第61話 JDC大会、公式生放送
第8回 JDC大会 ~探索者ランキング戦~【公式】
米山「さあ始まりました、第8回Japan Dungeon Cup(ジャパン ダンジョン カップ)。ダンジョンや探索者の事が分かる、政府が主導する大規模な大会のお時間です。今回も司会を務める米山大地です。よろしくお願いします。そして解説はこの方!」
神宮「皆さんこんばんは、専属職員の神宮恵です。前回に引き続き、今回もよろしくお願いします」
米山「神宮さん、今回もよろしくお願いします」
神宮「こちらこそよろしくお願いします」
米山「早速ですが神宮さん、今回のJDCはこれまでの中で一番の盛り上がりを見せていますね」
神宮「そうですね。多くの人に興味を持っていただいているみたいで、嬉しい限りです。もちろんこれまでの大会も面白かったのですが、今回は探索者さん達の本気が窺い知れるような、そんな大会になったかなと」
米山「私なんてランキングを見るのが日課になってしまいましたよ」
神宮「米山さんもすっかり、探索者ファンですね。ありがとうございます」
米山「知れば知る程奥が深くて、のめり込んでいってしまうんですよね。……さて、それではここで今回のJDC大会の概要を見ていきましょう」
米山「テロップ……出ましたね。今回のJDC大会は完全個人のランキング戦となっています。参加方法はとても簡単で、公式ページから探索者証を認証するだけです。参加後はダンジョンに入り、モンスターを倒すことでポイントを獲得します。このポイントに応じて順位が決まるという事ですね」
米山「ポイントの詳細については表示されているテロップを参考にしてください……神宮さん、今回のポイント制度、どうですかね?」
神宮「そうですね。こちらは今回限定のポイント制度ですが、良い具合に探索者の実力を反映できているかなと思われます。もちろん現段階で実力のある探索者が上位に来るのは間違いないですが、格上の相手を倒した場合にボーナスが入るというルールのお陰で、将来性がある探索者にも注目できますからね」
米山「これから要注目の探索者が発掘できるという事ですね。そうですね……それ以外ですと、個人的にはパーティの人数である程度分配されて、個人の実力が測れるというのが良いと感じました」
神宮「同じモンスターを倒すにしても、3人のパーティと5人のパーティで倒すのは難易度が違います。この場合は3人のパーティの探索者の方が評価されるべきです。正確に分配するのは難しいですが、ある程度は形に出来たかなと思いますね」
米山「いやー、良いルールでした。……えぇー皆さん、今回のランキングはあくまでもJDCにおいての順位であって、探索者達の実力のランキングではないことはご注意ください」
米山「今回のJDCについては本日の0時が期限となっています。この放送は18時~21時までを予定していますので最後まではお付き合いできませんが、もしよろしければ政府の公式HPで0時までランキングをぜひとも追ってみてください」
神宮「よろしくお願いします」
米山「さて、それでは皆さんお待ちかねの現時点でのランキングを見ていきましょう。まずはTOP100から一気に30まで一覧でお願いします!」
米山「……表示されましたね。ちょっと文字が小さいのですが、個人のお名前とパーティ名、そしてポイントが記載されています」
神宮「現在表示されている方たちも日本屈指の探索者達です。これまで名前を聞いたことがある人も多いかもしれませんね」
米山「神宮さん、注目すべき探索者は居ますか?」
神宮「そうですね。名前の横にマークがついているのは配信をしてくれている探索者さんですので、入りやすいかもしれません」
米山「風見さんや真野さんですね。上位の探索者で配信をしている方と言うのはそこまで多くはないので、こういった人たちは見やすいですね」
神宮「上位の探索者さんで普段の探索を配信で映す人は少ないですね。ですが、近藤さんのように雑談形式で配信したり、伊集院さんのように初心者さん用の講習動画を出している探索者さんも居るんですよ。それにブログやSNSで情報を発信している方も多いですね」
米山「なるほど。例えばダンジョンの情報を調べているうちに、情報を提示してくれる探索者さんがこのランキングに居る、ということもあり得るわけですね」
神宮「他の情報と同じように、調べれば本当にいろんなメディアで出てくるので、興味のある方は要チェックですね」
米山「ありがとうございます。……さて、それでは次はTOP10まで一気に行ってみましょう」
米山「……私も最近になってダンジョンの事を色々知ったのですが、見たことのある名前ばかりですね。神宮さん、どうですか?」
神宮「そうですね。ここに映っている探索者は全員一番上のTier1ダンジョン挑戦者ですね。Tier1ダンジョンは日本には東京と京都にしかないのですが、ここに載っているのはほとんど京都のTier1探索者ですね」
米山「まあこの後出てくるであろう彼女によって京都のTier1ダンジョンは進んでいるという事ですね」
神宮「ふふっ、まぁそうですね。ですが東京だって負けていませんよ。それこそ次のページには……おっと」
米山「はははっ、わざとらしいですよ。それでは注目のTOP10です!」
米山「……さあ一気に出て、現在の1位はやはりこの人、日本探索者レベルランキング1位の氷堂心愛さんです! いやぁ、凄いポイントですね」
神宮「今回のルールだと実力のある探索者はポイントが稼ぎにくいのですが……この人には関係ないみたいですね。本当、凄いしか出てこないですよ」
米山「探索者の間では『頂点』と呼ばれていますが、ここでも取りに来るかと! しかもソロですからね。たった一人でこのポイント……もう理解不能ですよ!」
神宮「この感じが氷堂さんですよね。やっぱり氷堂か、でも凄い。こう何度も思わせてくれるっていうのは、ただ強いっていうだけじゃ説明つかないですよね。でも米山さん、今回はダークホースも居ますよ?」
米山「はい! そうなんです! 今回一番の注目はその一つ下! 氷堂さんのすぐ下の2位に位置する望月さんです! この方もソロなんですよね。お恥ずかしながら私はこのJDCまで知らなかったのですが……」
神宮「実は私も初めてなんです。本当に無名だったんですが、今回で一気に台頭してきました。こんな逸材が眠ってるなんて、私もびっくりです」
米山「神宮さんも知らないとは……本当にこの大会開催して良かったですね……さて、そんな望月さんに関してなのですが、実はこの配信内で望月さんの過去の配信を映す許可を頂いています! しかも今日はなんとTier2ダンジョンの下層ボスに挑戦すると! 神宮さん、これはいったいどういう事なんでしょうか?」
神宮「さっきも話した通り、このルールは今は実力がなくても将来性がある選手でもポイントを稼ぎやすいです。望月さんはTOP10はおろかTOP100でも唯一のTier2ダンジョン挑戦者ですが、レベル以上の実力を持っていて、数多くの強敵を倒してきました。そして今回は1位の氷堂さんを抜くために、下層ボスを倒すことを決心したそうです」
米山「これ凄いですね。勝って氷堂さんを抜けば、もう一種のドラマですよ!」
神宮「ひょっとしたらこの番組が終わるまでに1位と2位が入れ替わっている可能性も十分にありますね!」
米山「嬉しい速報を待ちましょう! さて、ランキング紹介が終わったところで、今回配信のアーカイブを提供してくれた探索者さんの探索模様を見ていきましょう! ド迫力の戦闘シーンは見所です!」
神宮「要所要所で分かりやすく解説をしますので、ダンジョンにあまり詳しくない方も楽しんでいってくださいね!」
米山「それでは行きましょう、まずは96位の――」