契約書の裏にある涙
アレクスはレイヴンの仲間たちとの交流を続け、今度はレオンやエリーゼと向き合うことになる。彼らがなぜレイヴンと共にいるのか、そして「記憶の書」と呼ばれる不思議な本――少しずつ見えてくる真実の断片の中で、アレクスは二人の過去や想いに触れていく。仲間を知ることが、やがてレイヴンへと繋がる道になるのだろうか。
『5月20日 / 12:11』
昼休み、俺はいつものようにエミリーと一緒にいた。普段ならルーシーも来て一緒に過ごすんだが、あいつが俺に告白してからというもの、あまり近づいてこなくなった。俺も忙しくて声をかける時間が見つからずにいる。ルーシーとは今まで通りでいればいいはずなんだ。お互い避け合う理由なんてないのに。
でも今は、昨日のことをエミリーに話すことにした。レイヴンに出会ったこと、あいつの変わった性格、そして一緒にいた三人の友達のことを。
話し終えると、エミリーは考え込むような表情を浮かべていた。
「へえ、先輩の話を聞く限り、随分と個性的な子みたいね」
「そうだ、今日約束したろ?一緒に来てくれるって。話した後でも、まだ来る気はあるか?」
エミリーは深く考え込んでいた。迷っているようだったが、最終的に無言で頷いた。彼女を連れて行くことでレイヴンが動揺しないか心配だが、今日は彼らのことをもっと理解しなければならない。特にレオンと話をする必要がある。なんとなくだが、レオンなら彼らの行動パターンを理解する手助けをしてくれそうな気がする。
そのための計画もある。エミリーを見ると、彼女は俺が何か言おうとしているのに気づいたようだった。
「先輩、まさか私に何かしてもらおうって計画があるんじゃないでしょうね?」
自信を持って頷くと、エミリーはため息をついた。
計画は単純だ。彼女にレイヴンと他の連中を引きつけて遠くに連れて行ってもらい、その間に俺がレオンと二人で話をする。
これらすべてを考えていると、緊張が込み上げてきた。
『16:21』
昨日の漫画喫茶にエミリーと一緒に到着した。昨日と同じ場所に入ると、そこにはレイヴンと他の連中がいた。俺がエミリーと一緒に来たので、全員が即座に動揺した。特にレイヴンが。
「無名の騎士よ、この平民は誰である?」
「彼女はエミリーだ。俺の学校の後輩なんだ」
レイヴンが立ち上がってエミリーを分析し始めた。しかし今回、エミリーの振る舞い方が俺を驚かせた。
「すみません、あなたがレイヴンさんですよね?私はエミリーです。そして...あなたのお話を聞きたくて。先輩が私にあなたのことを話してくれたので、それで来ました」
エミリーの作り話の言い訳を聞いて、レイヴンは興奮して微笑んだ。
「なるほど、そうか。我の話を聞きたいのであるな。完璧じゃ、ついて来るのじゃ」
しかし歩き始める前に、エミリーが言った。
「待ってください。彼らも一緒に来てもらえませんか?」
エミリーはあの三人を指差した。当然、俺はここでレオンと話すために介入しなければならなかった。
「待てよ、俺はレオンと話したいんだ。よろしければ」
レイヴンは一瞬考え込んで、それから手で合図をした。
「よかろう。レオンと無名の騎士以外は皆、我についてくるのじゃ」
レイヴンと他の連中はどこかへ去っていった。俺はレオンの前に座った。これが彼と話す瞬間だ。
「レオン、聞きたいことがある」
「どうぞ、吾輩はあなたの疑問になんでも答えることができるでありますぞ」
「どう言ったらいいか...なぜお前たちはそんな感じなんだ?」
「そんな感じとは?何を指しているので...まさか!...無名の騎士のように記憶が覚醒していないのでは!」
レオンと真面目に話すのは無理だって分かってる。あいつも中二病だから、普通に意思疎通するのは難しい。だから、あいつらが演じてるキャラクターを通して理解するしかないんだ。
「...レオン、お前の言う通りだ。俺は無名の騎士としての記憶を何も覚えてない。だから教えてくれ、その記憶はどこで見つけられるんだ?」
内心、恥ずかしくて死にそうだったが、こうでもしないとレオンには通じないだろう。
レオンはしばらく考え込んでいたが、やがて口を開いた。
「そうか...貴様も探しているのであるな...記憶の書を」
「記憶の書?それは何だ?」
「そこには吾輩たちの記憶が全て記されている。レイヴンの記憶も含めてである。その書を吾輩たちは6ヶ月前から探しているのだが、どこにも見つからぬのである」
そのレオンが言ってる本のことを考えた。もしかしたら、その本が連中がこんな風に振る舞う理由かもしれない。でも見つからないって言ってるが...
「なんでそれを探してるんだ?」
「...それはレイヴンの使命であるからな」
その本が重要だってことは分かった。
「ネットで探さないのか?」
でもレオンは首を振った。今度は少し落ち込んだ様子だった。
「物理的に見つけねばならぬのである。バーチャルコピーでは意味がないのだ...」
その本の内容を理解しないと、連中のことは分からない。
「その本のタイトルは何だ?」
「...表紙には『レイヴン姫と無名騎士』と書かれているである」
この本について調べる必要があるが、まずは連中を通してレイヴンのことを知らなきゃいけない。話を聞く限り、6ヶ月くらい付き合いがあるらしい。
「ところで、レイヴンとはどうやって知り合ったんだ?」
レオンは机に手を置いて、変なポーズを取った。
「ふむ、貴様は彼女を吾輩を通して思い出したいのであるな。よろしい、話してやろう」
いきなり腕を交差させ、次は指を広げて天井に向け、まるで謎の儀式でもあるかのように、不自然なポーズを連続で取った。
「昔、敵どもが吾輩を苦しめていた。誰も吾輩の言葉を理解せず、全てが暗い霧に包まれた世界であった...しかし」
彼は上着のポケットを探り、折り畳まれた古びた紙のようなものを取り出した。
「レイヴンと出会ったのである。敵どもが吾輩を襲った時、彼女が杖でそいつらを追い払ってくれた。彼女は吾輩を観察していたと言い、記憶の書を一緒に探しに行きたいと申し出た。迷わず承諾し、助けてもらった恩もあり、それ以来彼女と共に書を探し続けているのである」
レオンの話をどう解釈するか考えた。敵と言っているが、きっといじめっ子たちに脅されていて、レイヴンがそいつらを追い払ってくれたんだろう。レオンはレイヴンに借りを返すため、あるいは友達を見つけたから手伝っているのかもしれない。そう理解した。
「しかし、いくら図書館を探しても、どこにも存在しないのである。状況は絶望的であるが...しかし、貴様が現れた今、事態が変わるかもしれぬ」
突然レオンが俺に希望を託し始めて困惑した。
「なんでそんなこと言うんだ?」
「...なぜならば、貴様は無名の騎士であるからな...」
彼の表情が悲しげになり、テーブルに置いてあった紙を手に取った。
「この契約書が吾輩をレイヴンと結んだものである。彼女が友人であり、吾輩を理解してくれる存在で、『レイヴン姫と無名騎士』の本を愛していると感じたから署名したのであるが...」
契約書と呼んだその紙を持つ手が震えているようだった。
「貴様に提案があるのである、アレクス...」
レオンの視線が変わりすぎた。今度は真剣で、態度まで変わってしまったようだ。
レオンがスマホを取り出して、何かを調べているようだった。しばらくして画面を俺に向けて見せてくる。
「これがここにある『レイヴン姫と無名騎士』のデジタル版である。正直に言うと、吾輩はこの形で読んだのである」
デジタル版をちらっと見た。ウェブ上にあるなら、なぜレイヴンはあんなに物理版にこだわっているんだ?もっと考える前に、レオンがまた話し始めた。
「君に読んでもらいたいのである。確信はないが、君なら彼女が...ついに平安を見つけられるような気がするのである」
なぜレオンがそんなことを言うのかよく分からなかったが、一つだけ理解できた。この本を読むべきだということだ。でも、なぜレオンが俺にそこまで期待を寄せているのか知りたかった。
「分かったが、なぜ俺にそんなに期待するんだ?」
レオンは机を見つめながら微笑み、それから俺をじっと見つめた。
「分からないが、十分な理由があるかもしれないのである。例えば昨日、君はレイヴンのような本物の力を見せてくれた。だから君こそが彼女を助けられる人なのではないかと思ったのである」
レオンにとってレイヴンは初めての友達で、最も理解してくれた人なんだと分かった。詳細はまだ話していないようだが、彼女を助けたがっている。レオンがここまで誠実でいるなら、俺も誠実さを示したかった。
「レオン、俺も頼みがある」
「何であるか?」
「レイヴンとデートしたいんだ。手伝ってもらえるか?」
レオンは一瞬驚いた表情を見せ、それから笑い始めた。止まらない大笑いだった。
「はははは!」
何がそんなに面白いのか分からない。
「何がそんなに面白いんだ?」
「すまない...それでこそ吾輩の判断が間違っていないことが証明されたのである。本当に君こそが無名の騎士なのである」
今、自分があまりにも率直すぎたことを恥ずかしく思っていた俺に、レオンが再び口を開いた。
「吾輩は君を助けることができるが、吾輩の助けだけでは十分ではないのである。貴様自らがエリーゼとさくやと語らねばならぬ。彼女たちの承認を得ることができれば、物事はより良き方向へ進むであろう」
今度、この二人と話をする時間を作らなければならないだろう。それにしても、まだレイヴンがあの本の物理的なバージョンに対する執着を理解できずにいる。レオンは知っているかもしれないが、言いたがらない。きっとそれはレイヴンが明かすべきことだからかもしれない。
最終的にレオンと合意に達した。俺がその本を読み、レオンは俺が他の二人と話せるよう手助けしてくれる。そして俺がレイヴンとデートできるよう協力してくれるとのことだ。
時間はあっという間に過ぎ、レイヴンがみんなと一緒に戻ってきた。驚いたことに、エミリーとレイヴンはより親しくなっているようだった。友達になったのか?今のところすべてが順調に進んでいるようだった。それに、エリーゼとさくやと話すのも良いことだろう。
さらに、すべてがあまりにもうまくいきすぎているような気がしていた。レイヴンは何か奇妙なことに巻き込まれているようには見えないので、誰かが彼女を狙ってくることを心配する必要はないだろう。
穏やかな一日を過ごして家に帰った。明日はまた彼らと会い、今度はエリーゼかさくやのどちらかと話をすることになる。また、他のみんなに起こっていることを話す必要もあった。
その夜、俺はアナ、ひかり、ルーシーにメッセージを送って状況を知らせ、ライラとアンジュとも今起こっていることについて話した。みんな今では事情を知っているが、ルーシーの場合、メッセージを送ったにも関わらず、読んでいるという気配をほとんど見せなかった。もしかして恥ずかしがっているのか?明日彼女と話さなければならない。彼女をそのままにしておくわけにはいかない。
『5月21日 / 7:44』
エミリーを置いて、先に進んだ。今日はルーシーを探さなければならない。あの告白以来、彼女はずっと俺を避けているからだ。話をしたかった。
学校の入り口前に着くと、遠くからルーシーがちょうど到着するのが見えた。急いで彼女に近づく。ルーシーが俺に気づくと、驚いたような表情を見せ、少し集中を失ったのかよろめいた。
「ルーシー、大丈夫か?」
「...うーん...でもアレクスくん、何してるの?まさかあたしを待ってたの?」
「そうだ。話がしたかった」
二人で学校に入りながら歩き始める。会話が始まった。
「最近俺を避けてるだろ?」
彼女は動揺した。その視線が全てを物語っていて、最終的に認めた。
「あの後、あたし、あんなこと言うべきじゃなかったのかもって思って...」
ルーシーの後悔を聞いて、奇妙な感覚を覚えた。間接的に拒絶されたような、そんな気持ちになった。なぜそう感じたのかわからないが、そう感じてしまった。
「そんなこと言うな、ルーシー。気持ちはわかる。実は、もっと話したいことがあるんだ」
下駄箱の前で二人は立ち止まった。ひかりからも告白されたこと、でもまだ返事をしていないことを打ち明けた。それに、アナも直接は言わなかったが、彼女も俺に気持ちを抱いていることも理解していると話した。
ルーシーはその話を聞いて衝撃を受けた。
「...そうなの、彼女たちもあなたに言ったのね...」
ルーシーはその言葉をつぶやくように言ったが、それ以上に、彼女たちが俺に気持ちを抱いていることを意識しているようだった。しかし、それでもなぜそこまで俺を避けていたのかは完全には解決していない。
「ルーシー、俺が決めたことを言う。ひかりの告白を聞いた時と同じことを決めた...俺はまだ決められない。決められないんだ。まだ自分が何を感じているのか理解できないから。最初は、ただ君たちを助けたかっただけだった。それだけを考えていた。アンジュから聞いた話で、こんなことになるなんて思わなかった。だから答えられない」
ルーシーは何も言わずに頷いた。少し悲しそうに見えたが、理解してくれているようだった。少なくとも俺はそう思った。
「もう一つ言ってもいいかな?」
彼女は俺をじっと見つめた。その瞳には不屈で確固たる決意が宿っていた。
「アレクスくんの決断を待つよ。急がなくていいから」
彼女は微笑んだ。それは嘘でも言い訳でもなく、ルーシーと俺だけでなく、感情を示してくれたみんなとの間での無言の決断だった。
そう言うと、突然彼女は話題を変えた。
「昨日のメッセージを読んだの。今日あたしも一緒に行ってもいいかな?その子に会ってみたいのよ」
突然の提案に当惑した。しかし断る理由もなかった。ただ、俺が他の誰かと話している間、ルーシーはレイヴンと二人きりになることになる。それはレイヴンを理解する一種の方法でもあった。
ルーシーも真剣に受け入れてくれた。本当に俺に付いて来たいのか、それともレイヴンに会いたいのか。理由がどうであれ、今日は俺と一緒にルーシーを連れて行くことになった。
『16:31』
また漫画喫茶に入った。今度はルーシーと一緒だ。エミリーの時と同じように、みんながルーシーを見て驚いていた。特にレイヴンが立ち上がって、ルーシーに近づいてきた。
「で、この下僕は誰である?」
ルーシーが眉を上げた。俺がさっきレイヴンの中二病の話をしたとき、彼女はその意味をわかってたはずなのに、やっぱり気分を害したみたいだった。
「下僕だなんて、よくもそんなことを言えるわね」
レイヴンはそれを挑戦と受け取ったようだ。目を細めて、顔の前で腕を交差させる奇妙なポーズを取った。
「ほう...我に挑戦するとは、なかなかやるではないか。貴様が何者かは知らぬが、ついて来い。我の実力を見せてやるぞ」
レオンが俺に近づいて、素早く耳元で囁いた。
「貴様、今日はエリーゼと話すのである。残りは吾輩に任せるがよい!」
レオンはさくやを連れて、どこかへ向かうレイヴンとルーシーを追いかけていった。レイヴンがどんな挑戦をするのか分からないが、少なくとも霊輝の戦いにはならないだろうと確信していた。
エリーゼの前に座った。彼女は緊張しているようで、目があちこちを見回していた。集中しているというより、むしろ自分の考えに迷っているように見えた。彼女はどれだけのことを知っているのだろうか。
昨日レオンにしたのと同じようにすればいいと分かっていた。ただ会話するだけでいい。目的は彼らとレイヴンの両方を知ることなのだから。
エリーゼが必死にバッグの中を探し始めた。何を探してるんだ?と思っていると、驚いたことに小さなカップを取り出した。続けて何かのフレーバードリンクを出して、それをカップに注ぎ込む。そして、まるでお嬢様かなんかみたいなポーズでカップを手に構えた。
「それで、何の用ですわ?レオンから昨日聞きましたわ。話したいことがあるとか」
なんでわざわざカップを出してドリンクを注いでから話すんだ?キャラに合わせようとしてるのか?
「まず最初に、レオンから聞いてるかもしれないが、レイヴンに近づくためにお前らのことを知りたいんだ。だからお前について教えてくれ」
エリーゼは緊張したようで、カップを持つ手が震え始めた。一口飲もうとしたが、数滴こぼしてしまう。
「そ...そうですわね。レオンから昨日そんな話を聞きましたわ...あまり真剣に聞いてませんでしたけれど、あはは」
こいつはレオンより、いやレイヴンよりも変わってるな。少なくとも俺にはそう見える。
「まず、レイヴンとどうやって知り合ったか聞かせてくれ」
質問した時、エリーゼがまたカップから飲もうとしたが、突然むせてしまい咳き込み始めた。
「大丈夫か?」
「うぐ...大丈夫ですわ」
「そのカップ、置いたらどうだ?」
「これはわらわの食事ですわ、平民!わらわの命を支える血液なのですわ」
さっき明らかにドリンクを注いだのを見てたが...まあ、赤っぽい色してるからそう言ってるだけだろう。それ以上は気にしないでおく。
「で、何か教えてくれるか?」
エリーゼはカップをテーブルに置き、前腕で口を拭いながら答えるのを躊躇しているようだった。なぜだ?
「男性にこんなことを話すのは気が進みませんわ...でもあなたは無名の騎士ですから、お話ししますわ」
エリーゼがもう一度バッグを漁って、紙を取り出した。きっとレオンが俺に見せたやつと似たようなやつだろう。比べてみると、エリーゼの紙の方がレオンのよりも大切に扱われているように見えたが、テーブルの上に置かれたそれをよく見ると、実は絵でいっぱいだった。
「これがわらわとレイヴンを結ぶ契約書ですわ」
「もっと大事にしろよ。絵だらけじゃねえか!」
「なんという無礼な!これらの絵こそがとても貴重なのですわ。彼女がわらわに描き方を教えてくださったのですから」
エリーゼの顔に笑顔が浮かんだ。まるで思い出に浸っているようだった。
「昔、わらわの絵を愛してくれる人がいましたの。でもある日、その人はわらわより上手な人に出会ってしまって...」
指先が紙に触れる。いや、紙というより絵そのものに触れようとしているみたいだった。
「その人はわらわに『絵が下手で才能がない』と言いましたの。全てを諦めようとしていた時、レイヴンが現れてわらわに手を差し伸べてくれましたの。わらわの絵を褒めてくださって、『レイヴン姫と無名騎士』の本で彼女が想像する皆の姿を描いてほしいと提案してくださいましたの」
エリーゼにとってレイヴンは、誰も信じてくれなかった時に手を差し伸べてくれた人なんだな。レイヴンについて話すときの笑顔が全てを物語っていた。でも、その笑顔が消えた。
「でも...彼女の助けがあったにも関わらず、少し後に別の問題が起きましたの。実は、わらわは手を怪我してしまって、もう絵が描けなくなってしまいましたの...」
驚いた。事故に遭ったのか。でも手は普通に見える。何かあるようには見えないが。
「彼女の杖のおかげで治していただけましたの...」
そこで気づいた。レイヴンがエリーゼを治したってことは、霊輝の武器を使ったってことだ。でも、エリーゼはまだ話すことがありそうだった。手をさすっている。痛みを思い出しているのか?それとも他の何かを?どうやらエリーゼはレオンよりもずっと複雑な過去を持っているようだ。少なくとも俺にはそう思えた。
次回、アレクスはさらにレイヴンの仲間たちと接していく中で、それぞれが抱える過去や秘密に迫っていく。彼らとレイヴンを結ぶものは一体何なのか――そしてその先に待つのは理解か、それとも衝突か。新たな出会いの先に、思いもよらぬ展開が待っている。




