悪夢の果て
仲間が再び一つになり、アンジュ救出への道が開かれた――
だが「悪夢」はまだ終わらない。
ナイトメアによって歪められた世界、試される心、そして迫りくる“恐怖”の本質。
明かされるのは、闇が映し出す最も残酷な現実。
救いの一歩手前で、さらに深い試練へと踏み込んでいく。
『??? / アレクス』
目が覚めた。教室にいるが、誰もいない。周りを見回して窓から外を見ると、放課後の時間のようだった。すべてが奇妙だ。とても不自然な静寂が辺りを包んでいる。何が起こっているのかよく分からない。つい先ほどまで戦っていたはず……そうだったよな?それにルーシーはどこだ?ここが教室なら、なぜ彼女はここにいないんだ?
外に出て廊下を見回すが、生徒や先生の姿は見当たらない。歩きながら何が起こっているのか考えていると、下の階に降りた時、下駄箱の間に立っているルーシーが見えた。俺を待っているようだった。
話しかけに向かった。
しかし、誰かがルーシーに近づいているのを見て、足を止めた。あの男は誰だ?見たことがない。誰なのか分からない。その光景を見て体が硬直した。そこまで走って行き、パニックになって声を上げた。
「ルーシー、何が起こってるんだ?この男は誰だ?」
彼女は困惑し、怖がっているようだった。
「えっ?あなた誰?」
完全に頭が真っ白になり、今聞いたことを処理できなかった。
「俺だよ、アレクスだ!覚えてないのか?」
彼女はさらに怖がっているようで、その男の後ろに隠れた。男は怒っているようだった。
「おい、何してるんだ。ルーシーから離れろ!」
その男を完全に無視して、ルーシーに話しかけようと近づいた。
「おい!ルーシー、話そう。この男と一緒にいる必要はないだろ」
しかし、その男が邪魔をして俺を押した。これで完全に頭にきた。
「おい……誰のつもりで俺を押すんだ」
ルーシーがその男の手を握って止めるのを見た時、胃がひっくり返った。何が起こっている?これはどういう意味だ?ルーシーの表情を見ると、彼女の目が俺を見つめている……今まで見たことのないような目で……見知らぬ人を見るような、俺にとって何でもない人を見るような目で。
そんな目で俺を見るのをやめてくれ……そんな目で俺を見ないでくれ……頼む……
他の子たちを探しに走った。何かが起こっている。よく理解できないが、今は他の子たちを探さなければならない。もしかするとルーシーだけに影響していることかもしれない。まずは一番近くにいる子から行こう。それはアナだ。
止まることなく走って、アナの家に着いた。インターホンを押すと彼女が出てきた。普通に見えたが……
「何かお手伝いできることはありますか?」
「何を言ってるんだ?俺だよ、アレクスだ」
彼女は困惑しているようで言った。
「申し訳ございませんが、そのお名前の方は存じ上げませんわ」
「冗談はやめろよ、アナ。ルビーやスズと住んでるだろ?もしかすると彼女たちなら俺を覚えてるかもしれない!」
彼女は怖がっているようで、ドアを閉め始めた。
「申し訳ございませんが、あなたを存じ上げませんの。私に用事がないのでしたら……」
「待ってくれ!ドアを閉めるな!アナ!」
彼女は止まって俺を見つめた。彼女の表情を見て、彼女の目を見た時、彼女も俺を見知らぬ人のように見ていた。
くそ!
絶望的になって、フィリアを探しに行った。この時間なら彼女のアルバイト先にいるかもしれない。テーマカフェに着いて、絶望的に入って注目を集めた。
「フィリアはどこだ!」
何人かが俺を落ち着かせようと近づいてきたが、フィリアはここにいなかった。走って出て、地下鉄の駅を見た。もしかするとあの漫画喫茶にメリッサがいるかもしれないと思った。
道のりを経て、絶望的に入って彼女がいつも座る場所を見に行ったが、見たものに足が止まった。彼女は誰かと楽しそうに話していた。近づくことさえできなかった。彼女を見て、手が震えた。
この糞みたいな状況は何なんだ?何が起こっている?
人目を気にせずに走って出て、飛行能力を使って目的もなく街を飛び始めた。何が起こっているのか理解できなかった。霊輝の副作用か?なぜこんなことが起こっている?何も理解できなかった。
他の子を探しに行った。もしかするとレイナの屋敷に。そこに着いて窓から入った。場所は信じられないほど静かだった。
「レイナ!聞こえるか!」
しかし誰も答えない。誰もいない。力が抜けるのを感じた。その時ドアが開いて、そこに彼女がいた。
「レイナ!」
近づこうとしたが、その瞬間彼女が俺を床に押し倒し、上に跨って座った。
「おい、レイナ、何だよ!?」
彼女は何も言わず、手にあの奇妙な拳銃を持っていた。
「おい、レイナ、なぜそれを持ってるんだ?」
彼女は答えず、武器を俺の首に近づけた。
「おい、レイナ!答えろ!」
その時カチッという音が聞こえ、すべてがぐるぐる回った。とてもめまいがして、ただ暗闇だけが見えた―――― 。
その暗闇の中で、落ちているのを感じた。落下している。目を開けると落ちていた。風がとても強く顔に当たっている。飛行能力を使おうとしたが機能しない。街の上を落ちているのが見えるだけだった。
その時、隣にスーツの男が一緒に落ちていた。満面の笑みを浮かべて、何も気にしないかのように落ちていた。何が起こっているというんだ?地面が数秒で来て、暗闇だけが見えた――――
突然また目を開けた。巨大な横断歩道のある通りの真ん中にいた。人々が何事もないかのように俺の横を通り過ぎていた。すべてが普通に見えた。そこに止まって、腕を上げて空を指している男がいた。誰も彼に注意を払っていないようだった。
その時、その男が笑い始めるのが聞こえた。なぜか、それが聞こえる唯一の音だった。その不気味な笑い声。そして突然、俺の前に現れた。満面の笑みで俺を見て、俺は足の力が抜けるのを感じ、再び地面に倒れて再び暗闇を見た。
再び目を開けると水の下にいた。一種の窒息感を感じることができた。水面に向かって泳ごうとしたが、体がとても重く感じた。突然、水の中に立っている女性を見た。浮かんでいるのでも泳いでいるのでもなく、水の底にそこに立っていた。満面の笑みを浮かべて、口から泡が出ていた。何を話しているのか、それとも笑っているのか。俺はただ疲れを感じて目を閉じた。
突然再び目を開けると、ビルの上にいて、俺をじっと見つめている女の子が前にいた。満面の笑みを浮かべていた。この子が突然ビルから身を投げた。俺は助けに走ったが何もできなかった。しかしその瞬間、誰かが俺を押して俺も落ちた。再び暗闇を見たが、再び目を開けた。
今度は街の真ん中にいたが、すべてが廃墟になっていた。すべてが破壊されていた。しかしその瞬間、周りのすべての人々が俺を満面の笑みで振り向いて見た。俺は閉じ込められていると感じた。
これは何だ?これは何なんだ?
脳が爆発しそうに感じた。その瞬間、遠くで爆発。空に花のような雲を残した大きな爆発が大きな地震を引き起こした。同時にスマホのような画面を頭に持つスーツ姿の人々が現れ始めた。みんなパレードをしているようで俺を引きずっていた。動くことができない。
続いて大きな津波が遠くから来て、周りのすべてを浸水させた。俺は水面に出て、この水に引きずられた。空には、エイリアン映画のような奇妙な船が現れた。そこに静止して何もしない。俺は柱にしがみついた。その同じ柱が実際には階段で、俺は駆け上がった。その瞬間すべてが暗闇になった。
その後、空に満面の笑みを浮かべるだけの巨大な顔が現れるのを見た。その後、周りに彼女たちすべてが現れた。彼女たちがそこにいて俺を囲んでいたが、動かない、何もしない、何も起こっていない。
突然、彼女たちの服が落ちた。彼女たちすべてが繊細な肌を見せていた。彼女たちはしかし動かずにいた。彼女たちの視線は単に感情も意識もない人形のようだった。俺は何も理解できなかった。何も処理できなかった。頭がくらくらして、呼吸が荒くなり、汗をかいているのを感じた。
何が起こっている?ここはどこだ?
突然ルーシーが近づいてきて言った。
「ごめんなさいアレクス、でも実際にはあなたは私にとって何の意味もなかったの」
続いてアナが近づいて言った。
「あなたはただ手伝うために通りかかった人でしょう?」
みんなが同時にそのようなことを言い始めた。俺はこれ以上聞きたくなかった。彼女たち……彼女たちは俺の子たちじゃない。彼女たちは俺が知っている子たちじゃない。彼女たち一人一人が唯一無二だ。そんなことは絶対に言わない。
これは嘘だ!これは……夢だ!!
ルーシーが俺の耳に近づいて言った。
「違うわ。これが現実よ。受け入れなさい。あなたは負けたのよ」
その偽のルーシーを押し退けて叫んだ。
「お前らは俺の彼女たちじゃない!」
誰も反応しない。世界が止まったようだった。再び叫んだ。
「彼女たちを守るために必要なことは何でもする。これが現実じゃない。お前らは俺が愛している彼女たちじゃない」
結局、それが俺の気持ちだ。彼女たち一人一人を愛している。
この世界、この場所が現実だとは受け入れられない。
何かが混乱している。しかしこれらの偽の子たちを見て、これが夢ではないことに気づいた……これは悪夢だ!
「どこにいるんだ?ルーシー!出てこい!」
周りを見回して遠くから声を聞いた。「アナ!待ってるぞ!」
周りを見て遠くから声を聞いた。「ライラ、恋しいよ!」
世界が震え始めた。「ひかり、また、お前とバカみたいに笑いたい!」
空が開き始めるようだった。「メリッサ、お前とゲームしたい!」
世界が重力を失い始め、すべてが俺を含めて空中に浮き始めた。
「フィリア、抱きしめてほしい!」
空に奇妙な光が現れ、その光がこの世界のすべてを俺を含めて吸収しているようだった。「ルビー、お前のように強くなりたい!」
世界が壊れ始めた。「スズ、お前と一緒に学びたい!」
世界がクリスタルのように砕けるようだった。
「ノア!いつか一緒に旅行して、風景を楽しみながら時間を過ごせるだろう」
この世界の亀裂が深く割れ始め、すべてが砕け始めた。
「レイナ、俺がお前を救うから、治ったら一緒にまたピアノを聞けるだろう、みんなで」
エミリーの声が聞こえた――そして、世界が崩壊し、突然、あまりにも高く、はっきりと多くの声が押し寄せた。
「アレクス!!!」
目を開けると周りを見回した。床に倒れていて、彼女たちすべてが心配そうに俺を見ていた。
「何が起こったんだ?」
しかし誰かがその質問に答える代わりに、みんなが一度に俺を抱きしめに来た。みんなが同時に話していて、何が起こったのか理解できなかった。突然、記憶が整理されたようだった。何をしていたのか、何が起こったのかを思い出した。
立ち上がって遠くを見ると、セレステがナイトメアと戦っているのが見えた。思い出した……あの野郎が何かしやがって、確実に俺を眠りに誘導して、あのシュールな悪夢に閉じ込めやがった。でも間違いなく、俺が前に進む動機は……みんなだ。
他にも誰かいることに気づいた。思い出した。
「おい、お前は……」
「そうだ、我はオダだ!」
突然オダが俺の背中を強く叩いた。
「会話は後にするぞ。今お前が目覚めたからには、我の戦う番でござる」
オダが一歩前に出て叫んだ。
「セレステ!下がれ、我の番ぞ」
セレステが大きく跳躍してナイトメアから離れた。オダが刀を抜き、もう一方の手に拳銃が現れた。
「我がお前を終わらせてやろう、ナイトメア」
「調子に乗るな。我の相手はあのニンゲンぞ。邪魔をするな」
ナイトメアがオダのいる場所まで走ってきたが、オダの前に立った瞬間、刀の一閃でその腕を切り落とした。それでもナイトメアは止まらず、鎖を使ってオダの刀を動けないよう固定した。しかしオダは笑みを浮かべ、銃を構えて躊躇なく発砲し、鎖を破壊した。これによりナイトメアは距離を取った。
「では選択肢はないようでござるな」
ナイトメアが手を仮面に持っていき、それを外した。仮面の下に現れたのは顔ではなく、浮遊する一つの目と傷跡のようなものだった。
「『開け、夢痕』」
奇妙な闇が彼の周りに形成され、今度は新しい体を持っていた。より大きく、獣と人間の融合のようだった。
「オダ、助けが必要か?」
しかし彼は笑っていた。戦うことに興奮しているようだった。
「いや、皆下がるがよい。我が全力を使う時でござる」
この戦いを手伝いたかったが、オダは本当に強そうだった。彼がナイトメアを倒すなら、任せた方がいいだろう。
オダが刀を地面に突き刺し、足を柄に置きながら言った。
「『終解、我が刃にて万の命を葬り、紅蓮の炎で世界を支配せん、血の誓いをもって、今こそ我が剣に降臨せよ』」
突然すべてが奇怪になり始めた。地面が震え、空に赤い雲が形成された。ナイトメアは気にせずオダを攻撃したが、その瞬間巨大な骸骨の手がその攻撃を阻止した。地面から刀を持った骸骨の体が現れ始め、赤い雲の空から巨大な骸骨が現れているようだった。
すべてが恐ろしく見えたが、ナイトメアは気にしていないようだった。オダが笑いながら言った。
「戦争に行く者の最悪の悪夢が何か知っているか?」
ナイトメアは答えず、ただ見つめていた。
「お前の名前は人間が恐れるものを連想させるでござるな」
「くだらぬことを」
「人間は自分の恐怖を恐れる。そしてお前はその記憶に隠された恐怖のようなものでござろう」
「……戯言はやめろ」
「お前は悪夢ではない」
「黙れ!」
「お前は単なる...夢でござる」
「黙れ!」
ナイトメアが全速力で走り、今や爪のようになった手でオダを攻撃したが、多くの頭蓋骨が彼の前に現れて攻撃を阻止した。続いてオダが再び刀を取り、今度は笑みが消えてより真剣な表情になった。
「よく聞け。二度は言わぬぞ」
ゆっくりとナイトメアに歩きながら、骸骨たちが彼を動けないよう抑えている中、オダが言った。
「お前は恐怖を非常に歪んだ夢の形で見せるだけでござる。しかし一度目覚めれば、誰でも安堵を感じ、お前が作ったものにどう立ち向かうかを知る。だが人間の真の恐怖が何か知っているか?」
ナイトメアは答えず、ただオダを攻撃しようと逃れようとしていた。
「おやおや、我の話を聞いてもいないでござるな...まあよい」
オダがナイトメアの肩の近くで刀を少し動かしただけで、突然奇怪な深紅の力がすべてを破壊した。ナイトメアはほぼ真っ二つに裂かれ、もう動けずに地面に倒れた。周囲のすべてが正常に戻りながら、オダが刀を鞘に収めた。
「こやつはもう問題にならぬでござろう。手遅れになる前に行くがよい」
オダは彼をそこに放置し、道を続けた。
目覚めてからの出来事をまだよく理解できずにいたが、セレステが俺に近づいてきて、歩きながら何が起こったかを説明してくれた。
要するに、あの悪夢に閉じ込められて眠っていた間に起こったのは、俺が地面に倒れ、みんなが俺を起こそうとしている間、セレステがナイトメアと戦っていたということだった。一方オダは俺とみんなの近くにいて、俺が目覚めるまで守っていてくれた。みんながそばにいるという単純な事実で俺を起こすことができたが、それでも俺自身が目覚める力に依存していた。でもセレステにとってそれは実際問題ではなかった。彼女は俺が目覚めると確信していたからだ。セレステにとって、俺は強いからだ。
それを聞いて疑問に思った。まだ弱いままで、ここにいても今また救われたのに。
強いということは、たぶん俺にとって唯一強くなければならないという意味ではない。もし自分の強さと言えるものがあるとすれば、それはみんなから来る強さだ。だから俺は強いんだ。
歩き続けながら、ふと気がついた。
「おい、セレステ、隊長は?」
「サップ隊長のことなら、ここにはいないわ」
「……?」
少し先を歩いていたオダが俺たちの会話を聞いていたらしく、振り返って言った。
「サップ隊長は我らが到着した瞬間に去ったのでござる。あの者は人工霊輝を見つけることにしか興味がないのでござるよ」
そう言われて考えてみると、確かにあいつは本当にそれだけしか気にしてないようだった。でも、この遠征はアンジュを助けるためじゃなかったのか?
突然、セレステが俺に向かって言った。
「アレクス、この全てに何か変なことがあるの」
「何の話だ?」
「サップ隊長はアンジュを探しに行くとは思えない。あいつは人工霊輝が欲しいだけ。……つまり、サップ隊長は何かを隠してるってことよ」
「その『何か』はアンジュと関係があると思うか?」
「……わからない。でも急がないと、真相を突き止められない」
この奇妙な謎に包まれながら考えていると、突然オダが止まり、俺たちも全員止まった。何も言わずに、遠くの何かを見つめている。オダの隣に近づいて、驚いた。見ているものに。
「到着したでござる。ここが世界の果てでござるぞ」
目の前の光景に驚いた。この場所は暗闇に沈んでいるようだった。地面は砂浜のような砂のままだが、完全に黒かった。小さな丘が少し先にあり、奇妙な灰色の雲が見えた。小さな川が道を遮っていたが、そんなに深くなさそうだった。
慎重に周りを見回しながら前進した。すべてが暗闇に見えたが、この場所にはある程度の視界があった。歩けば歩くほど、恐怖が俺を追いかけ、心に入り込もうとしているような気がした。他の奴らも明らかに怯えていた。普段恐れ知らずのひかりやルビーでさえも。メリッサは足が震えていて、もう歩けないようだった。
「この場所は人間の魂でしかないお主らには大きく影響するかもしれんのう」
何となく意味がわかった。この場所は俺にとってもかなり緊張させる。まるでこの場所が一番深い恐怖を引き出すかのようだ。ただし、オダもセレステも何ともないようだった。
オダが再び止まり、全員に止まるよう合図した。前を見ると、小さな丘の上に、影のように見えるものがたくさんあった。よく見ると、そこには多くの人がいた。百人?数百人かもしれない。その丘の上にはたくさんの人がいたが、奇妙な姿勢をとっていた。皆、腕と脚を地面につけて、地面の何かを見ている。地面で何かを探している?本当にはわからない。
「あれは何だ?」
オダは真剣な表情で、上の人影から視線を逸らさず。
「簡潔に説明するために一言で言えば……人間の魂でござる」
それを聞いた瞬間、奇妙な感覚が俺の中に流れた。寒気、恐怖、他に何を感じればいいんだ?
その丘の下、すべてのあの人たちが見下ろしている場所に、墓地のようなものがあった。少なくともそう見えた。墓があったからだ。そして気づいた。すべてのこれらの墓の奥に巨大な霊廟があり、そこに倒れているのが――――アンジュだった!
彼女を見つけた瞬間、助けるために走り出した。
「アンジュ!持ちこたえろ!」
後ろから他の奴らが追いかけてくるのが聞こえた。地面に膝をついてアンジュの状態を確認した。彼女を動かして様子を見る。眠っている?よくわからないので、少し揺すった。
「アンジュ!起きろ!アンジュ!」
でも反応しない。
「アンジュ!」
セレステが到着して素早く彼女を調べ、アンジュの額に指を置いた。
「……大丈夫そうだけど」
「どうしたんだ?」
「誰かが彼女に霊唱を使ったのよ」
「れい……何?」
「ちょっと地面に寝かせて。私に任せて」
アンジュを地面に横たえると、セレステが刀を抜いて言った。
「『霊唱、醒華』」
突然、セレステの刀が先端から花のようなものを作り出し、それがゆっくりとアンジュの額に落ちた。それが彼女に触れて消えた瞬間、アンジュが急に目を覚ました。目覚めた瞬間、彼女の声さえも震えているのが聞こえた。
「……何が……起こったの?」
とても混乱しているようだったが、今の俺には彼女が無事だということが何より安心だった。だから彼女を抱きしめた。
「ア、アレクス?」
本当に混乱しているようだったが、俺は彼女をこの抱擁から離さなかった。どんな理由があろうと関係ない。ただアンジュが今無事だということが重要だった。
次の章では、ついにアンジュの「心」が物語の中心に立つ。
罪悪感と孤独を抱え、誰にも頼れないまま前に進もうとする彼女。
だが、ルーシーたち全員が一人ずつ、彼女の手を掴むために立ち上がる。
――そして、静かに積み上げられてきた運命の歯車が狂い始める。
トウセイの介入。
アレクスの新たな力。
そして――“裏切り”。
物語は大きく揺れ動く。
仲間の絆が、試される。
次回、赦しと裏切りが交差する、最大の転換点へ――。




