異世界恋愛「伯爵令嬢チャンヨメVS第三皇子ダンナーチャン」
裸族・・・。
煌めく舞踏会のフィナーレを飾るワルツの前に、令嬢のチャンヨメは高らかに宣言した。
「ああ、もう、こちらからダンナーチャンとの婚約は破棄ですわ。願いさげですわっ!」
突然の宣言に会場はざわめき、着飾った人々は好奇の目で2人の一部始終を見ようと成り行きを傍観している。
「何故だ。チャンヨメ、私たちは親(相談所)が決めた婚約なれど愛し合っていたはずだ」
ダンナーチャンは大仰に両手を広げ彼女を諭そうとする。
「かりそめのね」
チャンヨメも負けじと、胸に手をあてオーバーリアクションをとる。
「馬鹿な・・・そんなバナナ」
「そゆとこ嫌い」
「何がだ」
「つまんない。おやじギャグで誤魔化すところ」
「だってしようがないじゃないか」
「ほらまた」
「すまない」
「分かったら、婚約破棄しましょう」
「まて、まて、まてぃ~。せめて私と離れる理由を聞かせてくれ」
「それは・・・」
「まて、まて、今、自分で考えるから」
「あ、そう」
「性格?まさか・・・顔っ、顔なのか自称しょうゆ顔のイケメン・・・」
「ブッブー、顔じゃありません・・・たぶん」
「多分ってなんだよ」
「気づかないの」
「なにが?」
「だから、そゆとこ」
「じゃ、教えてよ」
「ええ、教えるわよっ!あなたスッポンポンのまま舞踏会に来やがって!皆ドン引きよ!」
「すまない、これはあえてだ!あえて言おう裸族たる者の宿命だと」
「・・・ダンナーチャン、あなたって人は」
「・・・チャンヨメ分かってくれたかい」
「うーん、どうだろう」
「服を着たら、破棄はナシってことで」
「しょうがないなー」
こうして自称裸族の第三皇子ダンナーチャンと伯爵令嬢チャンヨメは、ドタバタしながらも、それなりに暮らしましたとさ。
それは宿命。