじゃないかと思うの」


コーポレーションの話がまた出てきた。ひかりの時と同じだ。何かおかしい...そういえば、そのコーポレーションの名前を思い出した。記憶が正しければ「ヘイブン・フロント・コーポレーション」だったはずだ。


時間を無駄にするわけにはいかない。幸レイがいるコーポレーションの名前を確認する必要があった。


「エミリー、そいつがいるコーポレーションの名前、知ってるか?」


「ヘイブン・フロント・コーポレーションよ」


もう疑いの余地はなかった。何らかの形で全てが偶然か、それとも全てが何らかの形で繋がっているのか。


これが俺の持っているエミリーからの全ての情報だった。まだ残っている疑問は、なぜ幸レイがレイヴンに執着しているのかということだけだった。それが唯一の疑問として残っていた。今はただ次の行動を考えるしかなかった。


とりあえず考えられることは、レイヴンに会いに行くことだけだった。迷わず彼女に会いに向かった。


『13:17』


中に入ると、案の定レイヴンがいた。いつもなら仲間が囲んでいる場所に、今日は彼女一人。周りに誰もいないせいか、彼女の姿がいつも以上に小さく、孤高に見えた。その光景に、俺は胸を掻きむしられるような感覚に襲われた。近づくと、レイヴンがこちらの存在に気づいた――


「この時間に何をしているのじゃ?」


「試験で早く終わったんだ。それより大事なことがある。お前と話したい。お前の計画を知りたいんだ」


レイヴンは話したがらないようだった。手に持っていた本をテーブルに置き、俺から視線を逸らした。相変わらず頑固で話したがらない。だが俺が何かする前に、ルーシーが先手を打ってレイヴンと向き合った。


「レイヴン!ちょっと聞いてよ...なんでそんなに助けを受けるのを拒むのよ?アレクスくんはあなたのためにすっごく頑張ってるのよ...あの人まで学校まで来て危害を加えようとしたのに...」


幸レイのことを言った瞬間、レイヴンが急に振り返ってルーシーを見た。そして俺とルーシーを見つめ、心配そうな、何か言いたそうな表情を浮かべたが、何も言えずにいた。ルーシーはより怒った口調で続けた。


「もう頑固になるのはやめなさいよ!このままじゃ悲劇が起こるかもしれないのよ。誰も助けさせてくれなかったら、誰もあなたを救えないわ!」


レイヴンはルーシーの言葉にショックを受けているようだった。辛うじて彼女と視線を合わせていたが、視線を逸らし、今度は悲しそうな表情を浮かべた。


「...だが、そなたに我の何が分かるというのじゃ...」


「もちろん何も分からないわよ!だってあなた、言おうともしないんだもの。もう少し目を開けなさいよ、レイヴン!はっきり言わなきゃ誰も理解できないのよ!」


レイヴンはどう反応していいか分からないようだった。立ち上がると俺とルーシーに背を向け、何も言わずにそのまま立っていた。


「良い...理解した...それがお前たちの望みなら今すぐ去れ。お前たちは我を理解しておらぬ。お前たちこそが問題なのじゃ...奴らも含めてな...」


声が震えているのが分かった。ルーシーは何も言わずにその場を去っていく。俺はただそこに立って、背中を向けた彼女を見つめていた。今はこのまま放っておくべきかもしれない。でも絶対に戻ってくる。


「明日また来る」

「もう来るなー!!」


大声で叫んだせいで、周りの人たちまで振り返ってこっちを見てきた。こんな状態で放っておきたくないが、他に何ができるんだ?彼女をそのままにしておくしかない。最後の言葉を残して立ち去った。


「絶対にお前を救ってやる。待ってろ」


やるべきことがはっきりした。まずはあの男の件を片付けてから、レイヴンのことをもっと深く調べる必要がある。その日の残りは計画を練りながら勉強していた。明日もまだ試験があるからな。


(5月27日 / 13:20)


試験はあっという間に終わった。またあの漫画喫茶に戻ってレイヴンに会いに行く。昨日と同じように、彼女は一人でそこにいた。目が合った瞬間、立ち上がって怒った表情で歩き出そうとする。


「待てよ、どこ行くんだ?」


「お前には関係ないであろう。お前は無名の騎士ではない。我の行動を追う特権など持たぬ」


彼女は漫画喫茶から出て行こうとするが、俺も後を追った。


「ついて来るなと言ったであろう!」


「別についてってねぇよ。俺もお前と同じようにここを歩いてるだけだ」


振り返って俺を見る彼女の顔には苛立ちが浮かんでいる。でもこのままにはできない。歩いている間、誰かに見られている気がして周りを見回したが、大勢の通行人のせいではっきりと確認できない。それでもレイヴンを追い続けた。


すると突然、怪しげな二人の男がレイヴンの前に立ちはだかった。


「お前たち、誰だ?」


誰も答えない。ただ彼女を見つめている。俺は急いで近づいて、レイヴンを自分の後ろにかばった。


「何か用か?」


「...いえ、ただそちらの女の子が我々のサービスに興味があるかと思いまして」


男は怪しい名刺を取り出した。読む気にもならない。こいつらは間違いなく怪しい。


「失礼ですね、彼女と話したいだけなんです。少しどいてもらえませんか」


「断る」


「...しつこいですね。もしかして彼氏さんですか?」


「そうだったらどうする」


男は愛想よく振る舞おうとしていたが、顔にはもう苛立ちが表れていた。もう一人の男に目で合図を送ると、何も言わずに去っていく。


「もう大丈夫だ、レイヴン」


振り返ると、彼女は顔を赤らめて手で隠そうとしていた。そして突然こう言った。


「ば、馬鹿者...」


レイヴンは理解するのが難しい女の子だった。理想に頑固で、でもそれが彼女なんだ。俺には理解できないけど、彼女のあり方を受け入れている。それ以上考えることはない。ただ、彼女はそういう奴なんだ。


レイヴンを別の場所に連れて行った。漫画喫茶まで歩いて戻り、そこに座った。さっきより落ち着いて見える。


「...本当に理解できないわ。なぜそこまで我のためにするのじゃ?」


「もう言っただろ?俺は無名の騎士で、だから...」


「それは聞きたくないのじゃ!!...お前は無名の騎士ではない...知りたいのは、なぜお前がそこまで努力して我を助けようとするのか、その理由である」


その言葉で理解した。レイヴンは中二病モードを脇に置いて、俺が本当に何を感じているか知りたがっている。驚いたことに、初めて彼女が俺に対して 本心からの 興味を示したのだ。


「大した違いはないよ。お前を助けたいんだ。霊輝で苦しんでいるかどうか分からない。夢喰いと戦っているかどうかも分からない。何より、お前が何を感じているかも分からない。義務感だけじゃない。ただ...助けたいからやってるんだ」


「そんなことは信じられぬ...お前のように優しい人間が存在するなど...不可能である...なぜなら...なぜなら我は人間がどういうものか知っているからじゃ...」


「本当に知ってるなら、お前の友達はどうなんだ?あいつらはお前に優しくしてくれてないのか?」


その言葉にショックを受けたようだった。外からの助けを信じることを拒み、自分だけで何とかしようとしている。アナにも似たようなことがあったが、レイヴンの場合はもっと具体的な理由があるかもしれない。


「ただ待つよ...お前が俺に全てを話してくれるまで待つ。それまでは助け続けるし、守り続ける」


レイヴンは俺から視線を逸らし、何も言わなかった。午後ずっと彼女と一緒にいて、これ以上問題が起きないよう見守った。だんだん話したがっているように見えた。家に帰る前、そんな印象を受けた。


明日は試験最終日だ。またレイヴンを見に行こう。レイヴンがついに心を開いて、彼女の過去と彼女に関わる全てを俺に明かす時が近づいている、そう感じていた。


『5月28日 / 12:13』


最後の試験が終わった時、榊が前の席から振り返って話しかけてきた。


「おい、アレクス。数日前から聞きたいことがあったんだけど、なかなか機会がなくてさ」


「何だ?」


「あの時話してた女の子…『助ける』って言ってた中二病の子なんだけど」


「別に特別なことはしてない。ただ、抱えてる問題をサポートしてるだけだ」


「...すげぇよ、アレクス」


「なんで急にそんなこと言うんだ?」


「...色々理由があるんだよ...会ったばかりの奴を助けようとするし、しかも中二病の子だろ?俺と比べて...」


榊の表情を見ていると、何か重いものを背負っているように見えた。確か前にも自分の過去について何か言っていたな。もしかしたら、これが榊が中二病について何を知っているのか、そして彼の過去について理解する機会かもしれない。


「何か罪悪感でも抱えてるのか?話してみろよ」


「...本当に罪悪感なのかどうか分からないけど...話すよ」


榊が語り始めた。中学時代、中二病のクラスメートがいたという。最初はみんなの注目を集めて、クラスでも愛されて一緒に楽しんでいた。でも段々と状況が変わっていき、みんなが彼をからかい始め、統合失調症だの何だのと言って馬鹿にするようになった。彼はただ自分の幻想の中で生きていたかっただけなのに、周りが無理やり現実を見せようとした。結局精神的に追い詰められて学校に来なくなり、後で転校したと聞いたが、それ以降のことは分からないという。


榊の話を聞いて一つのことが理解できた。中二病は周りの人間からからかいや嘲笑の対象になりがちなんだ。彼らは単に独特な考え方を持って、物事を自分なりに捉えているだけで、実際には誰にも害を与えていない。でも周りの人間が害を与えることがある。もしかしたらレイヴンにも似たようなことが起こったのかもしれない。


そう考えていると、榊がもう一つ言葉を付け加えた。


「本当に驚くよ、アレクス。お前はその子の中二病を受け入れて助けようとしてる。俺なんて話しかける勇気もなくて、遠くから見てるだけだった。自分が弱いことを責めたよ」


「そんなに大げさに言うなよ。俺から見たら、お前の方がよっぽどすごいぜ。なんていうか…社交的な友達のオーラがハンパないって感じでさ」


「それ何だよ、意味分からねぇ...ははは」


友達と心の内を分かち合うこんな時間は、久しぶりだった。でも今、榊みたいな奴がいることで、自分も変わろうという気持ちになる。この時点で、榊が持ってるあの自信を俺も身につけられた気がする。


これ以上言うことはない。レイヴンのところに向かおう。


『13:13』


漫画喫茶に着いたが、驚いたことにレイヴンが外で待っていた。何かあったのかと心配になって彼女に近づく。


「なんで外にいるんだ?何かあったのか?」


「いや…ただここで待ちたくて…その…なんて言えばいいか…ええと…」


彼女は言葉をうまく組み立てられずにいる。何を伝えようとしているんだ?


「とにかく今日は我に付き合ってもらいたいのである。重要な話があるのじゃ」


レイヴンは俺の手を取って引っ張り始めた。手を繋いだまま歩き出す。何が起きているのかわからないが、ただ彼女の横を歩き続けた。横顔を見つめていると、風が彼女の髪を揺らしている。何も言わないが、すべてが穏やかに感じられる。


歩いていると、急に彼女が俺の手をぎゅっと握りしめた。


「…なあ、知っているか…汝が我に付き合ってくれる理由には意味があるのである…」


「まあ、当然だろうな」


「…前に汝が言ったことを試してみたいのじゃ…我について話したい…我を知ってもらいたいのである」


そう言いながら微笑む彼女の横顔は、なぜか安らぎを感じさせた。


「友人たちには我の一部しか話していないが…汝には全てを話したいのである…」


驚いた。彼女がついに自分について話す決心をしたのか。でも歩きながらというのは心配だ。


「どこか場所に行って話さないか?こんな風に歩きながら君の大切な話をするのは不自然だろう」


「…確かにそうじゃな…どこか行くべきかもしれん…うーん…よくわからんが――」


突然、予告もなく誰かが俺にぶつかって倒れた。下腹部の後ろに激痛が走る。目を開けるのが辛いが、立ち上がっているのは…幸レイだった。


すぐに自分の体を見ると血が流れている。あいつが背後からいつもの折りたたみナイフで攻撃したようだ。


レイヴンがこれを見て叫んだ。


「ギャアアアアッ!!!」


幸レイは一瞬レイヴンを見て驚いたが、すぐに逃げていった。


レイヴンは通行人の視線も気にせず地面に駆け寄り、胸が光って杖を出した。


「だめ…こんなことが起きてほしくないのじゃ…治してやるぞ」


杖が光ると、一瞬で痛みが完全に消えた。血の跡さえもなくなっている。驚いたが、それより大切なことがある。レイヴンが泣いていた。


手を見つめながら、一瞬で悲劇が起きていたかもしれないと思う。レイヴンがいなかったら…彼女を見つめて、言えることは一つだけだった。


「助けてくれてありがとう、レイヴン」


そのまま道端に座ったまま彼女を抱きしめた。彼女の泣き声が周りの音と混じり合う。本当に一瞬で全てが終わっていたかもしれない。奇妙な感覚と、命の危険を感じたことで新たな勇気が目覚めている。間違いない…あの野郎を一度で片付けてやる。


レイヴンが落ち着いた後、俺の家へと向かった。道のり全てが静寂に包まれていたが、彼女は道中ずっと俺の腕にしがみついていた。家は空っぽで、ライラも父さんもまだ帰っていない。リビングに向かった。


何か飲み物でも出そうと思ったが、レイヴンは俺から離れようとしない。


「もう離してくれよレイヴン。もう大丈夫だし、家にいるんだ」


しかし彼女は顔を俺の腕に押し付けて隠し、何も言わない。本当にあの出来事に動揺しているんだ。


「そういえば、何か大事な話があるって言ってたよな?」


いくら話しかけても、彼女は何も答えない。ただまた泣き始めただけだった。俺の腕に顔を隠したまま、すすり泣く声が聞こえてくる。その声を聞いていると、あのクソ野郎を探し出して顔面に一発食らわせてやりたい気持ちが湧いてきたが、今は彼女のことが最優先だ。


「泣くなよレイヴン。そんな姿は見たくない」


彼女の頬に手を置き、視線を合わせる。


「な?俺を救ってくれたんだ。それが大事なことだろ。だから涙を止めてくれ」


彼女はまた俺の腕に顔を押し付けた。


この静寂の中、壁の影が一人でに動いているのに気づいた。その影の中からアンジュの顔が現れ、驚いた表情でこの光景を見つめている。


声をかけるべきかどうか迷ったが、驚いたことにアンジュが影から出てきて近づいてきた。そしてもっと驚いたことに、レイヴンに話しかけた。


「ねぇ、そこの泣き虫。いつまで泣き続けるつもり?それとも昔からそんなに弱虫だったの?」


レイヴンは困惑してその声の方を振り返り、アンジュを見て驚く。


「お前は誰...?いや待て、一度見たことがある気がする...その顔に見覚えがある」


「私の顔なんてどうでもいいの。ここにいるのはオマエに一度でしっかりと理解させるため。アレクス、そのオマエがしがみついている男子の何が悪いと思うの?」


「えっ!?」


「格好良いと思わぬか?」


「えっ!?」


「さあ言いなさいよ!言いなさいよ!今、何を感じてるの?それがオマエの望みなの?オマエの母も同じことを望んでたんじゃない?」


その瞬間、レイヴンの表情が完全に曇った。視線を落として何も言わない。アンジュがレイヴンに対して少し手荒だとは分かっているが、彼女を正気に戻そうとしているのも理解できる。


「我の母のことをなぜ知っている...?」


「...そんなこと重要か?」


「重要で...!!」


「...うるさい女だな...いいわ、教えてやる。オマエの霊輝は人工霊輝に過ぎないの。オマエが今持ってるその力は、私が引き起こした間違いでしかないのよ」


「それで何をするつもりじゃ?我からそれを奪うのか?」


「そうよ、それをするわ。何か問題でもあるの?」


「嫌である...それを失えば我の最後の繋がりが...消えてしまう...」


「それはオマエが作り上げた幻想に過ぎないのよ」


「幻想ではないぞ!!」


「じゃあ何なの?嘘?贖罪の形?はっきり言ってやるわ...オマエは喪失を受け入れていない。分かるのよ、人工霊輝がオマエと融合した時からオマエを観察していたからね」


「我のことを知っているのか...」


「ええ、でも重要なのは私じゃない。彼よ」


アンジュが俺を指差し、レイヴンが俺を見る。レイヴンの表情は深い悲しみと痛みに満ちていた。


「...アレクス...あの女が誰か知っているのか?」


「まあ、知ってるって言えるかな」


「我のことは話さなかったのか?」


「全然。この子、顔を覚えるのが苦手なの。近くで見ないと分からないのよ」


「...そうか...」


レイヴンは俺をじっと見つめた。その目には決意が宿っているように見える。


「もう決めたのじゃ...我の過去について話そう...」


彼女は全てを話す決意を固めていた。その視線、その瞳、その声、彼女の全てが俺に向かって、自分の全てを話す覚悟ができていることを告げているようだった。

次回、ついにレイヴンが自らの過去を語る時が訪れる。彼女の抱える傷、そしてその力の真実とは何なのか。アレクスに託される想いと決意を前に、物語は新たな局面へ進んでいく。

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