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霊輝  作者: ガンミ
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深淵の縁で交わす吻

闇の果てで続いてきた戦いが、一つの終点へと辿り着こうとしていた。

長き混迷の源を断つために、仲間たちが重ねてきた力は、ついに運命の歯車を動かす。


しかし、その勝利の先で待っていたのは、

生と死の境界に座す存在――大死神様が見つめる、静かで冷たい深淵。


その領域は、踏み込んだ者の心を照らし、暴き、揺さぶる。

どれほどの覚悟を抱き、どれほどの想いを背負っても、

魂そのものを試される場所。


仲間の痛み、積み重ねてきた絆、奪われた時間。

そして――これから守りたい未来。


すべてを抱えたまま、アレクスは選ぶ。

愛する者たちのために、真実が求める「答え」を差し出すために。


その旅路の傍らで、アンジュの胸奥にもまた、

かすかな温度と揺らぎが生まれ始めていた。

『??? / アレクス』


レイナがピアノを準備し、演奏を始めた。突然、世界が透明な立方体に閉じ込められたように見えた。サップがそこに囚われ、魔法の鎖から逃れようと周りを見回していたが、その立方体の空間はどんどん狭くなっていく。


ついに鎖から解放されたかのように見えた時、素早く刀を使って身を守ろうとした。


「『終解、解剖の蛇――命を刻み、毒で裁け』」


その瞬間、刀からさらに巨大になりながら成長する大蛇が現れた。蛇はレイナのピアノによって作られた空間を破壊しようとした。


サップは何かを成し遂げようと本当に必死になっているように見えた。最期かと思われた瞬間、突然蛇がサップを包み込み、巨大な爆発が続いた。空にある輝き以外は何も見えなかった。


強烈な光が消えた時、全員が目にしたものに驚愕した――


サップはまだそこにいたが、今度は刀が粉々に砕かれ、ひどく傷ついていたにも関わらず、倒れることを拒んでいた。


「あ、あん……まだ……まだ戦える……まだ私には最後の……」


俺は本当にサップの闘志に驚いた。ボロボロになって、戦う刀すらもうないのに、自分の理想のために戦い続けることに執着している。これが称賛すべきことなのか、それとも恐ろしいことなのか分からない。


サップは空に向かって指をかろうじて動かし、腕を上げ続けることができるかどうかも怪しかった。


「……聞け……私がこれを続けられないなら……誰も戻ることはできん……」


突然、奇妙なエネルギーが発生し始め、雷を引き寄せ、この場所の雲が螺旋状になって彼に向かった。まだ奥の手があるのか?


オダは何をしているか知っているようだった。


「この奴、残りわずかな生命力を使って我らを道連れにするつもりぞ」


サップは残りのエネルギーを最後の腕に込めて仮面を身につけ、目から青い炎が全力で放たれた。


「一体何が起きてるんだ?」


「我らレイスドールには自己犠牲の能力がある。仮面は我らの一部であり、存在の本質でござる。言い換えれば、破壊に匹敵する最後の攻撃を放つために命を犠牲にしているのぞ」


心配になった。ノアの盾だけでは十分でないかもしれない。俺が自分の盾を出したとしても、まだ不十分かもしれない。


絶望的に見えた瞬間、フィリアが話した。


「アレクス!良いアイデアがあります。どうか私の言う通りにしてください」


考える時間がなかったので、フィリアの言葉を聞いた。まず盾を出してここにいる全員を守る。ノアの盾と一緒にバリアが全員を覆った。


その時、フィリアが皆の少し前に歩き出て、祈るように手を合わせて跪いた。


「フィリア?何してるんだ?」


でも彼女は答えない。しばらくそのままでいて、突然彼女の前で強烈な金色の光が輝き始めた。


「どうか……私たちをお守りください……」


空から光が現れ、フィリアの上に降り注ぎ、同時に彼女の後ろに何かが現れた。あれは何だ?


「騎士様……すみません、これは従順でないことは分かっていますが……どうか皆をお守りください!」


その騎士のような姿をした金色で透明な現れたものが動き、俺を見た後、前に進み始めた。


そして持っていた剣を槍に変え、雷のように空に投げた。


その瞬間、空全体が昼のように明るくなり、雲が形成され始めた。


その雲は違っていた。


より白く輝いていて、そして聞こえた……トランペットの音が深く周囲に響き渡った。


そして巨大な何かが雲の間から降りてき始めた。


サップは後ろを振り返り、見ているものに恐れをなした。


彼だけでなく、ここにいる全員が、空から降りてくるものを見て麻痺していた。空のその巨大な姿が翼を広げ、トランペットが再び鳴り響いた。


まるで終末を告知するかのように。


あれは何だ?あの存在は何だ?


サップは身動きできず、その存在をただ見つめていた。仮面にひびが入り始め、顔の一部が露わになっていく。そしてその翼を持つ存在が手を動かし始めた瞬間、手を動かした時、サップが作った雲が消えた。


サップは明らかに動揺し恐れていた。距離があっても確信できた。そして最後の試みとして、何かをする前に奇妙な光がこの場所全体を覆った。


フィリアが急いで叫んだ。「身を守って!」


俺とノアは盾を使ってその強力で激しい金色の光に耐えようとした。


この激しい光は大きな破壊を引き起こしていた。


この強烈な光は消えるまで数分かかったように思えた。


ついに全てが暗くなり、空の雲が消え始め、翼を持つ存在が何もせずに光の粒子となって消えていった。


俺とノアは疲労困憊で地面に倒れ、二人とも疲れで息をしていた。何が起こったのか理解できなかった。フィリアがしたことは何だったんだ?


ついにサップは敗北し、もう彼の痕跡はなく、周りには終わった戦いの破壊の跡だけがあった。


立ち上がろうとした時、アンジュがまた消えていることに気づいた。辺りを慌てて見回した。


「アンジュ!」


でもオダが墓地のように見える場所を指して俺を落ち着かせた。そこでアンジュが立って何かを見つめているのが見えた。まるで何かを待っているかのように。


急いで彼女の元へ向かった。他の皆も俺について来た。


アンジュの隣に着くと、彼女はあの場所を見つめていた。


「この巨大な建造物は何だ?」


アンジュが振り返ると、俺を見てから女の子たちを見て、消沈した真剣な声で言った。


「……これは大死神様の廟よ」


改めて分析してみた。大きな茶色の扉がある。木材のように見えるが、実際にはそうじゃない。建造物全体が何かの儀式的なデザインのようで、完全に灰色だった。


「じゃあ、中にその神がいるのか?」


アンジュが頷く。今度は俯いているようで、それが俺を不安にさせた。


「まさか中に入ろうなんて考えてないよな?」


「え?……全然そんなこと……」


「……嘘つくな、まだ入りたがってるじゃないか」


「へへ……そうね……人工霊輝は消滅させなければならないの。大死神様だけがそれを成し遂げることができるのよ。今、彼女たちは再び人工霊輝を持ってるけど、魂だけよ。今この世界にいるから……これが本当に人工霊輝を完全に消滅させる最後の機会かもしれないの」


近づいてアンジュの頭を軽く叩いた。


「痛っ!なんで叩くのよ?」


「みんなの話を聞いただろ?彼女たちにとってはあの記憶を失うことなんて問題じゃない。人工霊輝を消去しなければならないなら、やれ。でも一人じゃない。俺たちがついてる」


アンジュがみんなを見回すのを見て、俺は理解した。本当にみんなが、俺との記憶を犠牲にしても人工霊輝を消滅させたがっているのだと。俺にはもう影響しない。彼女たちが俺に解放された記憶を失うかもしれないが、一緒に新しい記憶があり、それらは消えない。


「アンジュ、一緒に行く!」


「え!?」


「"え"じゃない。一緒に行くって言ったんだ」


アンジュは今度はオダを見た。何か上司の承認を求めているようだった。オダが腕を組んで笑った。


「好きにするがよいぞ」


アンジュは微笑んでいるようだった。大きな扉に近づき、俺の手を取った。


「行きましょう」


アンジュと俺がその扉の前に立つと、アンジュは女の子たちをもう一度最後に見て言った。


「みんな、絶対に霊輝から解放してあげる。そして、オマエたちのアレクスとの記憶が消えないよう全力を尽くすわよ」


扉が開いた。


向こう側に見えたのは、虚空に浮かぶ奇妙な亀裂だった。


アンジュが俺の手を引きながら走り始め、その亀裂を越えると、すべてが竜巻のように周りを回転し始めた。色とりどりの風が止まることなく回転しているようで、その空間に浮いているような、同時に生命がないような感覚だった。


アンジュが俺の手を握りしめ、俺が彼女に近づいた。最終的にこの空間の終わりに到達し、別の次元の亀裂を越え、その瞬間地面に落ちた。


前を見ると、深淵の縁にいるようだった。向こう側の別の端が見える。最も高いところから二つの山を隔てて見ているかのようだった。


その時、暗い雲が空に形成され始めた。

奇妙な音が聞こえ始める。

何の音なのか分からなかった。

アンジュが俺の手を握りしめ、空を見上げた。俺も見上げると、そこに現れたのは巨大な赤い光が目のような形を作っていた……

完全に赤い目。

まるで滝の奥から出てくるかのような。

死神、つまり大死神様の大体のシルエットが見えた。


突然、その存在が話しているようだった。


「○○○○○○○」


しかし理解できず、代わりにその奇妙な音を聞いた時、脳が痛んだ。本能的に手を耳に当てて覆った。


「うあ――!!」


アンジュが心配しているようで、もう片方の耳も手で塞いでくれた。


「アレクス、無理に聞こうとしないで」


「大丈夫だ……俺もその神と話したい……」


一歩前に出たが、アンジュが手を離さないので、二人とも大死神様から目を逸らすことなく前に歩いた。アンジュが最初に話した。


「大死神様、どうか私の嘆願をお聞きください……どうかお願いします……聞いてくださいませ……」


また脳を殴られるような感覚がした。


「うあ――!!」


「アレクス!」


アンジュはより動揺しているようで、再び大死神様に話しかけようとした。


「どうか……大死神様……私の嘆願をお聞きください……どうか私の懇願をお聞きくださいませ……」


脳に鋭い痛みを感じ、頭がひどく痛んだ。膝をついて地面に倒れた。アンジュも俺の隣にいた。突然、血を吐いた。これがアンジュを限界まで心配させた。


「どうか大死神様、彼に何もしないでください……お願いします、私とお話しいただく嘆願をお聞き入れくださいませ……」


その瞬間、俺の頭に言葉が届いた。『それを叶えよう』


混乱した。なぜそれが俺の心に届いたのか?俺を抱きしめながら泣いているアンジュを見た。


「ア、アンジュ……」


「今は話さないで、アレクス……」


「聞いてくれ、アンジュ……よく理解できないが……大死神様が俺の頭に言葉を送っているような気がする……何らかの理由で言葉が心に届くんだ……」


「……な、何ですって……?」


アンジュが大死神様を見上げた。そして――その視線が、今度は俺に向かった。


「……大死神様は、オマエに何とおっしゃったの?」


「……話す機会を与えるって」


アンジュは驚いたようで、大死神様を再び見た。唇が震えて、このような実存的な存在の前で話す言葉を見つけることができなかった。


「……大死神様、お力の一部をお貸しいただき、悪のためだけに作られたある力を排除するお手伝いをいただくために参りました……」


頭が脈打ち、言葉が頭に届いた。『その力とは何だ?』


アンジュの肩に触れて、大死神様が言ったことを伝えた。アンジュは一瞬黙って、それから再び見て言った。


「大死神様、その力を私たちは霊輝と呼んでいます……レイスドールが秘密裏に、そして欺瞞を基にそれら十の霊輝を作りましたが、人工的なものです。人間と共にそれらを使用し、物事の自然な秩序を変えるつもりでした」


再び頭が脈打ち、言葉が心に届いた。

『それを知っている。排除できる。しかし、そのための代価は何だ?』


今度は介入すべきだと感じ、立ち上がろうとした。何か言いたいことがあったが、アンジュは混乱しているようで、俺がその最後の部分を言わなかったからだ。


「アレクス?大死神様は何とおっしゃいました?」


でも今はそれをアンジュに言うのを無視した。俺が言いたいことがあったからだ。


「大死神様……あなたの力が絶対的で、あなたの裁きがすべての存在するものに重くのしかかることを理解しています。俺が言おうとしていることがあなたの力を変えるものではないことは分かっていますが、明確に、そして誠実に話さなければなりません」


アンジュが俺に近づき、めまいでふらつく俺を支え、しっかり立っていられるよう助けてくれた。


「彼女たち一人一人がすでに十分すぎるほど苦しんでいる。

人工霊輝のせいで失い、戦い、自分自身を再構築しなければならなかった。

そして彼女たちはそれをやり遂げた……

自分なりに、自分の力と意志で。

代価を払うために再び彼女たちを取るということは、その痛みを再び生きることを強要することになる。それは許せない」


もう一歩前に出ようとした。アンジュが止めようとして、これ以上近づかないよう警告しているようだったが、俺は一つのことを証明したかった……


「俺も理解している……

たとえそれが最も大切な記憶を失うことを意味しても、彼女たちを守るためならやるだろう。

なぜなら彼女たちは生きて幸せになる資格があるからだ。

すでによく知っている苦痛から解放されて。

これは人間の気まぐれじゃない。

これは彼女たちが前に進み、再び生き、努力して得たものを愛する権利なんだ」


視線を上げ、目が空にある二つの光、目に似た光に固定された。


「もし代価が不当で、彼女たちを再び痛みに服従させるなら、あなたの力がどんなに大きくても……

受け入れることはできない。

正義は力だけで測られるものじゃない―苦しむ可能性のある者たちに何をするかで測られる。

そして彼女たちはすでに十分に代価を払った」


息をするのが困難だったが、見続けた。少なくとも彼女たちに対する俺の気持ちを聞いてほしかった。


「この挑戦に立ち向かわせてください。

たとえ一人の人間でも、彼女たちを再び犠牲にすることなく愛するものを守れることを証明させてください。

俺の力は俺だけのものじゃない……

未来のために戦い、生きる価値のある未来のために戦い続けるすべての者たちの力なんです」


俺は彼女たちを守る価値があること、俺の嘆願が個人的で利他的な動機であることを証明したかった。

大死神様が表す至高の力の前で、道徳と正義だけが俺を動かすものだということを証明したかった。

彼女たちが自由になれるならその神に立ち向かうことも厭わないということを証明したかった。

利己的に聞こえるかもしれないが、これは個人的な約束だった……


大死神様は何もしなかった。言葉ももう現れなかった。その時、頭の痛みが突然消え、雷のような閃光を伴うが音のない光線が空に現れ、あらゆる場所に声が響いた。大死神様が話していた……


大死神様の声が聞こえていたが、まだ理解できなかった。でもその声が止んだ時、言葉が頭の中で整理されて、何を言っていたのかがわかった――


『その機会を与えよう。だが代わりに、本当に彼女たち全員を幸せにできることを証明しろ。それが払うべき代償だ』


その瞬間、上空に光が現れた。


突然、大死神様の足元に何百もの人影が現れる。皆何かの布で顔を覆っていて、全身黒い服を着ている。


みんな深淵の縁にいて、向こう側で突然ひざまずいて、祈っているように見えた。


雷のような閃光だが白い色が雲に現れ、大死神様の巨大な影が消え始めた。


本当にこれで終わりなのか?本当に彼女たちは人工霊輝から解放されるのか?


突然、眩しい閃光が全てを照らし、次元の裂け目が前に現れた。まるで皆のところへ帰る時だと告げているようだった。


アンジュが手を取って次元の裂け目を渡ろうとしたが、動かなかった。


「どうしたのよアレクス?行かなきゃならないでしょ」


「これが一番いいタイミングじゃないのはわかってるけど、まだお前に言いに来たことを話してない」


「それ、私たちが帰った後じゃダメなの?」


「だめだ……今言いたいんだ。そうじゃないと忘れちゃうかもしれない」


「冗談やめてよ、行かなきゃならないでしょ」


「アンジュ、すぐ終わるから少しだけ聞いてくれ」


アンジュが俺の前に立って、そんなに言いたがっていることに注意を向けてくれた。


その金色の瞳を見ると、猫の目のようにも思えた。


アンジュの瞳は輝く美しい宝石のように綺麗で、その美しさを表現する言葉がない。


そしてその長くて黒い、とても滑らかな髪に触れたくなる。


「何よアレクス?」


「アンジュ、ここに来た理由がある。お前が犠牲になるのを止めたかっただけじゃない……もっと強い理由があったんだ」


「……それってどんな理由よ?」


「俺は……俺は……」


こうして目の前にいて、彼女がこちらを見つめて、その金色の瞳が俺を観察している。彼女が俺の世界に属さない存在だってわかってるけど、それでも感じていることは変わらない。彼女にも一緒にいてほしいんだ。


「もう言いなさいよ。大死神様を怒らせるかもしれないでしょ――」


その瞬間、アンジュの文句は俺のキスで封じられた。冷たい唇だったけど、触れることである種の温かさも感じられた。これが感じていること、これが彼女とも欲しいものなんだ。


どうして彼女に恋をしてしまったんだろう?


誰にとっても馬鹿げて見える質問だろう。人間と霊的存在。脆い命と不滅の魂。決して交わるべきではない二つの世界……それなのに、交わってしまった。


アンジュはいつも人間の感情を完全には理解できないと言う。


複雑すぎて、矛盾しすぎて、背負うには重すぎるって。


でも俺にはわかる……彼女は感じているんだ。


彼女の仕草に、誰も見ていないと思っている時の俺たちを見る目に、誰かを失うことを恐れる時のかすかに震える声に、それが見えるんだ。


ただ、その感情に名前をつけることができない、どう扱えばいいかわからないだけなんだ……まるで永遠の間他人の感情を支えて、自分の感情は一度も持ったことがないみたいに。


冷たくなんてない。決してそんなことはなかった。


アンジュは温かい。

静寂の中で、かすかに見える微笑みで、自分がボロボロでも助けの手を差し伸べる時の温かさがある。

彼女はいつも自分を犠牲にする……いつも全てを背負って、誰かを救えるなら自分が消えてしまってもかまわないみたいに。


それが彼女の本質なんだ。

もう与えるものがなくても、与え続ける。


そしてそれが最初から俺を捉えたものかもしれない。


アンジュは魂が数えられ、導かれ、解放される世界に属している……

無限の循環、終わりと始まり、鎖と別れの世界。


それでもそんな暗い世界の中で、彼女は輝いている。まるで死でさえも、それを和らげ、恐ろしくなくしてくれる優しい声を必要としているみたいに。


そう……今わかった。


死でさえも温かくなれることをアンジュが教えてくれたから、恋をしたんだ。境界線の向こう側に生まれた存在でも、手を差し伸べて俺をもっと生きていると感じさせてくれることを。


アンジュは霊的存在だってかまわない。人間の感情を完全に理解できなくても、それでもいい。……俺は彼女を愛してるから。


アンジュの心に秘めているものの十分すぎる証拠をもう見たから。そしてアンジュが言葉で言えなくても、感じることができる。


共有した全ての瞬間に感じた。消えてしまう可能性があるとわかっていても俺を守ってくれた時、一つの視線で力を与えてくれた時、何も求めずに俺のそばにいてくれた時。


そしてこのキスで今まで以上に感じた……


優しいキスだったけど、俺には理解できない永遠に満ちていた。その瞬間、これが単純な唇の接触じゃないってわかった。言葉で表現できない全て、理解することを否定していても、そこにある全てを俺に伝える彼女の方法だった。


違う世界に属する存在だってかまわない。彼女の運命が死に、魂に、俺には完全に理解できない循環に結びついていてもかまわない。


アンジュを愛している。

息をするのと同じ自然さでアンジュに恋をしてしまった。

理由なんて必要ない。

彼女がこれを何と呼ぶか理解してくれる必要もない。


必要なのは彼女と一緒にいること、彼女が俺を守ってくれたように彼女を守ること、そして全世界が不可能だと言っても一緒に歩き続けることだけ。


もし死に顔があるなら……俺にとってその顔は彼女だ。それでも恐れる代わりに、微笑む。彼女の瞳の中では、死でさえも家のように感じるから。


アンジュは何も言わなかった。でもアンジュの体がとても熱くなっているのを感じることができた。以前感じたように、彼女の体が物理的接触に反応していて、初めて彼女が赤面するのを見た。顔が真っ赤だった。


今度は俺が彼女の手を取って、みんなのところへ帰るためその次元の裂け目に一緒に走った……。

次に紡がれるのは、長き旅路の終着点――

そして、すべての「はじまり」となる物語。


大死神様によって人工霊輝は完全に断ち切られ、

失われるはずだった記憶も、誰ひとり奪われることなく守られる。

残るのはただ「未来を選ぶ自由」と「歩むべき道」。


アレクスはついに、胸に秘めていた想いを

十二人の少女たち一人ひとりへと、正面から伝えることになります。

それは試練ではなく、約束でもなく、

「幸せにすると誓った男の、答え」そのもの。


そして時は流れ――

仲間たちがそれぞれの人生を歩み、

夢を形にし、再びひとつの家族として集う先で、

彼らが迎えるのは この旅の象徴ともいえる「門出」。


物語は静かに、しかし確かに幕を閉じ。


次回――

最終話。

長く続いた旅路が、永遠へと繋がります。

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