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前世を思い出した!(2)

短めです。

 

 翌朝、三日間も寝ていたオレは完全復活!気持ち良く目覚めたところで、メイドのマーサに来客があると告げられた。午後に魔導師団から使者が来て、オレと父に話があるらしい。


 この世界では、誰でも大なり小なり魔力を持っている。貴族は平民に比べ大きな魔力を持つ人が多いが、大抵の人はちょっと生活が便利になる程度の魔力量だ。

 

 魔力には内向きと外向きの魔力があって、内向きの魔力の人はちょっと重いものが持てたり足を速くしたり、傷を負いにくいように皮膚を強化したりできる。

 魔力量が多いと身体強化、剣など自分の愛用する武器への魔力強化も出来るので騎士になる者が多い。


 外向きの魔力は身体から放出した魔力に火や水、雷、風などの属性を持たせて発動する。汎用性は高く、学ぶことによって前述以外の属性を持たせたり複合魔術も使えるようになる。

 と言っても様々な魔術を使うには魔力量が多くないと無理なんだが。


 魔力の発現は大抵13~15歳、早くても12歳くらいで、魔力の発現が認められると王国各地にある魔導師団の支部で検査を受ける。


 魔導師団とは王国の魔導師全てを統括する機関だ。魔導師の管理、育成、一級、二級魔導師の選定。王国最高の魔術機関として様々な依頼もこなしている。騎士団と連携して魔物討伐も然り。

 一級、二級魔導師の資格があれば食うには困らないが、さらに魔導師団の所属になれば国選魔導師としての地位や名誉、高い報酬も約束される。


 通常、魔力量が多いと診断された者は15~17歳で通う王立学園で魔導師科を選択して魔術を学ぶ。その中で成績優秀な一握りの者だけが魔導師団に入団することが出来るのだ。


 まだ10歳で、学園に通う年齢にも大幅に達していないオレに今の段階で魔導師団から接触があるのは、かなり異例の事なのだ。

 でも、オレは知っている。アニメで語られたオレの過去は、10歳から魔導師団預かりとなり、英才教育を施された天才魔導師だったからだ。



 午後、身なりを整え父と共に応接間に向かった。一級品の猫を完璧に被り、魔導師団の使者と向き合った。

 彼は魔導師育成課課長補佐の二級魔導師でフィリッツ・オーバンと名乗った。特例ではあるが、オレを魔導師団で預らせて欲しいと申し出た。予測の通りだ。

 オレは家を出て魔導師団の寮に入り英才教育を受けるはず……だったが、父が渋い顔をした。


 え?なんで?


 オーバンは焦ってオレの魔力の異常さを訴えた。10歳という早い年齢での魔力の発現も異例だが、その魔力量も膨大で、適切に教育しなければ暴走などの事故を引き起こす確率が高いこと。早くから英才教育を施せば王国一番の、いや世界でも有数の魔導師になる可能性を秘めていること。


 父は魔導師団での教育自体は反対していないと言った。ただ、寮に入るのではなくこの屋敷から通うのであれば構わないと。オレは公爵家の一粒種でまだ10歳だ。完全に手放す訳にはいかないと。


 結局、屋敷から通うことを条件に魔導師団で教育を受けることで合意し、オーバンは帰っていった。


 使者を見送り、父になんで通いに拘ったのか尋ねると


「お前、24時間猫を被り続けるの、無理だろう……

 お前の言動で公爵家の品位が下落するのが目に見える」


 と、溜息混じりに言われた。


 失礼な!!


「オレがそんなヘマするわけ無いだろう!!」と叫ぶと


「そういうところだ……

 通いでさえ外に出すのは不安なんだ」がっくりと父。


 オレはすっと背筋を伸ばし優雅ににっこり微笑んだ。


「そんな迂闊なことはしませんわ。

 完璧に演じて見せますわよ、お父様」



 申し送れました。(オレ)は由緒正しきアッシュマイヤー公爵家()()、マリアベルナ・アッシュマイヤーと申します。


 以後、お見知りおき下さいませ。


 



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