ローファン「旦那ちゃんと嫁ちゃんの幕末維新秘史伝」
思った以上に・・・。
幕末の動乱の時代、己の大義を通す為、血と血を争う混沌とした時代、2つの魂が現世よりタイムスリップをし、とある隠密の者たちに乗り移った。
物語はこれよりはじまる。
師匠は言う。
「すべての動乱、災いの元凶は鬼にある・・・人間の心に巣くう醜い感情が極限に達し鬼と化したのだ。駆逐するのだ。段奈茶四郎、夜芽千代」
「はっ!」
2人は同時に声を発すると闇へ消えた。
茶四郎と千代は身なりを変え、行商人へと成りすまし旅籠へ逗留した。
彼は懐から紙をとりだす。
そこには鬼と化した者達の名前が書きしたためてあった。
「次はこいつね」
千代は赤字線を引かれた隣を指さす。
「ああ、鬼瓦鬼十郎」
茶四郎は頷いた。
そして・・・満月の輝く夜のこと。
「来たか、闇に生きる者どもよ」
鬼十郎はくるりと振り返る。
木陰に身を隠す2人は、頷き姿を現した。
「鬼瓦鬼十郎だな」
茶四郎は言った。
「いかにも」
鬼十郎の口元が歪む。
「鬼は駆逐する」
千代はクナイを構えた。
「お前たちにできるかな」
「できるっ!」
「やれる」
「いんや、無理だね」
「そんなことはない」
「んなーことはない」
「鬼に勝てる道理が無い」
「果たしてそれはどうかな?」
「そうだ、そうだ」
「ふふふ、へらず口を叩くな」
「お前こそ」
「お前もな」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
ちょっとした子供じみた言い合いのあと、3つの影が交錯する。
刹那。
「ば、馬鹿なっ!この俺が・・・鬼が・・・」
その間、およそ1秒・・・。
それでは解説しよう。
まず茶四郎が、まさかの早脱ぎで真っ裸となりて、すべてをさらけ出す。
マジでと一瞬、怯んだ鬼十郎に、千代のクナイが炸裂したのだった。
静かに崩れ落ちる鬼十郎。
ふたりは頷き、満月を背にサムアップをする。
「俺たちの戦いはこれからだっ!」
失敗した(笑)。