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霊輝  作者: ガンミ
47/130

都市の影、心の眩暈

アレクスは訓練や日常の中で、仲間たちとの関係に新たな揺らぎを感じ始める。

ルーシー、ひかり、アナスタシア、エミリー――それぞれの想いが交錯する中、街では不穏な影が動き出す。

そして訪れるのは、予想もしなかった瞬間。小さな変化が、大きな転機へと繋がっていく。

『5月12日 / 17:49』


アナの家で、また霊輝の訓練を続けていた。何度目だろうか? 感知や制御ができているかどうか、いまだに確信が持てない。確かに大幅な進歩は感じるものの……まだ十分とは思えなかった。


今日の訓練の疲労で完全に消耗してしまい、休憩を取ることにした。


そんな時、ひかりがいつもの笑顔を浮かべながら近づいてきた。


「ねぇアレクス、今日の訓練ちょっと退屈じゃない?」


気がつくと、ひかりが俺にかなり接近して、何事もないかのように頬を俺の腕に擦り付け始めた。


「え...ちょっと、何してるんだ!?」


ひかりの行動に動揺して離そうとしたが、彼女は抵抗した。


その瞬間、ルーシーの目が炎のように燃え上がったのが見えた。彼女は素早く駆け寄ってきて、ひかりの腕を引っ張って俺から引き離した。


「ひかり、今すぐやめなさいよ!」


しかし、ひかりはルーシーを無視して、今度はエミリーの方を見た。また何か不適切なことを言おうとしているように見えた。


「何よエミリー、何か言いたそうじゃない」


ひかりがそう言ったが、エミリーは完全に無視している。その間、ひかりは俺の腕をがっちりと握ったまま離さず、ルーシーは必死でひかりの腕を引っ張って引き離そうとしている。なぜかひかりはエミリーを煽り続けた。


「何も言わないから、そんなんだから、いつも背景扱いなのよ〜」


今度はエミリーが傷ついたような表情を見せた。振り返って俺を見つめる瞳には明らかに助けを求める色があった。その視線が『助けて』と訴えかけているのがはっきりと分かった。


「ひかり、エミリーをいじめるのはやめろ」


ひかりは俺を見つめたが、何も言わずにむしろ更に密着してきた。それを見たルーシーが再び怒りの表情を浮かべる。


エミリーが視線を逸らすのが見えた。考えてみれば、普段は控えめで自分の気持ちを表に出さないタイプだ。でも、なぜか俺だけは例外のような気がする。そんな風に感じていた。


だが、エミリーについてもっと考える間もなく、今度はルーシーがひかりを離してもう片方の俺の腕を掴んだ。まるで競争でもしているかのように、今度は両腕を二人に挟まれる形になってしまった。


「何触ってんのよお前!離しなさい!」


ひかりがルーシーに向かって叫んだが、ルーシーは完全に無視を決め込んでいる。


「うわ、嫉妬こわ〜。アレクスくんはくっつかれても、嫌がってなかったけど」


「……調子に乗らないで」


その光景を見ていただけだった。ルーシーとひかりの言い争いは続いていたけど、意識は、どこかエミリィの方へ向いていた。彼女たちの小さな心の変化が、静かに波紋を広げていた。


『5月13日 / 16:37』


今日は小さなテストをすることにした。霊輝の探知訓練の結果を試すだけじゃない。都心に行く時が来たんだ。


大きなグループで向かった。ルーシー、アナ、エミリー、それに茜も一緒だ。橋の近くを歩くだけで、それ以上深くは入らない。都心みたいな人混みの激しい場所に足を踏み入れるには、まだ早すぎる。


歩いたのは少し閑散とした通りだった。ガソリンスタンド、コンビニ、それにいくつかの食べ物屋や専門店があるくらい。結局、誰も異常な霊輝を感知できなかった。ルーシーとアナはこんな場所で訓練することに困惑しているようだった。


全員で家に帰った時、不安を感じていた。都心に足を踏み入れることに対する不安だ。あの場所を全く知らないからな。あそこをもっと正確に回るための計画を考える必要がある。


『5月14日 / 17:37』


昨日、道路を徹底的に調べた。バス停や地下鉄の駅への行き方も確認して、迷子にならないようにした。今回は昨日と同じメンバーだけじゃない。アンジュも一緒に連れてきた。


地下鉄で到着すると、街の騒音が耳に飛び込んできた。車の音、通りで話している人々の声、道の真ん中でギターを弾いている人、歩き回る大勢の人たち、そして巨大なビルと大きなスクリーンの光景。いくつかの店にはロボットのアシスタントまでいる。


信じられない光景だった。都心がどんな場所なのか、今まで見たことがなかったからな。


アンジュが空中に浮き上がりながら言った。


「ここが街の中心部なのね...うーん、でも、周りの建物を見ても、まだどこがどこだか全然分からないわ」


どうやらアンジュはこういう光景に慣れていないらしい。それなら霊輝を一人で探せなかった理由も分かる。


周囲を観察しながら、何か異常な霊輝を察知できないか歩き回った。でも、歩いている最中に突然茜が舌打ちした。


「チッ...ウチ、この場所大っ嫌いやわ」


茜にとってここは嫌な場所らしい。


そのまま歩き続けていたが、空中に浮いているアンジュの様子がおかしくなった。急に空中で静止したまま、何かをじっと見つめている。


立ち止まった。他の皆も同じように足を止める。


アンジュに声をかけたいが、大声を出せば通行人の視線を集めてしまう。


しばらくして、アンジュがようやく我に返ったように、ゆっくりと俺のそばに降りてきた。その表情は恐怖か、それとも戦慄か。


一体何を見たんだ?


「何かあったのか、アンジュ?」


アンジュは俺を見て、それから他の皆を見回してから、ただ一言だけ言った。


「とりあえず...帰りましょう」


「は?なんでだよ」


アンジュは苛立ったように俺を押しながら来た道を戻り始めた。地下鉄の駅に向かって歩きながら、押され続ける俺に向かって言った。


「後ろを振り返るんじゃないわよ。そのまま帰るのよ...」


「わからない、アンジュ。何を見たんだ?」


「...遠くのビルの上に巨大な夢喰いが止まってる...こんなの今まで見たことない...お願い、今日だけは帰りましょう...」


アンジュが動揺していた。これまで一度も、こんな風に取り乱す姿を見たことがなかった。結局、みんなで家に帰ることになった。


巨大サイズの夢喰いって何だ?頭の中でその概念が全く理解できなかった。


『5月15日 / 7:00』


昨日、どれだけ呼んでもアンジュは現れなかった。でも今日は学校に行く前に話をしなければならない。今回は呼ぶ必要もなかった。ベッドから起き上がった瞬間、彼女が現れた。


「アンジュ、今度こそ教えてくれ。昨日のは何だったんだ?巨大な夢喰いって?」


「その通りよ。今まで見たことのないサイズの夢喰い。一度だけ、レイスドールの基幹拠点でそんな噂を耳にしたことがあるわ……でも、誰も真剣に取り合わなかったの」


「危険なのか?」


「わからない。でも確実に言えるのは、レイスドール本部に報告を送ったってこと。向こうから指示が来るはずよ」


どうやらその巨大な夢喰いは、アンジュにとっても未知の存在だった。問題になるのかどうかもまだわからないが、間違いなく将来的な厄介事になりそうだ。アンジュから明確な答えが得られない以上、これ以上議論することもない。


そしてまた一日、何事もなく普通の日が過ぎていった。


『5月16日 / 8:15』


金曜日になっていた。日が経っても、次の女の子を見つける進展がない。


授業中、先生が少し席を外した瞬間、そんな思考が頭をよぎった。大きなため息をついてしまう。


「どうした、アレクス?疲れてるのか?」


榊が振り返って声をかけてきた。


「いや、何でもない。ただ最近、進歩できなくて...」


危ない。榊に今やっていることを話しそうになった。なんとかごまかさないと。


「お前に必要なのはここに行くことだ!」


なぜか榊が別の話題を持ち出してきた。手にしているのは何かのパンフレット。店のようだが、何か特別な感じがする。


「これは新しいコレクター向けの店でさ。来週の月曜日がオープンなんだ。どうだ?」


パンフレットを受け取って中身を確認する。場所を見て驚いた。都心だった。


もしかすると、もっと深く入り込むチャンスかもしれない。


「お前、あの辺りの道に詳しいのか?歩いていて迷ったりしないか?」


「何だその変な質問?」


榊が眉をひそめた。


「俺は生まれてからずっとこの街に住んでるし、都心には何度も行ったことがある。もちろんあの辺りのことは知ってるよ」


これは絶好の機会だ。榊が一緒なら、都心にも安全に行ける。あいつはこの街に詳しいからな……。そして、あの場所で今度こそ、霊輝を感知してみせる。サポートはなしだ……全ては俺次第だ。


最終的に榊の提案を受け入れることにした。月曜日、二人でその場所に行く。


実際に何も見つからない可能性もある。でも、これはチャンスだと感じていた。


『5月17日 / 10:25』


今日は土曜日の朝で、アナの家にみんなが集まっていた。ルーシー、ひかり、茜、エミリー、それにライラまで。霊輝の探知能力がどれだけ進歩したかを確認する必要があった。俺だけじゃなく、ルーシーもアナも、全員の成長を測るためだ。


茜が「ゲーム」を提案した。彼女がアナの家のどこかに隠れて、俺たちが一人ずつ彼女の霊輝を探すというものだった。ルールは簡単で、一人につき三分間の制限時間で茜を見つける。これを十回繰り返して、何回見つけられるかを競う。


最初に挑戦したのはルーシーだった。結果は十回中七回成功。悪くない成績だ。


次はアナの番で、彼女もルーシーと同じく七回見つけることができた。


ライラが続いた。やはり天才的な才能を見せつけて、十回全部で茜を発見した。相変わらず凄まじい能力だ。


そして俺の番が来た。緊張と同時に、自分の成長を確かめたい気持ちが膨らんだ。結果は十回中八回。思っていた以上の成果で、自分でも驚いた。本当に進歩していたんだ。


ひかりの番になったが、彼女はあまり乗り気じゃないようだった。それでも六回は茜を見つけることができた。


最後はエミリーだった。本来なら彼女にこんな訓練は必要ないはずだが、自分自身を試したがっていた。そして面白い提案をした。今度は茜がエミリーを探す側に回るというものだった。結果は驚くべきものだった。茜は十回とも、一度もエミリーを見つけることができなかった。エミリーは彼女なりの方法で確実に成長していた。霊輝というものを最も深く理解している彼女らしい結果だった。


すべての準備が整った。でも、今すぐ探索に向かう必要もない気がした。


「今日はもう休もう。明日も休んで、その後に計画を話す」


そう言った瞬間、ひかりとルーシーが俺の方へ向かってきた。最初に口を開いたのはルーシーだった。


「ねえ、アレクスくん、話したいことがあるの」


指を絡めながら、何だか恥ずかしそうに話そうとしている。でも、俺が何か言う前に、ひかりがルーシーを押しのけた。ルーシーはよろめいて横に数歩下がる。


「待ったあああっ!!」


今度はひかりが俺の前に立っていた。ルーシーはイライラした視線でひかりを睨んでいる。


「ねえアレクス、わたしとデートしない?今すぐ、どう?」


ひかりが俺にぐっと近づいて、ルーシーが見えないように遮る。でも今度はルーシーが力強くひかりの肩を掴んで後ろに引っ張った。ルーシーが俺の前に立つ。


「ずるいよ!あたしも同じことお願いしたかったの。お願い、あたしとデートして!」


この激しい「競争」に挟まれて、正直居心地が悪かった。ひかりが再びルーシーを退かそうとする。


「何でお前がデートなんだよ。わたし、まだ彼と一度もデートしてないんだから」


「でもあたし、ずっと彼と時間を過ごせてないの。一緒にいたいのよ」


「何言ってるんだよ、ルーシー。今だってお前、彼にくっついてるじゃん。もう一緒にいるようなもんでしょ」


「そういう意味じゃないの!彼と時間を過ごしたいのよ!!」


ルーシーがそう言った時、ひかりは諦めたようだった。軽くため息をついて、肩をすくめる。


「いいわよ……今日ぐらい、譲ってあげる」


振り返らずに去り際、一瞬だけ俺に悪戯っぽい笑みを投げた。


……なんだ、その顔。なんか怖いんだけど……


背筋にゾクッと冷たい感覚が走った。


『14:54』


アナの家を出て、ルーシーとのデートが始まった。


最初に向かったのは、街にある老舗のパン屋だった。以前、彼女が甘いパンが好きだって言っていたのを思い出していた。


「わあ...どれも美味しそうね」


ショーケースの前で、ルーシーの瞳がキラキラと輝いていた。メロンパン、クリームパン、チョコレートコロネ...一つ一つを子供のように眺めている姿を見ていると、なんだか胸が暖かくなった。


パンを買った後は映画館へ。何を見るか聞いてみると、意外な答えが返ってきた。


「ホラー映画が見たいな」


「え?」


まさかルーシーがホラー好きだとは思わなかった。まあ、俺だって怖い映画くらい見れる。そう思っていたのだが...


映画が終わって映画館から出ると、なぜか頭がクラクラしていた。


「アレクスくん、大丈夫?」


ルーシーが心配そうに俺の顔を覗き込んでいる。


「あ、ああ...ちょっと気分が...」


「そこで待ってて。すぐ戻るから」


彼女はそう言うと、小走りで売店の方へ向かっていった。


俺は映画館の外にあったベンチに腰を下ろした。なんで急に体調が悪くなったんだろう。ホラー映画のせいか?それとも...

その時だった。


強烈な霊輝の気配を感じた。


周りを見回すが、人影はまばらで特に怪しい者はいない。でも確かに感じる。霊輝の波動が映画館の外から遠ざかっていくのが分かった。


立ち上がろうとしたが、めまいが収まらない。クソ、こんな時に...


「アレクスくん!」


ルーシーが水のペットボトルを持って戻ってきた。俺の顔を見るなり、表情が曇る。


「どうしたの?顔が真っ青よ?」


「さっき、霊輝を感じたんだ。でももう消えた...遠くに行ったみたいだ」


「霊輝?大丈夫なの?」


心配そうに俺の額に手を当てるルーシー。その優しさが、なぜか胸に染みた。


数分休んでいると、体調も戻ってきた。せっかくのデートを途中で終わらせたくない。


「もう大丈夫だ。続けよう」


「本当に?無理しちゃダメよ」


「平気だって」


その後も街をぶらぶらと歩き回った。雑貨屋を覗いたり、公園のベンチで少し休んだり。普通のデートらしいことをして、時間はあっという間に過ぎていった。


そろそろ帰る時間だ。


「あたしがアレクスくんの家まで送るわ」


「いや、でも...」


「お願い。今日はとても楽しかったの。もう少しだけ一緒にいさせて」


断る理由もなかった。


家に向かう道を、二人で静かに歩いていく。夕日が長い影を作って、なんだか映画のワンシーンみたいだった。静寂の中を歩くのが心地よかった。


突然、ルーシーが空を見上げた。そして手を上に伸ばす。まるで何かに手を届かせようとするかのように。


笑顔を浮かべる彼女を見て、胸の奥が暖かくなった。


「また、こうやって一緒に時間を過ごしたいな」


俺を見つめるルーシーの笑顔は、純粋な喜びと幸せそのものだった。


また静かに歩き続ける。


しばらくして、ルーシーが急に立ち止まった。俺も足を止める。


顔を赤らめて、なんだか落ち着きがない。まるで何かに怯えているようにも見える。


お互いをじっと見つめ合う。周りには誰もいない。まるで世界に俺たち二人だけが存在しているかのようだった。


そして突然、ルーシーがささやくような声で言った。


「...あたし、アレクスのことが好きよ」


小さな声だったのに、はっきりと聞こえた。

目を見開く。心臓が急に激しく鐘を打ち始めた。汗をかき始めているのを感じる。頭の中が真っ白になった。

再び静寂が戻る。

見つめ合ったまま。


でも、ルーシーが再び口を開いた。


「...ただ、知っててほしかっただけなの...じゃあ...また」


ルーシーが走って離れていく。


彼女の背中だけが見える。短い髪が走る歩調に合わせて揺れて、もう追いつけない距離を作っていく。


俺は、そこに凍りついたまま立っていた。何も言えず、何もできず、ただ彼女が去っていくのを見ているだけ。


頭の中に一つの疑問だけが浮かんだ。


なぜだ?


家に帰ると、そのままベッドに倒れ込んだ。枕で顔を覆いながら、まだ信じられずにいた。


ルーシーの言葉が頭の中で何度も響く。あんな子が、俺みたいな奴のことを...なんで?理解できない。ただ助けようとしただけなのに、どうしてこんなことになったんだ?


自分を責める思考がぐるぐると回り続ける。そんな時、突然腹部に衝撃を感じた。


枕を顔から取ると、怒った顔のアンジュがそこにいた。


「オマエ、何してるのよ?さっきから話しかけてるのに返事しないじゃない」


「ほっといてくれ」


そう言って今度は頭ごと枕の下に潜り込んだ。こんな情けない姿をアンジュに見られたくない。


でも次の瞬間、軽い電気ショックのようなものが体を走った。反射的に仰向けになってしまう。今度は本気で腹が立った。


「何してんだよ?なんで電気みたいなのが...」


「そんなのどうでもいいでしょ。何があったのよ?変よ、オマエ」


アンジュに事情を話すべきか迷った。どうせ理解してもらえないだろうが...でも、誰かに聞いてもらいたかった。


結局、全部話した。ルーシーの告白のこと、今の自分の気持ちのこと。


話し終えると、アンジュは考え込むような表情を浮かべた。


「うーん...そうね、確かに理解できないわ」


「だったら聞くなよ!」


でも突然、アンジュが人差し指で俺を指した。


「でも一つだけ分かることがあるのよ。最近オマエを見てて学んだことがね」


今度はその指が俺の胸、心臓の近くに触れた。アンジュが微笑みながら言う。


「なんで否定しようとするのよ?」


その言葉に凍りついてしまった。言い訳を並べているだけだということは分かっている。どう対処すればいいのか、本当のところ分からない。今まで本気で彼女たちを守ろうと必死だった。でも自分の気持ちなんて一度も考えたことがなかった。


本当に愛することなんて、俺にできるのか?そんな贅沢が許されるのか?いつも自分は駄目な奴だと思ってきた。一歩踏み出す勇気なんてなかった...本当に、今踏み出せるのか?


「愛において私が理解している限り、二つの『核心概念』しか存在しないのよ。受け入れるか、拒否するか。中途半端なんて、それを体験する者の迷いでしかない。それがオマエの現状よ、アレクス」


言葉に息が詰まった。


自分でどんなに言い聞かせても、まだ迷いと不安を抱え込んでいる。自分にはそんな資格がないと感じているからだ。でも、なぜこんなにも自分を貶めるんだ?


決意したはずなのに、もう迷わないと決めたはずなのに、ルーシーのあの愛の告白を聞いた途端、また疑念が湧いてくる。


「馬鹿だな、俺...」


額に手を当てて、目を閉じた。

次回――ついにその時が訪れる。

長い探索の果て、思いもよらぬ「偶然」がアレクスを導き、物語は再び大きく動き出す。

待ち受けるのは新たな出会いか、それとも試練か。

すべてが変わり始める瞬間を。

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